孤独ストレス-4

 「長寿の秘訣の第一は、ストレスを溜めないことです」
ストレス解消、病気知らずで楽しく長寿!
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花見正樹のストレス・エッセイ

孤独ストレス-4
“孤独ということは、自由と同意語である。

孤独とは何だ。何が孤独だ。
自分を含めて皆、甘えの構造、誰かが青い小鳥を運んでくれるのを鳥カゴを開いて待っている。
自分が青い烏になればいいのに。
「幸せの種をまき散らせばいい」
さる有名広告代理店参事氏、身を乗り出して体験談を語り出した。
学生時代はガリ勉まじめ人間だった反動か、会社人間になっての一、二年、顧客接待で銀座や赤坂、六本木と飲み歩く内に、遊びを覚えてしまいあちこちで種まきをして歩いた。相思相愛と思っていた赤坂のクラブの女性が、ある日妊娠を告げた、という。
で、給料前借り見舞金、拝み倒して何とか始末を、と泣き落したら、彼女は翌日から店に出ず、退店したとのことである。
彼の胸は痛んだ。結婚してやるのが本筋だったか、一時的には出世の妨げになっても、彼女はいい女房になったのではないか。二人は幸せになれたのではないか、と悔いが残る。
ところが赤坂のママさん日く。
「あの子、めいっばいお客さん騙してお金集めて逃げちゃったのよね」
ウソだっ! と腹の中が煮え湯でたぎったが、冷めてみると空しさやるせなさ、孤独感だけが残った、という。結局、遊んでも遊ばれても孤独ストレスからは逃れられないのだ。こんな思い、男なら一度や二度は・・・いや、私は経験していない、絶対に!

「山好きは孤独に強い」という。登山部の女性というとそれだけで熊も驚いて逃げ出しそうなす態モドキ顔を想像し、なるはど孤独に強いんだろうな、と妙に納得してしまう。
「海好きは孤独に弱い」という。「海が好きよ」、肌のきれいなⅤカットの水着がよく似合う足のすらっとした女性を想像する。多分、おからだに自信がお有りなのだろう、と考える。ちなみに私は若いとき、山男から川男に転向したがモテなかった、海男になるべきだったのだ。
孤独に強くなるにはまずモテないことが大切である。モテなければ耐えることを知る。間遠ってもモテてはいけないのである。
深夜映画のテレビも消え、酒も切れてタバコもあと一本、月末近い給料日前の金曜から土曜日へ、闇の天井を睨みながら「一人はいい、自由でいい、誰にも束縛されないでいい」と呟き、枕を抱えながら「今度こそ、あの娘を落して見せるぞ」と決意新たな再出発を誓い相変らずモテる夢を描くのも孤独なればこそ、孤独だから自由なのだ。