{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会(本体800円)より}
TPPによって「混合医療」が解禁されるとー1
ここ数年、アメリカや日本などの環太平洋諸国で提携交渉が進められてきたTPP(環太平洋提携協定)。これが実現すると、じつは、私たちの死に方も大きな影響を受ける。国民保険制度も大きく変質する。
TPP関税や規制の完全撤廃を目指しているため、日本の医療制度もアメリカ型に近づくのである。つまり、医療の市場化である。
まず、現愛の保健制度下では、実質的に「混合診療」は選択できないようになっている。混合診療とは、公的健康保険の対象となる治療法と、対象にならない治療法を併用することをいう。日本の保険制度では、厚生労働大臣保険の対象となる治療法、クスリを限定し、その価格を一定している。
その一方で、健康保険の対象にならない治療法、クスリは「自由診療」と呼ばれ、これは患者が全額自己負担することになっている。しかし、これを組み合わせると、健康保険が適用され3割負担の診療もまた全額が自己負担になってしまうので混合診療は出来ないのと同じなのである(ただし例外として、入院時の差額ベッド代や、高度・先進治療を受けた時の医療費などは、保険診療との併用が認められている)
。