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体内に入ったナノ粒子によって健康管理-2

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{富家孝著・SB新書「死に方」格差社会より}

第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

体内に入ったナノ粒子によって健康管理-2

「Google X」プロジェクトは、すでに糖尿病患者の血糖値を涙から測定する「スマート・コンタクトレンズ」を開発中だと発表している。これに続くのが、ナノ粒子検査端末の開発だ。
ナノ粒子はすでに一部の医薬品や磁気共鳴断層撮影(MRI)検査の造影剤に使われている。したがって、このナノ粒子検査の開発は成功するだろう。
コンラツド氏は、さらに次のように言っている。
「ガンばかりではなく、動脈壁に蓄積したプラークが発する酵素を検知して心筋梗塞や脳卒中の早期発見に役立てることができる。われわれは病院に出向いて、尿や血液を医師に提出する必要はなくなる。グーグルのナノ・ピルを服用し、専用デバイスを身に着けて結果を日々モニタすればよい。そのデータはクラウドにアップロードされ、医師が判定を行う。すると医師は『これまでは順調でしたが、2月ほど前からこれこれの病気の兆候が現れています』などと診断することになる」
こうなると、まさに、医療は病気を治すことではなく、予防すること、患者の健康管理をすることに、大きくシフトする。また、私たちの暮らしも、病気になれば病院に行くというパターンではなくなるだろう。
なにしろ、スマホのような端末から常にデータが病院と医師に送られ、なにかあれば向こうから呼び出しがくるのだ。これが進めば、体内のどこにガン細胞が増えているかもわかるようになるから、ガンで死ぬ患者は減り、寿命も大幅に伸びるだろう。まさに夢のような話が現在進行中だ。


体内に入ったナノ粒子によって健康管理-1

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

体内に入ったナノ粒子によって健康管理-1

長寿研究が遺伝子レベルまで進むのと並行して、最新テクノロジーで病気を予防し、それによって長生きできるようにする研究も進んでいる。
これまで、医学は起こったことに対処してきた。つまり、病気になればそれを治すこと
が、私たち医者の仕事だった。しかし、最新テクノロジーがさらに発展すると、医者は起こる以前のことに対処するようになる。つまり、病気を治すのではなく、、病気にならないようにするのである。そうなると、私たちの健康寿命は確実に伸びる。
2014年10月、グーグルは「G00g-e)こという生体研究プロジェクトを行っていることを明らかにした。これはナノ粒子で、ガンや心臓発作などを早期発見するプロジュクトだ。
このナノ粒子というのは、直径が1/10億m(赤血球細胞の1/1000未満)で、磁性材科に抗体を組み合わせたものだという。これを血流中に送り込み、特定の疾患に関連する物質を検出させるのだという。
つまり、音ヒットした映画『ミクロの決死圏』のようなことが現実化する。
報道によると、このプロジェクトの責任者アンドリュー・コンラツド氏は、次のように語っている。
「ナノ粒子の磁気を利用して、ウエアラブル装置で体内の粒子を1カ所に引き寄せる。たとえば、手首の内側の浅い場所を通る血管に粒子を集める。そこで粒子から、なにを見たのか、ガンを見つけたか、心臓発作を起こす不安定なプラーク(沈着物)らしきものはなかったか、血中のナトリウムは多すぎないかといった情報を得る」
つまり、これにより、体内の情報が、手に取るようにわかるようになる。


