医療費が払えない患者は病院を追い出されれるー2

2016_0829号B_プレジデント_表

SB新書
「死に方」格差社会
著者・富家孝
発行・SBクリエティブ株式会社
定価・800円・本体+税
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 医療費が払えない患者は病院を追い出されれるー2

 2007年、マイケル・ムーア監督の「SICKO](シッコ)という映画が話題になった。
この映画は、医療費が払えなくなった病院から見放され、路上で死んでゆく姿を描いたドキュメンタリーである。もちろん、これはアメリカの話だが、日本がやがてこうならないとは誰もいえないのではないだろうか。
この映画は、交通事故で足をけがした男性が、裁縫針を使って自分で傷を縫うシーンから始まる。この男性は接合手術の費用が、中指6万ドル(1ドル120円として約720万円)、薬指1万200ドル(約1440円)と告げられたため、自分で縫うことを選択したのだ。
アメリカには日本のような国民皆保険がないため、無保険者となると、お金を持っていなければ、病院で治療を受けられない。おカネがないと分かると、病院側は力づくでも患者を追い出す。映画で描かれていた患者は、肋骨や鎖骨が折れたまま傷も治っていないのに、裸足で病院で寝てたままの格好で、貧民街にゴミのように捨てられていた。