1、長寿の秘訣ー1

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「楽しく長寿・ストレス発散」

1、長寿の秘訣ー1

花見 正樹

「あなたは、ストレスを感じたことはありますか?」
いまや、ストレスが病気をつくることから、ストレスが長寿の大敵であることは誰でも知っています。
嫌な出来事と遭遇したり苦手な人と接したり、危険な目に遭うと、脈拍が速くなり心臓がパクパクしてストレスを感じます。
ストレスが生じるのは悪い時ばかりではありません。
高額宝くじに当ったり、難関突破での受験合格、片思いの人から不意に逆告白されたら、たちまちストレス状態に襲われます。
いま「ストレス」という造語を知らない人はいません。
この言葉を創ったのはカナダのハンス・シェリエ博士で、日本にその言葉を持ち込んだのはシェリエ博士からストレス学を学んだ藤井尚治博士と杉靖三郎博士のお二人です。
その教えを忠実に守って日本のストレス問題に取り組んだのが、今井功氏(東京ストレスマネ―ジメント代表)、丸山総一郎氏(神戸親和女子大学教授)、志賀一雅氏(能力開発研究所・所長)、九鬼伸夫氏(銀座内科診療所・所長)、その他多くの方々が、杉、藤井両博士の薫陶を受けてストレス問題に取り組んできました。
不肖ながら私もその中の一人です。
私の場合は、当時の私の事務所兼サロンが藤井博士(医師ながら法学博士)の経営する「銀座内科」と至近距離にあり、二人の共通の知人であるダイヤモンド社設立功労者の棚村耕三師(私の人生の師)の紹介ですから、有無もなく顧問になって頂いてのストレス対策事業がスタートし、それが「癒しの音楽」や「癒しの香り」「癒しの脳波」に発展しました。
これが、私が始めた日本で最初の「ストレス解消サロン」の経緯です。
何しろ新しくて珍しい「ストレス解消サロン」ですからテレビ、新聞、雑誌などマスコミ関係の取材も多く、その都度、藤井博士を呼び出しては「ストレス学」を語って頂きました。
その藤井博士は、好きなコーヒー以上に大のタバコ好きで超ヘビースモカー、24坪のサロンいっぱいに紫煙が広がって来客を煙に巻いていましたが、その当時(昭和50年代初期)は嫌煙権もなく誰も文句を言いません。タバコ好き人間には天国のようないい時代でした。
それから半世紀、思い出したように私がストレス問題を持ち出したのは、「楽しく長寿・ストレス発散」のためです。
ご存知かとは思いますが、厚労省は、従業員50人以上の事業所を対象に、従業員のストレスチェックと、医師によるストレスチェックの結果に基づいた面接指導の実施等を事業者に対して、2015年12月1日からの施行で義務づけています。
従業員数が50名未満の事業所については、当面の間はそれと同じ内容を努力義務としています。
このストレスチェック制度の目的は、心の不調を未然に防ぐ、従業員のストレスの程度を把握する、本人自身のストレスへの気付き、ストレスの原因となる職場の環境改善など、働きやすい職場づくりを進めることで、心身を健全に保つことが出来、医療費も激減すると、政府は考えたのです。この厚労省の考え方は、そのまま「楽しく長寿・・・」にもつながります。
厚労省のストレスチェック制度の実施者は、事業者に指定された医師、保健師又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士となっていて、私など無資格者には出来ませんが、民間の予防医学として行うのは自由です。
そこで次回は、民間で用いられているストレスチェックの各項目を載せます。それらの対応法も順次載せますが、その実践によって「楽しく長寿」、いつまでも元気でアウトドアー!」が私の目標です。
私が「人生100歳」時代の到来を予見しての研究中、取材で102歳時にお会いした国文学者の物集高量(もずめたかかず)博士は、「恋をし続けるのが長寿の秘訣」と私に言いました。私の取材日記には端的に「好色が長寿の秘訣」とあります。
これでは、物集博士に対して多少失礼かと思っていました。ところが博士が106歳でご逝去される前日、検診に来た若い女性看護師のスカートに手を入れて婦長に叱責されていたことを知り、我ながら納得したものです。多分、これは博士の性癖で常習だったものを婦長が見るに見かねたものと推察します。

物集博士がその婦長の叱責でストレス過多となり、一気に寿命を縮めたとしたら、婦長は業務上過失致死罪です。
逆に、物集博士は生きていたとしても看護師が訴えれば公然わいせつ罪で起訴されていたかも知れません。
あるいは、物集博士はそれで満足し、安心して天国に旅立った可能性もあります。
もしも、看護師と婦長が見て見ぬ振りをしていたら、物集博士は元気を回復して、もっともっと長生きしたかも知れません。それでも、当時の男性で106歳の死は珍しく、東京都で初めての長寿記録でした。なお、「女は灰になるまで」の俗諺(ぞくげん)もあり、女性はこのような話には驚かないはず、だから長寿なのです。