第十三章、武士道の刀

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新渡戸稲造著、桜井桜村訳、幅雅臣装丁、えむ出版発刊、復刻版・本体5千円。
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 武士道を考えるー16

 第十三章、武士道の刀

 刀は「武士の魂」であり、武士道の力と武勇の象徴でもある大切なものです。
刀を作る刀匠や刀研ぎ師は、必ず仕事を始める前に身を浄め、神前に祈りを捧げます。
その作業場は神聖な領域とされ、真剣勝負の場でもあります。
このようにして作られた神聖な刀は、持ち主にも深く愛され信仰の対象のように大切にされます。
それゆえに、刀を粗末に扱うことは許されず、人の刀を貶すのは、武士に対する侮辱となります。
このように大切にされるべき武士の刀を不当な使用は非難されますし、やたらと刀を振り回すのは卑怯者お行為として蔑まれます。
心が洗練されている武士は、自分の刀を使うべき時をしっかりと心得ていて、そういう機会はめったに訪れない稀な場合であるにも限らず 、必要な時には迷わず、これを用いることも知っていました。
武士の魂とされる刀には霊魂が宿り、武士道における刀の理想は、刀を用いないで済む平和なのです。