1日2食で「腹7分」のカロリー制限が理想的

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

1日2食で「腹7分」のカロリー制限が理想的

腹八分というのは、昔からの私たちの知恵である。私たちの祖先は、「空腹のほうが体にとってよい」ことを知っていたのである。つまり、常にお腹がいっぱいであるより、お腹が空いている状態のほうが健康というわけだ。
そのせいか、最近では、1日3食を止めて2食にする人が増えている。また、医師の南雲吉則氏にいたっては、1日1食生活を実践しており、『「空腹」が人を健康にする』(サンマーク出版、2012)という本まで書いている。
しかし、食べなければいいといっても、本当に腹八分でいのだろうか?という疑問がある。
そこで、注目されているのが、カロリー制限である。カロリー制限というと、ダイエットでもっとも大切なことだが、これは健康法、長寿法でもあったわけだ。
じっは、カロリーを制限すると寿命が伸びることは、1930年代にラットの実験結果のメカニズムについては長い間不明だった。
ところが、前記したように、2000年にアメリカのマサチューセッツ工科大の研究グループが、サーチユイン遺伝子の働きが、その一因であるということを突き止めたのである。つまり、まだ判明して10年余りしかたっていないのだが、この210年余りで、世界中でカロリー制限運動が起こつてきた。
いまやアメリカでは、「カロリー制限委員会」という組織まで誕生している。ここの会員は、成人男性が1日に必要なカロリー摂取量の約7割に抑える生活を実践しているという。これがいちばん効果的なのだという。
っまり、腹8分でなく、「腹7分」というわけだ。
日本でも、カロリー制限を実践している高齢者は多い。日本の成人男性の摂取カロリー2000+ー200カロリーとされるので、この量の7割を摂るとすると、一日1400カロリー+-140カロリーとなる。とすれば、日々の食事で摂取するカロリーをこの範囲で抑えれば、私たちは健康で長生きできる。
ただし、ここで注意したいことがある。
それは、適切とされるカロリー摂取量の5割を切ると、かえって寿命は縮むという研究結果があることだ。空腹といっても、徹底してやるのはよくないのである。
理想的なのは、1日2食にして適切量の7剖を取り、空腹時間を長くすること。たとえば、夕食は夜8時までに取り、翌朝まで絶食時間を長くする。こうすると、夜寝ている間にもサーチユイン遺伝子が働いてくれる。


「長寿遺伝子」を探せ!腹八分は本当だつた!-2

 

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

「長寿遺伝子」を探せ!腹八分は本当だつた!-2

(1)暖かい環境では活動しない
(2)取り除くと早死にし、増やすと長生きする
(3)活性化しないと効果がない

つまり、寿命を延ばすためには、活性化が必要になる。
では、どうやったら活性化のためのスイッチを入れられるのだろうか?
実証実験によると、それは空腹である。飢餓状態になると目覚め、細胞中のミトコンドリアを活性化させてエネルギー効率を高め、活性酸素の害を防ぐ。つまり、免疫力低下を防ぎ、抗ガン作用が高まるので、老化が抑制されるのだ。
また、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」も、スイッチとして働くことがわかつている。これは、ハーバード大学のデービッド・シンクレア准教授が発見したもので、カロリー制限をしていないマウスにレスベラトロールを投与したところ、サーチユイン遺伝子が活性化され、寿命が延びたというのだ。
サーチユイン遺伝子は、動物の長い飢餓の歴史のなかで、飢餓対策として生まれたものと言われている。百寿者(センテナリアン)の調査では、彼らが若い頃から小食でサーチュィン遺伝子の働きが活発だつたことがわかっている。
私は、60歳からの食事は「腹八分」にすることを提唱してきたが、「腹八分」は、長寿遺伝子の研究からも裏付けられたわけだ。


完治しない病気とどう付き合うのか?-4

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第3章「老化」と「病気」は違うもの

完治しない病気とどう付き合うのか?-4

{腎不全}慢性になると、人工透析で延命をはかる以外に手はない。

腎臓病になる原因疾患は、糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣痛とされている。腎臓病がやっかいなのは、初期には自覚症状がないことだ。目で見て尿に異常があるかどうかは、一般の方にはわからない。だから、10年以上にわたって無症状で経過した後に診断されることが多い。
慢性腎不全になると、体内の老廃物を尿中に排泄できなくなり、体中にむくみが現れたり、血圧が高くなったり、貧血を起こしたりする。約1割の人は自身の免疫力の回復で助かるが、放置しておくと昔は尿毒症を起こして死んでしまうケースが多かった。
それが、いまは人工血液透析で生き延びられるようになった。血液透析では、体の中にたまった尿毒素が捨てられ、体に不足している物質が補われる。これで、患者さんの寿命が約15年は延びた。
しかし、透析は患者さんにとっては大きな負担で、1日おきに病院に行かなければならない。
そして、透析には4~5時間がかかる。こうなると、社会生活はまともにできなくなるので、仕事は辞めざるをえなくなる。
だから、若い人が腎不全で透析が必要になった場合は、本当にかわいそうである。現代医学では、どうやっても50歳までは生きられないからだ。
もちろん、腎臓移植手術で治すという方法もある。これが末期腎不全の唯一の根本治療と言えるものだが、順番待ちである。
日本には腎不全透析を受けている患者が約30万人いて、そのうち約1万2000人が献腎移植の登録をしている。
しかし提供される腎臓は少なく、希望がかなえられる人は年間1300人ほどである。

