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どんどん進むガンの超早期発見プロジェクト-1

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「富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第5章 こんな検査・治療は拒否していい

どんどん進むガンの超早期発見プロジェクト-1

さて、ガン検診に関してさまざまな疑問が出てはいるものの、医療科学はどんどん進歩している。いまやガン研究は、早期発見を超えた「超早期発見」の領域に入ろうとしている。
これは、ガン細胞が増えてガンが形成されないうぅに、つまりステージ0の段階で発見してしまおうというものだ。たとえば、アメリカではグーグルが「ナノ粒子」を使ったガンの超早期発見プロジェクトを始めている。第7章で詳述するが、これは、ナノサイズの特殊な粒子を体内に入れて、ウエラブル端末でその動きを順次監視するというもの。そうして、腫瘍細胞を見つけ、それが変化するのを初期のうちに検知してしまおうというものだ。もちろん、これはガンだけでなく、アルツハイマーなどあらゆる病気の発見につながる画期的な試みだ。こうなると、いままで病院でやっていた尿や血液などの検査は不要にlなる。
アメリカばかりか、日本でもガンの「超早期発見」プロジェクトは動き出しており、数年先の実用を目指している。


韓国では検査のしすぎで「甲状腺ガン」が激増

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第5章 こんな検査・治療は拒否していい

韓国では検査のしすぎで「甲状腺ガン」が激増

ガン検診をやりすぎて、患者が激増してしまった例がある。お隣の韓国では、甲状腺ガンの超音波検査をやりすぎて、世界一の甲状腺ガン大国になってしまった。
韓国では、町の小さな病院まで超音波検査器が普及したため、女性で甲状腺ガンの検査を受ける人が増えた。その結果、2011年には年間約4万人が甲状腺ガンと診断された。
これは、10万人あたり81人が甲状腺ガンということで、その発病率は世界1位、世界平均の10倍を超え、イギリスの17・5倍、アメリカの5・5倍にもなつてしまった。ちなみに、日本の14・0倍である。
韓国の医者たちは、甲状腺ガンが発見されると、手術を勧める。そのため、明らかにしなくてもいい手術まで行われるようになつた。
甲状腺ガンは、どちらかと言えば悪さをしないガンである。症状もほとんど出ない。それなのに、検査によってガン患者が増え、手術まで増えるというのは、医療の行き過ぎと言っていい。
医者が手術を勧めるのは、商業主義のためである。世界保健機関(WHO)の外部組織・国際ガン研究機閑(IARC)では、韓国の医療機関が病状が深刻ではない患者に対して手術が必要だとする診断書を意図的に発行している疑いがあるという報告書を出して
いる。
検査による甲状腺ガンの急増は、別の弊害も発生させている。それは、医療機関が簡単な甲状腺ガンの検査で競争をする一方で、ぜんそく・慢性閉鎖性肺疾患・糖尿合併症などをおざなりにしてしまったことだ。こちらのほうは、本来、重症化して入院しなければならない患者が放置されてしまったのである。
韓国では、この間邁に対して医者の間で対立が続いている。「甲状腺ガンの急増は健康保険拡大と検診増加と関連がある」としてセーブを呼びかける側と、「ガンを早期に発見するほうがガンを育てるよりはましではないか」とする側の意見がかみ合わないのである。
また、「日本は韓国より超音波検査費などが高いのであまり発見されない」という見方も出た。               いずれにしても、一般の人間不在の不毛な論争だ。


