『新選租銘々伝』郷里での啓之助-10

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新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は2018年6月1日発行の160号からの掲載です。

信州松代市 道中
『新選租銘々伝』郷里での啓之助-10

池田満寿夫美術館~松代城~文武学校~帰宅

 西方に見える北アルプスの新雪を冠した姿に昔の人も見たことであろうと話しながら歩く。夕刻がせまり、止バス停方面に、〝歴史的道すじ〃 の看板と松代藩文武学校跡の看板があり、だいぶ歩き疲れたが入館することに。朝方真田宝物館でもとめた入館券が使える共通券だったので、開館時刻をすぎていたが入館OKとなった。[文武学校] 旧松代藩がもうけた文武併習の学校、即ち、会津藩を参考にして開校した文武学校。(国史跡指定)。定刻過ぎなので、係員の人がわれわれと一緒に歩いてくださった
が、われわれの後ろから部屋の出入口や雨戸を閉めるので、気もそぞろ、なんとか一回りしたところで係員や入口にいた人たちにお礼をいって外へ出た。ここでも、〝明石〃からの旅人にびっくりされ、今夜、深夜バスで帰るということになおびっくりされる始末。そして、このへんは食事できる店などはありませんといわれる。街灯一つのバス停に、まさに田舎のバス待合所で三方トタン張りのベンチ一つだけ、風の冷たさ、明石と違う、コートが必要! だった。二十分ほど待たされ、うやく長野ゆきバスが。われれのほかには、二、三人乗っていた。さすが地元の人か厚手の上着を着ていた。われわれは初秋の姿で土地のちがいを知る。長野駅につき、ちいさな待合室に、大阪梅田行きの22‥33分初の深夜バスは約二時間半まち。駅前の店は善光寺詣りの客めあての店が多く閉店。駅売店でおみやげ用の「まんじゅう」をもとめ夜食がわり腑とする。外よりはあたたかいが、口数もすくなくいねむりとなる。時間どおりのバスに、リクライニングでようやくからだも楽に。暖房がきいて気分もおちついてくると今日一日のできごとをはなしあう。ややあって窓のカーテンのすきまから見えた星空にびっくり!右から左手は谷間の高原らしく、すそのあたりにも大きな星がみえ、われわれには、松代にきた、大きなおざみやげだった。同乗の人々もまわりを気にしたような声をあげていた。どのへんかわからないまま、途中のトイレタイム以外一日の疲れか眠りを楽tむ。運転手のスピードだしすぎじゃない? と気になりつつもやがてまわりがあかるくなり、大阪ビル群の梅田についた。さすが、定刻どおり。やれやれ、やっと明石へ。