 


「人はなぜ老化するのか?」の最新研究-2

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

「人はなぜ老化するのか?」の最新研究-2

このような老化研究は、医者の立場から言うと、じつは、邪道である。なぜなら、医療というのは目の前の病気やけがを治すことが使命とされ、それで発達してきたからだ。老化は避け難い生命現象で病気ではないのだから、以前は関心が高くなかったのである。
その流れを変えたのが、遺伝子研究である。2000年、マサチューセッツ工科大学教授のレオナルド・ガレンテ氏などのグループが、「サーチユイン」という遺伝子が活発に働くと寿命が延びるという報告を発表してから、老化研究の潮目が変わったのだ。その後、日本でも日本抗加齢医学会ができ、20人から出発した会員がいまや7500人を超えた。
サーチユインのような長寿遺伝子研究はいまも絶えず続いており、ごれを活性化させるにはカロリーを制限する、空腹をあえて続けたほうがいいなどということがわかってきた。
とはいえ、このような長寿遺伝子が活発化しても、身体に悪いもの(たとえば発がん物質など)を食べていたら長生きはできないわけで、老化研究はいまの段階では長寿には直接結びついていない。
ギネス認定の人類の最長寿者はジャンヌ・カルマンさんというフランス人女性で、122歳まで生きた。また、日本人では泉重千代さんが120歳まで生きた(現在は否定され105歳説が主流)。また、2015年4月に亡くなられるまで世界最高齢と認定されてい
た大川ミサヲさんは、117歳まで生きた。こうしたことから、120歳前後が寿命の限界と言われているが、この先、130歳、140歳長寿者が出現するのだろうか?
ちなみに、122歳まで生きたジャンヌ・カルマンさんの大好物は赤ワインとチョコレート。大川ミサヲさんは、たくさん食べて最低8時間は寝ており、鯖寿司が大好物だつたという。


「人はなぜ老化するのか?」の最新研究-1

 

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

「人はなぜ老化するのか?」の最新研究-1

最近は長寿の研究が盛んである。
つまり、人はなぜ老いるのか? なぜ死ぬのか? といぅことの研究だ。「不老不死」は人間の昔からの願いだから、これが解明できれば、不死とはいかなくとも、寿命は延びるはずである。ただし、「老化(エイジング)」に関しては、いまだに諸説があり、どれも解明されていない。
老化研究のアプローチとしては、実際の長寿者(100歳を越える「百寿者」=センテナリアン)に着目する方法、生命の基本単位である細胞に着目する方法がある。
この細胞に着目した研究では、大別すると二つの説がある。一つは、ストレスや紫外線などの環境要因によって、細胞内に有害物質が発生し、機能低下が進んで老いるというもの。たとえば、一般にもよく知られている活性酸素によって身体がダメージを受け、老化が発生するという「フリーラジカル説」がこれに当たる。
もう一つが、遺伝子によって老化や寿命が規定されているとする説。たとえば「プログラム説」では、それぞれの細胞には分裂できる限界がはじめから決められていて、その回数を越えて分裂できないとされている。最近は、遺伝子に最初から老化を促進させたり抑制させたりするものがあるという説、つまり「長寿遺伝子」の存在も知られるようになってきている。


熟年セックスの正しいやり方ー2

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 第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

熟年セックスの正しいやり方ー2

しかも、私の知っている例では、「ゆきずり」のケースが多いということ。たとえば、熟年になって同窓会で再会して、その夜ホテルでなどという例がある。もちろん、原因はほぼ心血管系疾患である。たとえば、2006年、ドイツのフランクフルト大学の研究グループが性交死した男性68人の病理解剖報告の分析を公表しているが、その結果は、10人は愛人と、39人は娼婦とで、いずれも心血管系疾患だった。
つまり、興奮し過ぎてしまったということである。通常1回のセックスでの体力の消費は、「100メートルを全力疾走したときと同じ」とされている。セックス時の脈拍数を見ると、1分間に120程度から射精前の状態では、1分間に180強まで上がる。通常
の心拍数は70前後だから、これは2倍だ。激しいスポーツを行ったときと同じくらいの数値である。スポーツもそうだが、若いときと同じと思っていると落とし穴が待っているわけだ。
「突然死が怖いからセックスをしない」という人はいないと思うが、やはり、リスクは回避したほうがいいだろう。刺激的な場所は避け、また、普段行わないような過激な行為は慎む。また過度の飲酒はしない、食後は避けるなどを心がけるべきだ。やはり、年齢に合ったスローセックスがベストである。          一
前記したアメリカ心臓協会の調査を指導したベイラー医科大学グレン・レヴィン教授は、こう言っている。
「性行為中は発作が起こるリスクが普段の約2~3倍に高まる。ただし全体として見れば、セックスは運動になるしパートナーと心の繋がりができるなど体にプラスになることもあり、それを上回るほどのリスクではない」