有効なガン検診、無意味なガン検診

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第5章 こんな検査・治療は拒否していい

有効なガン検診、無意味なガン検診

ガン検診も、効果のほどが疑問視されているものが多い。「ガンは早期発見、早期治療が第一と言われているので、ガン検診を受ける方は年々増えている。
しかし、ガン検診でガンが発見され、その後治療を受けた人がなにもしなかった人より長生きした、また、早期発見したことでガンが治ったという確かなデータはない。一部のガンで検診の有効性は確認されているが、ほとんどのガンで検診は無駄というのが、いまや世界の医学界の一般的な見解だ。
毎年、健康診断で、肺ガン検診や.大腸ガン検診、とくに女性は乳ガン検診を受ける人は多い。しかし、これらの検診は欧米諸国では国民的には行われていない。
ただし、ガン検診すべてが無意味ではない。そこで、どんなガン検診が無意味で、どんなガン検診が有効なのか?を知っておく必要がある。
無意味なものの代表は、やはり肺ガン検診である。たとえば、CTによる肺ガン検診では、非喫煙者や女性が対象の場合には、「過剰診断ガン」とされる、放置しても症状が出るほど進行せず、検診を受けなければ発見されることのなかったガンが、治療を必要とするガンの8倍近く見つかってしまうということが指摘されている。
続いて、最近よく行われている 「胃の内視鏡検査」「肺ガンのCT検査」「前立腺ガン検査」は、本当に有効かどうかはわかっていない。そのため、欧米諸国では一般的にあまり行われていない。
というわけで、現在のところ、有効とされるガン検診は次の三つと言われている。
「子宮ガンの細胞診」「乳ガンのマンモグラフィ検査」「大腸ガンの便潜血検査」である。


CT検査、レントゲン検査で”被曝″

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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい

 CT検査、レントゲン検査で”被曝″

 日本は、世界でいちばんCT検査が行われている国である。日本のCT保有数は1万2943台で世界最多。2位がアメリカの1万2740台で、3位はブラジルの3057台。
 人口当たりでみると100万人あたり97・3台で、OECD諸国の平均22・1台の4倍以上と異常に多い。
 この結果、検査器の減価償却のため、なにかというとCT検査が行われている。しかし、CT検査には、”被曝する”という危険性が伴う。レントゲンも同じで、Ⅹ線を浴びるのだからこれは当然だ。
 CT検査はⅩ線によって、体を透過したⅩ線の量をデータとして集めて、コンピュータで処理することによって体の断面画像を得る。
 CT検査で体を1回スキャンすると、その被曝量は5・30ミリシーベルトという。職業被曝の年間限度は50ミリシーベルトとされているので、1回のCT検査で数回スキャンするとしたら、その被曝量はかなりのものになる。年間2回以上C検査を受ければ、下手
をすると職業被曝の年間限度をオーバーしてしまう可能性がある。
 つまり、医者の勧めるままにC↑検査を何度も受けるということは、自ら被曝しに行っているようなものなのだ。
 指摘されているのは、C↑検査による被曝で発ガンリスクが高まることだ。アメリカでの調査によると、C↑1回のスキャンの発ガンリスクは、歯医者で歯のⅩ線を1400回撮るのに等しいという。
 こうしたことを憂慮して、最近は医療側もC↑検査を自粛していこうとする動きが出ている。たとえば、CT検査やⅩ線検査などの放射線検査の関連学会などでつくる団体は2015年4月18日、検査方法の統一基準を初めてまとめた。
 しかし、日本の痛院の多くは、ほかの病院で撮ったC↑で診察するのを嫌う傾向が強く、病院を代わるとまた新しくCTを撮らされることはザラだ。これは、血液検査なども同じで、私たちほ病院に行くたびに、また始めから検査を受けることになる。
 こういうことから逃れるのには、ご自身で検査の有無を判断するしかない。ちょっとした病気で検査漬けになってしまっては、かえって健康を害することになりかねない。
 脳腫瘍など深刻な症状が疑われる場合には仕方がないが、そうでないなら、医者とよく話し合ってからCT検査に応じるべきだろ


設備投資の償却費用は患者から回収する-2

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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい

 設備投資の償却費用は患者から回収する-2

 若手の正義感の強い医者が、よくこぼすことがある。
「事務長からまた通達が出たんです。最近、超音波診断件数が減っているので、検査件数を増やしてくださいと。そんなこと、簡単にできますか」
 この病院では、検査ノルマというものがあり、それに満たないとこのような通達が出る。
検査機器のリース代や償却費用を捻出するためだ。個人経営のクリニ㌧クでも、こうした事情は同じだ。たとえば、クスリには有効期限というものがあるので、使い切らないと破棄しなければならない。そこで、「有効期限切れ間近のクスリは、早めに処方をお願いします」と経営側から医者に指示が出る。
 こうした通達・指示に、「私は患者さんのことを第一に考えているので、そんなことはできません」と、現場の医者が言えるだろうか?もし、そうしたら、その病院は経営危機に陥るかもしれないのである。病院やクリニックの収入は、医者が行う医療行為からしか発生しない。医者や看護師、事務員の給料から、機器のリース代、家賃、光熱費まで、すべての経費を考慮すれば、「患者第一」などという㌢れいごとは、ほとんどの場合通用ー ール泣か甘その結果、「念のためにレントゲンを撮っておきましょう」
「CTをやれば、より詳しく診断できますよ」などと言って、必要のない検査が行われているのである。


