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新選組友の会ニュースでは、新選組に関する記事や会員の投稿文などを掲載しています。その中には、一過性で忘れ去られるには惜しい記事や随筆もあります。それらの力作を多くの人に読んで頂きたく、随時掲載して参ります。
新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は、平成十七年九月発行115号から抜粋しての掲載です。
ヨダとイサミー幻のツーショット写真-1
伊東成郎
依田学海という人物がいます。
天保四年、下総佐倉藩士の次男として生まれた依田は、若い頃から並外れた学才を持ち、また、岡津の中小姓や郡代官の任にも就きました。慶応三年二月には八丁堀にあった佐倉藩邸で江戸留守居役に任ぜられ、幕末の政局の中で、多くの人物と交流を持ちました。
漢学者でもある依田は、その後、明治四十二年に没するまで、劇作、随筆、小説など多方面に活躍し、明治期の文化の重要な担い手となりますが、その筆歴の中でも重要な一つが、自筆の日記です。安政年間から明治三十年代まで書き綴った膨大なその日記『学海日録』からは、年代ごとの依田の活躍を垣間見ることができます。
依田は晩年の明治三十九年に、自分の日記についてこんな感慨を記しています。
日記は私も五十年来誌(しる)している。別にこうと云って意見も何もあるのではないが、若い時から逢った人の話や、現在見た事などは必ず誌して置く。今日となつて繰り返してみると、共頃の事が明瞭に眼前に浮かんで来て、故人などとも話している様な気になります。
(「余の日記」『文章世界】一巻六号)
そんな依田の日記には、新選組に関する記述もいくつか登場します。
○慶応四年一月十六日
江戸城で近藤勇、土方歳三と対面
○同年閏四月十日
京都三条河原で近藤の梟首を目撃
○明治五年二月二十一日
佐倉の牧場で竹柴保次郎から箱館の土方のエピソードを聞く
○明治二十一年十月十四日
東京中村座で松本良順から山南敬助切腹の際のエピソードを聞く
……等々、いずれも大変に興味深い物語が、依田の日記には綴られています。紙数の関係でここには右記四点の全文を紹介は
できませんが、詳細は拙著『新選組と出会った人々』を、ご参照いただければ幸いです。