新渡戸稲造著、桜井桜村訳、幅雅臣装丁、えむ出版発刊、本体5千円。
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村長より
「武士道とは?」
この疑問は、日本の歴史に興味を持つ者であれば誰でも一度は真剣に考えざるを得ない永遠の命題とされています。
そして誰もが、武士道とは、武士の日本的精神の根幹を成すもの、とまでは知っています。 では、その日本的精神の根幹は何か? と問われると、かなりの歴史研究家でもその全容までは理解できていませんので答えに窮します。
現代人の我々が、武士道を貫いて逝った著名な武人に訊ねることは、墓の下迄訊ねても不可能ですが、それを知る手掛かりは残されています。
それが、巻頭の書物、新渡戸稲造の「武士道」の復刻版です。
この本は、日本の「武士道」ながら、1900(明治33)年にアメリカで「Bushido: The Soul of Japan」の名で発刊され、世界的名著となって凱旋し、日本語版でも刊行されました。本著はその貴重な復刻限定版です。
英語版が先になった理由は、渡米していた新渡戸稲造が、米国の法学者に、日本の宗教問題から道徳教育などの質問責めに会い、この質問を何一つ論破できなかった自分に愕然として、日本人の道徳規範について一所懸命考えた末に辿りついた解答が「武士道」だったのです。
勿論、封建時代の武士の道徳観念を根幹とする「武士道」は、そのままでは現代に通じませんが、歴史を学ぶ人にとっては必要不可欠なものであるのは確かですし、歴史に興味がない人にとっても、かつての日本人の考え方や生き方・死に方を知るのには無駄ではありません。
明治時代の書物の復活本ですから当時の翻訳では分かり辛い部分もかなりありますし、これだけでは肩も凝ります。 そこで、このサイトに協力を仰いだのが、坂本龍馬研究家で幕末史研究家の小美濃清明顧問、幕末に渡米した咸臨丸軍艦奉行・木村摂津守のご子孫で「武士道」復刻版発刊の、えむ出版企画社長・宗像信子顧問、執筆陣に「咸臨丸の絆」の著者・宗像善樹講師、これに「戊辰戦争」執筆中の私を加えて、幕末史こぼれ話などを挿入しながら、新渡戸稲造著「武士道」を分かり易く解説して参ります。
写真は「龍馬と刀剣」の著者・小美濃清明顧問の雄姿です。
では、次回からの本編スタートを楽しみにお待ちください。