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新選組友の会ニュースでは、新選組に関する記事や会員の投稿文などを掲載しています。
その中には、一過性で忘れ去られるには惜しい記事や随筆もあります。
それらの力作を多くの人に読んで頂きたく、随時掲載して参ります。
新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は、平成十七年六月発行114号から抜粋しての連載です。
新しい土方歳三像を創った山本耕史さん。-1
西海千恵子
「土方歳三」が大好きで、どなたがどう演じられるのかという不安と期待で見始めた大河ドラマ「新選組!」でした。
わたしもご多分に漏れず、司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』からはまってしまった一人です。
外見は、写真が残っているのですが、人となりや生き方、考え方はあくまでも想像の世界です。歳さんに会いたくて、幽霊でもいいから夢枕に立ってほしいと、どれほど思ったことでしょう。到底叶うはずのない夢と諦めていたところに「耕史くんの歳さん」に会いました。一目惚れのような衝撃的な出会いでした。俳優「山本耕史」にではなく、「土方歳三」に出会った感じでした。何か伝えたいことがあって、歳さんが出てこられたのかと思ったほど、わたしのイメージにピッタリでした。
ドラマや舞台の世界を知らない者の言うことですので、気にしないで聞いて頂きたいのですが、わたしは「新選組!」の第一回の放送で、初めて俳優「山本耕史」を認識しました。ドラマに疎いわたしでも「ひとつ屋根の下」で文也くんだった人、くらいの知識はありましたが、どんどんわたしの中の歳さんのイメージに近くなる、「耕史くんの歳さん」から目が離せなくなりました。
毎週欠かさず、真剣に見ていました。ドラマを見て久しぶりに泣きました。
ましてや、録画して二度三度と見ることは今回が初めてです。それくらいはまりました。
「耕史くんの歳さん」は、回を重ねるごとに、存在感というか、耕史くんの周りの空気のようなものが濃くなっていくように思いました。l後半は気がつくと、「土方歳三」その人だと思って見ている自分がいて、我ながらびつくりしました。
近藤さんとの場面で、実際のお二人もあんな雰囲気だったのだろうな、と思わせられることがよくありました。ただ黙って近藤さんの傍らや視線の先にいるだけだったり、アイコンタクトをとったりという場面で、居住まいや佇まいとか、視線や表情といったものに演技以上のものを感じました。昔から「眼は口ほどに物を言い」と言いますが、眼で演技ができる、眼に力がある役者さんだと思いました。