
新渡戸稲造著、桜井桜村訳、幅雅臣装丁、えむ出版発刊、本体5千円。
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武士道を考えるー7
花見 正樹
第四章、武士道の勇気
誰でも知っている「義を見てせざるは勇なきなり」は、孔子が論語で用いている有名な言葉です。
「勇」は「義」によって起因され発動されるもので、正義の心が勇を鼓舞し、命がけの行動につながります。
「勇気」は「義」と並ぶ武士にとっての最重要な課題であり、永遠の命題でもあります。
勇気とは、義のために死をも恐れぬ魂の浄化による行動する力でもあります。
ここで大切なことは、ただ命を投げ出すことが「勇」ではありません。「自分が正しいと信じたことにだけ命を投げ出す価値がある」ということで、無駄な死は犬死にですから、それを「匹夫の勇」といいます。
水戸光圀公は、次のように述べています。
一命を軽んずるは士の職分であるが、命を投げうつにふさわしくない場合はその場所を退いて命を全うすることが忠節に成る事もあり
その場所で討死にしてこそ忠節に成る事もある。これを思うに、武士は生くべき時には生き、死すべき時には死す。これを旨とすべし。
ただ血気盛んなだけであれば、盗賊でも同様である。武士は忠節に報いるるに相応しい死に場所を選ぶべきである。
新渡戸稲造は「平常心」や「忍耐」も勇気であると説き、誇り高き武士は、落ち着いて冷静に切腹の場に臨む勇気を持ち、いざという時は泰然として自分のお腹部に刀を刺して死ぬことが出来る。これもまた武士として名誉ある崇高な「勇」である、と説きます。