
新渡戸稲造著、桜井桜村訳、幅雅臣装丁、えむ出版発刊、本体5千円。
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武士道を考えるー9
花見 正樹
第六章、武士道の礼儀
武士道の礼に対する心がけの中には忍耐という長い苦難にも耐える強い精神力も含まれています。と同時に、人の手柄や喜びを羨まず、つねに弱者にも親切であらねばなりません。また、小さな手柄で自慢したり、思い上がって出過ぎたことを言ってもいけません。
礼儀を守るということは、自分自身の利益や役得を求めず、容易に人の甘言に乗せられてもいけません。ましてや、悪しきことを企むなどはおよそ武士道から外れた邪道としか言いようがありません。
武士道での「礼儀」は、相手を敬う気持ちを目に見える形で表現することでもあります。それは社会的な立場や地位を尊重することを含むものです。ただし、度を越えた形だけの礼は、もはやまやかしです。心のこもっていない仰々しいだけのわざとらしい礼は、相手を軽視した「礼」の心の欠如した偽物の礼儀でしかありません。
武士の「礼」には、必要な条件があります。それは相手の気持ちを知り、相手を尊重するというものです。と、なれば、相手が泣いていれば共に涙し、相手が喜ばばと見に喜び、慈愛と謙遜の心で、人に優しい気持ちになれる・・・これが「礼儀」です。