「国と医療側は「3段階での死」を考えている-3
とくに寝たきりから回復の望みがないとすれば、「介護つき老人ホーム」「特別養護ホーム」というコースもある。しかし、民間の有料老人ホームは現在、圧倒的に足りていない。とくに、特養はどこでも順番待ちである。
では、第三段階とは何だろうか?
これは、ずばり「自宅」である。一般病床、療養病床を出た患者さんは、介護施設が受け入れてくれなければ、自宅に戻るほかないからだ、つまり、「在宅介護」が第三段階となる。
ここまで述べてきたら分かるように、今後、在宅介護はさらに進む。つまり、寝たきりになっても病院でも施設でも死ねないということだ。
よく、「自宅で死ねたら幸せです」と言う方がいるが、それは、元気で長生きして自然に死ぬか、あるいは「ピンピンコロリ」で、ある日突然お迎えが来ることをイメージしているから、言えることである。
しかし、そんなケースは稀であり、多くの人は年老いて何らかの病気を発症し、今まで通りの暮らしが出来なくなる。そうして病院に行くことになり、そこで治療を受け、回復が見込めなければ追い出される。そうして、療養病床で過ごしても見込みがなければ、またもい出されて、施設に行くか自宅に戻らねばならないのだ。
これまでは、病院がひきとってくれた。しかし、それができないということになる。