春日の局ー2

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お陰様で全国書店発売になり売れ行き好調のようです。
「史料にみる宗像三女神と沖ノ島伝説」
1600円+税 右文書院刊 幅雅臣装丁
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その場合、このHP表紙の「開運道・出版案内」からすぐ申し込めます。
是非、お試しください。

男勝り才女・春日局-2

宗像 善樹

今回は、春日局の功罪について考えてみました。
日本の歴史に残る女傑は数多く存在しますが、権力を握った男勝りの女性となると日野富子、北条政子、淀君、春日局と名前が出てきます。そのどれもが悪女の一面を持っているのが特徴です。
ということは女傑=悪女、と考えることも出来ます。
春日局は、徳川家の存続に欠かせない将軍の子供を残すための大奥という小づくりシステムを完成させました。
それに文句をつける気はありませんが、そのための莫大な出費を考えると将軍の子づくり経費の効率はあまりにも悪すぎます。
たまたま私の身内に徳川幕府最後の清算をした勘定奉行の子孫がいるものですから、つい下世話なことを考えてしまいます。
大奥には常に千人以上の女性がいて、激しい勢力争いの中で贅沢三昧に着飾って暮らしていたのですからかかる経費も莫大なものだったのは当然で、幕末期の大奥の年間予算は約30万両、今の金額で換算して1両8万円として約240億円になります。
これは、幕府全体の予算の四分の一か三分の一、この大奥の予算の半分だけでも使えたら、日本海軍の発展に心血を注いだ木村喜毅の提案した海軍強化案も通って無敵艦隊が出来たのに残念です。
しかも公武合体を目的に13代将軍徳川家茂に降嫁した皇女・和宮(かずのみや)が大奥に入ってからは、大奥の予算が年間で5万両(40億円)も超過して、幕府の財政はますます逼迫するようになります。
大奥では無駄使いが必要で、野菜や魚など食料品は、御広敷御台所(おひろしきおだいどころ)の仕入れ係りが必要な量の5倍をを仕入れ、使わない分は賄い方の通いの女中衆の役得として家に持って帰るのです。
しかし、莫大な大奥の支出費の半分は衣装代で、御用達品の全てに役人への賄賂が上乗せされていましたから、通常より2割ほど高いのが当たり前でした。
さらに、大奥の高給取り女中の最上級にもなると、現在のお金に換算して年収1500~2000万円だったそうです。
さすがに幕末になっての緊縮財政で、いくらかは節約したとしても年間20万両以下には下げられなかったのです。
春日局は、もう少し効率のいい将軍の子づくり策を考えることは出来なかったのでしょうか?