口論ストレス-3
口論は毒にも薬にもなる
夫婦の間で口論がない仲と口論がある仲と本当はどちらが仲がいいのか、と知人に聞かれたことがある。
実はその折、いいかげんに答えたと反省しているが、最近は正しく解答できる。論戦を楽しむタイプは口論が夫婦の潤滑剤になり、ロベたで争い嫌いでカッとなるのは口論がないほど平和、論戦型同士のカップルは、口論がなくなったら倦怠期、ロベタ同志は争ったら最期、お互いに傷ついた心を抱いてさようなら。要は二人の性格次第で口論の内容も変わるし品によって仲睦まじくなることもある。
嫉妬での口論、浮気がバレての口論、ギャンプルで借金しての口論、欲しいものが買えないための口論、姑をめぐっての口論、子供の進学をめぐっての口論、欲求不満イライラからの口論、へそくりバレての口論、心理的離乳不全夫への不満爆発口論、宗教からの口論、晩のおかずからの口論、よく眺めたらとんでもない不美人だっ′たという口論、それも結婚七年目に気付いたなどというのではもう手遅れ、借金でさえ五年で時効と聞く。
口論はストレスの元、それでも口論の相手がいる内はまだ救われる。
しかし、口論も度を越すと戦争になる。1
総勢二十余人の死者を出した極道戦争、生命知らずのお兄さん達と思いきや、週刊誌だったか某組長が夜な夜なうなされて暴れるとあり、やはり人の子と思うとともに、こんな組長を頭に頂いた組の下部組織の没落を予感した。上がうなされているのに下がのびのびとしていられるはずがない。鉄砲玉にされる前にガラス割りで官食暮らしを狙うのも無理はない。口論どころか、いつ狙われるか明日の身知らぬ不気味な生活は何とも不安なものだろう。そのストレスの暴発は恐い。
部屋にとじこもって口論する相手もいないのにじっと耐えるのは辛かろうし、哀れっぽい。堅気の世界の明るい空気、それを胸いっぱい吸ったら人生も変わるだろうか。
哀れなのは銀座のシニセ「地価日本一・X堂」社長の飛び降り自殺、庶民の目からは理解に苦しむ。趣味は音楽、ゴルフにテニス、原子力の専門家、博士号まで持っている。しかし商売は下手、10社長の器とははど遠い。孤独好き。めど1 数千万円とかの相続税の支払いの目処もついていて、金銭的毒は心配ないと、どの記事でも死因について不審がっている。が、この「心の影」という始末の悪い奴、どこからか隙を狙って入りこんで来るのであるそのとき身近に親しい口論相手でもいればガンガン怒鳴ってよき解決策を練るのだが、大社長がお昼どきにひっそりと牛どんを食べに通う図ではストレスもたまるばかり、側近によき直言者的人物を得ない悲劇、これはもう末期症状である。