日本人の8割りは病院で死んできた-3

2016_0829号B_プレジデント_表

20160825_プレ%8%G%s%H                     上記は、前回ご案内のプレジデントの掲載記事です。

 日本人の8割りは病院で死んできた-3

 政府も医学界も「脱病院」に大転換

 身も蓋もない話しだが、高年齢の患者さんは、どんな治療をしても治らない。死は老化であり、病気ではないからだ。老化を医療で治すことはできない。
延命治療が極限まで達した日本では、「助からない」と分かっていても、これが行われてきた。医者のほうもそれを行うことを自制しないできた。じつは、これは本人にとっても家族にとっても不幸なことなのだが、社会的にこれをやめさせようとするコンセンサスは確立さいず、病院は儲けることだけに走ってきた。
そこで政府は、医療費を減らすことと併せて、週末治療、とくに延命治療を止めさせる方向に、政策の舵を切ることになったのである。
厚労省は、「看取りの場所」を「病院」から「在宅」へ転換させることを決め、2012年を「地域包括ケア元年」と位置づけ、「在宅死」奨励のキャンペーンをはった。
その結果、最近では「治療は終わったので病院以外で療養してください」と、早期退院を求められるケースが多くなってきている。私のところにも、そういったそうした患者さんを持つご家族から、相談が持ちかけられるときがある。
政府の政策に併せ、医者の団体も声明を出して終末治療を見直すようになった。
{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}