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第一章 大きく変わる日本人の「死に方」

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第一章 大きく変わる日本人の「死に方」

  日本人の8割りは病院で死んできた

 これから、私たち日本人の「死に方」は大きく変わろうとしている。「はじめに」で述べたような「2025年問題」「2035年問題」が控えているからだ。
そこでまずこの章では、これらの社会的問題を理解していただき、その後の章で「ではどうしたらいいだろうか?」ということを考えていきたい。
「2025年問題」「2035年問題」を簡単に言ってしまうと、「これからは病院でも老人ホームでも死ねない。もしかしたら自宅でも死ねない」ということになるだろう。
こう言うと、「まさか、ではどこで死ねばいいのですですか?」と驚かれる人が多いが、現在の国の状況、医療のあり方を見ていると確実にこうなるのは間違いない。
なぜ、こうなったのだろうか?
その一番の原因は、国の財政がひっ迫してニッチもサッチも行かなくなったからだ。
そのため、政府は現在、必死になって膨張する一方の医療費を削ろうとしている。つまり国の方針として私たちの死に方、死亡場所が変わるのである。
今日まで日本人の約8割が病院で死んできた。

 上の「図表1」は、死亡場所を福祉社会が進んでいるとされる欧州各国と日本を比較したものだ。これを見れば分かるように、日本ではほとんどの人が病院で亡くなっている。ところが欧州各国では、「病院死」は少ない。多いとされるフランスでも58・1%と、5割を切っている。