6、首級のひとつは

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 東京・日本橋髙島屋において、「世界遺産・沖の島展」が開かれています。
会場では、 宗像善樹著「史料にみる宗像三女神と沖ノ島傳説(1600円+税)も好評発売中です。
下記が髙島屋イベントの抜粋です。
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【祝 世界遺産登録】沖ノ島 神宿る海の正倉院◎撮影 藤原 新也
■7月19日(水)→8月1日(火)
■8階 ホール
■ご入場時間 午前10時30分~午後7時(午後7時30分閉場)
※最終日は午後5時30分まで(午後6時閉場)。
■入場料〈税込〉: 一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料
主催:朝日新聞社 共催:福岡県宗像市
後援:「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議、宗像大社
会場構成:三村淳

 福岡県・玄界灘にある「沖ノ島」。かつて国家祭祀が執り行われ、奉納された御神宝のうち8万点が国宝に指定されました。本展では、写真家・藤原新也氏が幻想的な島内を撮影した約70点の写真を一堂に展示いたします。
8月2日(水)は休業日とさせていただきます。
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なお、宗像善樹著「史料にみる宗像三女神と沖ノ島傳説(1600円+税)は、本HP表紙の「出版案内」からAmazonでも購入できます。
続いて、宗像善樹著「マリちゃん雲にのる」の出版日が8月21日(月)に決まりました。内容など詳細は後日に。
ということで「歴史こぼればなし」は、今回も安司弘子講師の連載になりますので宜しくお願いします。
担当講師・宗像善樹。


戊辰白河戦争エピソード-    安司 弘子
(歴史研究会白河支部長、NPO法人白河歴史のまちづくりフォーラム理事)

6、首級のひとつは

新選組は、かつて、幕府の傭兵として京都守護職会津松平容保の配下に属し、反幕の潮流にたちはだかる集団でした。それが鳥羽伏見の戦いで敗れてから、組は解体の危機に陥りましたが、土方歳三を隊長に再編し、若松で会津軍に加わりました。
新選組に出兵命令が下り、隊員百三十余名は、閏四月二十二日白河城下に駐屯します。隊長には、負傷している土方に代わって、京都で新選組三番隊長・副長助勤だった斎藤一(山口二郎)が就任し、初戦は白坂口で指揮しました。
斬首された薩兵のひとり、武川直枝は、もと新選組隊士の清原清でした。慶応三年、新選組内部に伊東甲子太郎らの分派行動があり、隊を離脱して党派を編成(高台寺党)し孝明天皇の御陵衛士となっており、清原は遅れて合流しました。
同年、新選組の刺客が、その伊東らを惨殺(油小路事件)。党は解体し、メンバーは薩摩藩などに庇護され、反体制側に組織されてゆきます。
武川直枝と変名した清原や加納道之助らは、伊地知正治(白河口で薩藩指揮官)の配下につき、江戸に潜行しています。
江戸板橋宿の軍営で、連行された偽名の領袖が、面通しで、新選組局長近藤勇だと見破ったのはこの二人でした(近藤は死刑)。
稲荷山で新選組を指揮していた山口隊長=京都新選組副長助勤斎藤一は、あの高台寺党が脱退したさい、なぜか同調して、隊を去り、油小路事件の前にひそかに復帰した過去があります。斎藤は、近藤・土方が放ったスパイでした。はたして山口(斎藤)は、首級のひとつがかつての同志清原(武川)であることに気づいたでしょうか。