設備投資の償却費用は患者から回収する-1


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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい

 設備投資の償却費用は患者から回収する-1

 では、健靡診断・人間ドックは無駄としても、個々に行われている「検査」はどうだろか?
することは一つしかない。そんな検査を必要としない患者さんにも最新機器を使ってもらうのだ。

 

 ちょつと大きな痛院やクリニックに行けば、何種類もの最新検査の機械がそろつている。
 たとえば、MRI(磁気共鳴画像法)、C↑(コンピュータ断層撮影法)、警波(エコー検査)、PE↑(陽電子断層撮影検査)など。
 そこでよくよく考えてほしいのが、医療はボランティア活動ではなく、立派なビジネスであるということだ。ビジネスということは、当然、競争相手がいるので最新のサービスをしなければ、市場から淘汰されてしまう。となると、医療技術の進歩に合わせて、病院は最新の機器を導入しなければならない。つまり、大都市のなかで何軒もの病院が競合する地域では、ある病院が高額の最新検査機を導入したとなれば、自分のところも導入しなければ集客に負けてしまう。こうして、いまの病院は検査機器導入競争を繰り広げている。
 では、この設備投資を償却するのは、どうしたらいいだろうか?
 当然だが、導入した機器をどんどん使わなければ、その費用は捻出できない。それを必要とする患者さんに使っているだけでは、よほど流行っている病院を除いては経営はうまくいかない、となると、することは一つしかない。そんな検査を必要としない患者さんにも最新機器を使ってもらうのだ。


(4) 血糖‥空腹時血糖値110超えは危険信号、ただ糖尿病は食事・運動治療が基本-2

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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい
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(4) 血糖‥空腹時血糖値110超えは危険信号、ただ糖尿病は食事・運動治療が基本-2

 糖尿病発症の平均年齢は60歳だから、50歳代になったら、誰もが炭水化物の摂取量を減らしていくのが望ましい。また、塩分控えめも有効だ。
 空腹時血糖値は、血液中の成分を測るため、食後3時間経ってから測ることになっている。この点、HbAICは、赤血球の中にあるヘモグロビンと糖がくつついたものの比率を測るので、食事の影響を受けない。だから、こちらの数値のほうを重視する向きもある。 
 今回、HbAICは~5・5から6・03(男性)となったが、専門医は、「それ以上になったとしても必ずしも心配する必要はないが、生活習慣を変えて糖尿病のリスクを軽減していくようにしたほうがいい」 と言う。
 このように、基準値を厳しく守っても、それが健康に直結するなどということはありえない。単なる目安程度と考えるべきだ。具体的に言うと、グレーゾーンだったらクスリや治療は必要ないということ。また、数値を知りたくて健康診断をむやみに受けるのもやめるべきだろう。
 いまや多くの医者が指摘しているが、集団で行う健康診断は無駄である。集団健診は、過去何十年にもわたって毎年数千万人が受けているが、それで健康になったり、1寿命が延びたりしたというデータ的根拠はない。むしろ、病気や異常を告げられることで体調不調になる人が増加してしまう。こうなると、本末転倒と言うほかない。


(4) 血糖‥空腹時血糖値110超えは危険信号、ただ糖尿病は食事・運動治療が基本-1


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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい

