わが愛しのヒラメちゃん-4

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新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は、平成十七年六月発行114号から抜粋しての掲載です。

わが愛しのヒラメちゃん-4

福島雅子(広島県福山市在住)

考えてみるに、沖田が美丈夫でなくてはならないというのは、「労咳」「夭折」「天才的剣客」から醸し出されるイメージに酔わされていたからに違いない。労咳は美丈夫でなくても罹患するし、夭折もする。美丈夫でなければ天才的な剣客ではないというのも当たらない。顔の問題ではなく、天賦と努力の賜物であろう。
「ヒラメちゃん」は、美丈夫よりもよほど近しく親しみやすい人に感じられる。もう映像で二枚目の俳優でなくても、イメージが違うじゃないかと文句を言わなくてすむ。むしろ、ヒラメちゃん系の人が演じてくれてもいいのだが、映画会社や放送局の人は視聴率などあるから困るかもしれないし、そんなの絶対ダメというファンのかたもいらっしやることだろう。沖田は没後百四十年に近くなつても、いや、これからも永遠に夢を与えてくれる存在なのかもしれない。
沖田総司、わが愛しのヒラメちゃんは斯くも不思議な魅力的な男の子である。
追記
沖田が写真を撮らなかったのは、おそらくやつれた顔を郷里の人々、特に姉に見せたくなかったのだろう。労咳ということも、かなり後まで内密にしている。
写真を見て皆に泣一かれるのは辛い。
元気な時の笥分を覚えていてもらえる方が嬉しいと思ったのではなかろうか。決してヒラメ顔が原因ではあるまい。
それ故にこそ、謎とロマンを残しているのだが、彼岸の沖田は「オイオイ人の顔で遊ぶんじゃねえや」と御冠かも知れない。