熟年セックスの正しいやり方-1

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

熟年セックスの正しいやり方-1

「燃え尽きるまでSEX 80歳まで生涯現役」
最近は週刊誌などで、このような〝熟年セックス″特集が花盛りだ。人間の3大欲望は「食欲、睡眠欲、性欲」と言われるので、やはりセックスを欠いていたら、健康で長寿であっても人生は虚しいということだろう。それに、高齢化社会にをったので、熟年セックスの詰もかつてのようにタブーでなくなってきている。     ″
しかし、熟年セックスには、大きな落とし穴がある。それは、セックス中に突然死する確率が高まるということだ。
医者の世界では半ば常識だが、性交中の突然死(俗に言うク腹上死〟)吼意外に多い。その最中に心臓等に異常を感じ、病院に搬送されて死亡が確認されるということは結構多い。
ただし、たいていは世間体から、たとえその場所がホテルでも「自宅で突然倒れた」と処理されるので、表向きの統計には現れない。
実際、厚労省の突然死に関する研究では、突然死は就寝中がもっとも多い。次いで入浴中、休養・休憩中、排便中となっているが、性交中という項目はない。
また、医事評論家で元監察医の上野正彦博士は、約5500の行政解剖のうち性交死は34例(0・6%)だったと、著書で書かれている。さらに、諸外国のレポートを見ても、突然死のうち性交死の占める比率は1%前後である。
最近、アメリカ心臓協会が突然死5559件の検視データを発表したが、性交中の突然死は意外と少なく全体の0・6%だった。
.しかし、前記した理由で、本当はもっと多いのである。
で、性交死のいちばんの問題は、その8~9割が、浮気、不倫で起こつているということだ。アメリカ心臓協会の統計では、なんと93%が婚外交渉中に起こつている。

 


睡眠時問と寿命の関係、長すぎてもいけない-3

 

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第6章 どうしたら健康で長生きできるか?

睡眠時問と寿命の関係、長すぎてもいけない-3

では、睡眠を取りすぎるとどうなるのだろうか?
これも調査から、9時間以上睡眠を取った人たちは、平均6~8時間の人たちと比較して心臓の衰えが著しくなるという結果が出でいる。取りすぎると、適正睡眠を取っている人に比べて、認知テストの結果が悪くなるのだ。
寝すぎている状態というのは、レム睡眠といって、脳が半分覚醒している「浅い睡眠」状態が続くということになる。浅い眠りを続けると、体内時計が乱れ、ホルモン分泌が乱れ、たとえば糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まる。
ただし、必要とされる睡眠時問は状況によって大きく変わる。引退して日々の活動が現役時に比べて少なくなった人は、短くてもかまわない。しかし、現役で激務を続けている人は、やはりぐつすり寝ることが必要だ。私はスポーツ選手の医療コンサルタントをしていたが、激しい運動をする人はやはりそれなりの睡眠を取らないと回復しないし、寿命も
縮まる。睡眠中はさまざまなホルモンが分泌され、体を修復し、新陳代謝を促し、免疫力を高めるからだ。
睡眠でもっとも大切なことは、「ノンレム睡眠」、つまり〝深い眠り″を適正時間取ることである。また、歳をとったときの睡眠は、できるだけ身体を暖かくして寝ること。脳がよく休まって手先の血流がよくなっている状態の睡眠がベストだ。体が冷えてしまっていると、浅い眠りにしかならない。また、夜の10時から夜中の2時にかけて、成長ホルモンが活発に分泌されるゴールデンタイムと呼ばれる時間帯がある。この時間帯にいかに深い睡眠をとるかが大事である。