「新選組を創った男の町」ー2

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その中には、一過性で忘れ去られるには惜しい記事や随筆もあります。
それらの力作を多くの人に読んで頂きたく、随時掲載して参ります。
新選組友の会主宰・大出俊幸
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今回は、平成十七年六月発行114号から抜粋しての連載です。

「新選組を創った男の町」ー2
仲井正和
(神奈川県川崎市在住)

常磐線の石岡で下車し、跨線橋を渡って鹿島鉄道のホームヘ向かうと、香取慎吾氏のポスターと玉造町作製のポスターが貼ってあるのが目に入った。
ホームへの階段を降りると改札口に係員がおり、「誠」の文字が入った法被を着ている。誠の旗もあるが、玉造町観光協会の名前が入っており、どうやら鹿島鉄道に宣伝をしてもらっているようすである。
「新選組号」 は他の車両とともに検閲区で待機している。やがて常陸小川行となって入線してきた。常陸小川は玉造町の手前にある駅で、そこまでの区間運転が多い。私が乗るのは次の鉾田行である。
新型車両のフロント部に「誠」、側面に「新選組号」と、外観は派手である。この私鉄では全国で活躍していた中古ディーゼル車が現役で活躍しており、それを目当てに全国から鉄道ファンがやってくるので、新型車両で正解である。しかもこの車両は水色の帯を巻いている。赤地の「誠」といいアクセントになつている。法被を着ている係員に車両の横に立ってもらい、写真に収める。
若い係員は「オレでいいんですか」と照れているが、法被を着ているのだから撮ってくれと言つているようなものである。
常陸小川行を見送り、閑散としたホームで待つ。やがて常陸小川から先ほどの車両が戻ってきて今度は鉾田行になる。乗り込んで「新選組号」の乗客となる。これで途中の玉造町まで行きたい。
乗客は二〇人程度で、まあまあの乗車率かもしれない。車内にはNHKのポスターが貼ってあるのみである。乗客の一人が「さっそく鴨さん、ひとり斬っちゃいましたねえ」と同席している客に話しかけている。沿線にはカメラをこちらへ向けている人もいる。
三〇分ほどで玉造町に到着した。帰りも「新選組号」の予定だ。駅に併設されている食堂でかき揚げそばを食べる。かき揚げがあまりにもおいしいので秘密を尋ねたら、一回揚げるごとに油を替えているとのこと。地元で採れる「セリ」を使っているそうである。芹澤鴨の故郷の特産はセリであった。