(4) 血糖‥空腹時血糖値110超えは危険信号、ただ糖尿病は食事・運動治療が基本-1

 新基準では「空腹時血糖値」と「HbAIC」(過去1~2カ月の血糖の平均値)が緩和された。
 男女別に分けられ、女性のHbAICでは年齢別に分けて設定された。
 どちらも糖尿病の尺度になる数値なので、気になる方も多いと思うが、じつは治療現場ではすでに基準値を緩和する方向だったので、医者の私としては、2014年基準値の媛和には驚かなかった。
 ただし、専門医が言うのは、「新基準では空腹時血糖値が83~114になったが、これだと、〝境界型〟を見落とす危険がある」とのこと。境界型というのは、いわゆる糖尿病予備軍で、境界型のときから糖尿病は進み、将来的な合併症につながるので、早期治療が大切と言われてきている。
 そこで、専門医たちの意見を集約すると、「110を超えたら注意」ということになる。
 専門医たちはこれを「110番」と呼んで、治療開始の目安にしている。
 ただし、治療といってもクスリは使ってはいけない。現在、治療現場ではインスリン分泌促進剤が使われているが、これには低血糖のリスクがある。とくにSU剤は止めたほうがいいというのが、専門医たちの意見である。
 では、どうするかといえば、食事を少なめにして、食後の運動(といってもウォーキングで十分)を心がけるようにする。単純にご飯を茶碗一杯食べていたのを7分目にするだけで、血糖値は下がる。


(3)脂質‥LDLコレステロールは悪玉ではない。高くてもOK。中性脂肪も1000までOK-2


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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい

(3)脂質‥LDLコレステロールは悪玉ではない。高くてもOK。中性脂肪も1000までOK-2

 体にはLDl受容体というのがあり、たとえば1Dl150で適切な人なら、従来基準で120未満に引き下げようと、食事や運動をしても、またすぐ元に戻る。なぜなら、その人にとって、その数値が適切だからである。
 中性脂肪も、肥満の大敵としてク悪玉″のイメージがある。そのせいか、少しでも少ないほうがいいとされ、これまでは30~149喝/舶とされてきた。150を超えたら要注意というわけだ。食事を済ませてから12時間以1経過して、血液検査で血液中に中性脂肪が150以上あると、医者は「高中性脂肪血症」と診断するケースが多かった。
 しかし、新基準では男女別に分けられ、一般的に男性のほうが中性脂肪が高いため、上限値が198と引き上げられた。ただし、女性では逆に134以下とより厳しくなった。
一般的に、予防医学の専門医は数値に厳しいから、数値が基準値を超えると、「~の恐れがある」とすぐ言い出す。しかし、中性脂肪自体は命にかかわる病気とも関係なく、また運動したりして消費すれば、その数値は変化する。だから、上限値198を超えたとしても、とんでもない高い数倍でなければ心配する必要はないというのが多くの医者の見方だ。
「1000まではOK」という医者もいる。BMIの欄でも書いたように、「小太り」のほうが健康だからである。
 中性脂肪値が高い人の大半は、食べすぎ、運動不足、飲酒などが原因だ。だから、肥満が気になるなら、食べ過ぎや飲酒に注意して、生活習慣を変えればいいだけの話である。


(2)血圧‥基準値にとらわれず、高血圧は「90+年齢」を目安に-2


 
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 第5章 こんな検査・治療は拒否していい

(2)血圧‥基準値にとらわれず、高血圧は「90+年齢」を目安に-2

 ところが、1970年代に入ると、世界保健機構(WHO)が、上を160以上、下を95以上と規定したので、日本でも160/95以上を高血圧とするようになった。その後長い間この数値が使われたが、1993年にWHOと国際高血圧学会(ISH)が正常値の範囲を「上が140未満、下が00未満」と変えたので、日本でもこれが使われて今日まで続いてきたのである。
 しかし、WHOの指針では、140/90は「境界域高血圧」で、「毎日の生活に気をつけましょう」という程度の話。高血圧とは規定していなかった。それなのに、日本では140/90を高血圧としてしまったのである。したがって、2014年の新基準は、昔に帰っただけとも言えるのだ。
 そこで、結論だが、血圧というものは歳をとるとともに上がるのが自然なものだ。これが世界の常識で、全年代に共通する正常値などありえない。また、年齢別血圧と死亡率に相関関係はない。よく「血圧が高いと死亡率が高まる」と言うが、これは、年齢が上がれば死ぬ人が増えるという事実を無視している。さらに、降圧剤を服用すれば血圧は下がるが、服用で長生きできるかどうかはデータがない。逆に、高血圧群の患者さんの死亡率が上がったのは、血圧を下げすぎた結果という追跡データもあるくらいだ。
 そこで、昔のように 「90+年齢」を、ご自身の血圧の目安とすることをお勧めしたい。