97歳の”おあばちゃま”
新海 富美代
弥生3月,
今週は雛祭りで女性のお祭り。そこで、今回は先日温泉で出逢った”おばあちゃま”についてお話したいと思います。
甲府にあります「湯村温泉」、昔は有名で賑わっていましたが、最近は温泉宿も減り、昔の賑わいは全くありません。私が好きで良く行く温泉は、湯村温泉をちょっと過ぎて、奥湯村と言う場所にある日帰り温泉です。
家でお風呂に入っていて、お風呂掃除に疲れたり、ゆっくりと温泉に入りたいなあ~と思った時などに良く行きます。温泉の裏側は「湯村山」がありますが、周りは静かな住宅街。多分おばあちゃまは、その近くに住んでおられるのだと思います。電動車椅子に乗り温泉に来ている様子で、私の車の前をゆっくりと走っていました。その時は「あ~何処かのおばあさんがお風呂に来たのか?」と思いながら、私はいつもの様に温泉に入って行きました。温泉に入ってすぐさま、電動車椅子のおばあさんが入って来ました。
「あ!おのおばあさんだ」
と思いました。
私はその温泉の露天風呂が大好きで、その日も露天風呂に浸かりながらリラックスして物思いにふけっていると、しばらくしてあのおばあさんが入って来て声を掛けて来ました。
普段は余り話したりしませんが、おばあさんも私も気分が良かったのか、ごく自然に会話が続きました。そのおばあさんは白髪がとってもきれいで、お話もスラスラと話され、私との会話もはずみ、私がお年を聞くと、何と!!97歳とのこと。私はビックリしました。確かに身体はちょっとやつれ、しわはありますが、歩き方や、話をして頭の切れは鋭いし、驚くことばかりでした。
「どうしてこんなにお元気なのですか? なにか秘訣でも?」
と、お聞きしますと、60代の息子さんと同居していて、息子さんの奥さんが数年前に亡くなり、それからずっと息子さんの食事など全て世話をし、食べる野菜は全て自分で畑で作り、毎日畑に何度となく足を運び、忙しく動いていると言っていました。おまけに、デイサービスの機能訓練を目的とした、施設にも、週2回程通い運動しているとの事。私が女性だけの運動ジムに通っている話をすると言いますと、ジムのことは良くご存じで、「本当は私もそういう所に行って身体を鍛えたい」と、言われ。益々私はビックリしました。さらに、おばあさんは、次のように話されました。
「いつもなら、もっと早い時間に来るのだけれど、今日は息子が会合で夕飯もいらないからと言われたので、ゆっくりと温泉に入って、血行を良くして運動した効果を出したいから温泉に来たんですよ」
おばあさんは、かなりの物知りであり、意欲もありで、ただただ驚くばかりでした。いつか私の中には”おばあさん”という表現から”おばあちゃま”という表現に変わり出しました。おばあちゃまは、「私は100歳までは、大丈夫よ!」と言われ、きわめつけの言葉は、私が年を聞かれ還暦超えてます。というと「私にとってみては、まだ子供ね!!」って言われてしまいました。
私の方が先に露天風呂を出て、衣服を着たり、肌の手入れして1時間半位いたのに、おばあちゃまはまだ温泉から出ては来ませんでした。あのお年で長い時間温泉に入り続ける体力にもビックリ!でした。温泉であのおばあちゃまに出会い、自分が年だ!!なんて言ってられないな? と背中を押された気持ちになりました。自分に”やるべき事”があるって事や、気持ちもの持ち方により、人って変わるんだな? と温泉でのスーパーおばあちゃまに出会い感じました。さあ~まだまだ若い!これから幾つもの花を咲かさなくては、スーパーおばあちゃまに笑われてしまうかも、です。