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龍馬と刀剣ー2
小美濃 清明
短刀の謎
坂本龍馬というとまず誰でもが、一枚の写真を思い浮べる。
懐中に手を入れ、ブーツを履いた龍馬は目を細め、何処か遠くを見つめて立っている。
この写真は長崎で上野彦馬が撮ったと伝えられるが、この中にひとつ不思議なところがある。
短刀である。
龍馬は短刀を袴(はかま)の紐に差して立っている。
高知・桂浜に建つ龍馬の銅像は短刀を帯に差している。
通常、刀剣は帯に差すので、桂浜の銅像の方が正しい差し方である。
なぜ、龍馬は短刀を袴の紐に差して写真を撮ったのであろうか。
この謎が解けた時、我々が今まで知らなかった「龍馬の実像」が浮びあがってくる。
龍馬が書き残した書簡は現在、百三十六通発見されてい
る。その中に一通、短い宛先不明の書簡がある。
此本が「刀剣図考」三がん 三寸ばかりあり申候
右の本を御こし
可被遣候(つかわさるべくそうろう)太刀のゑがかいてあるナリ
やどにてかりてあるたんすのひきだしの下タのはしのひき
だしに、自ラさやのたんとふ(短刀)がある
御こし可被遣候
才谷梅太郎(さいたにうめたろう)
謹付貴介申候(つつしんできかいにふしもうしそうろう)
(注)
「才谷梅太郎」は坂本龍馬の変名で才谷楳太郎と署名した書簡も残っている。
土佐・坂本家本家の商家(才谷屋)からとられた変名。
〔貴介(きかい)は、あなたの使者。
龍馬立像
(提供 高知県立歴史民俗資料館)
桂浜の龍馬銅像
(提供 高知県立坂本龍馬記念館)