小美濃清明講師の略歴は上部の「プロフィール」をクリックしてください。
幕末史研究会
事務所:〒180-0006 武蔵野市中町2-21-16
FAX・O422-51-4727/電話・090-6115-8068(小美濃)
Eメール:spgh4349@adagio.ocn.ne.jp
プログアドレス:http://blogs.yahoo.co.jp/bakumatsushiken
第20話 及門録
及門録
佐久間象山塾の門人帳「及門録(きゅうもんろく)は京都大学の図書館にある。一度実物を見たいと思っていた。
それは実物を見ないと分からないことが多いからである。普通、本は黒インクで印刷されている。カラー写真であれば、朱筆はすぐ分かる。しかし、印刷された本では色が判別できない。「及門録」を見るために京都日帰り旅行をすることにした。
新幹線は便利である。日帰りで京都へ行けるのである。
「及門録」を手にして、やはり来てよかった思う。黒の墨、それも頁によって墨が異なる。朱筆で書き入れている文字もある。茶色の筆もある。印刷された本では全く分からない情報がある。
また頁によって紙が違う。書体が違う。
最初の一頁に及門録とあり、これが朱筆である。
門人帳の最初が、白井平左衛、山寺源大夫、水野瀬平、蟻川賢之助、北山安世、岡無理弥、金児忠兵衛、永井庄三郎、金井彌惣左衛門、増田助之■と十名の名前が並ぶ。岡無理弥だけが朱筆である。上に朱筆で松本藩とある。全て楷書である。
八頁に武田斐三郎が黒の墨で加藤遠江守様御家来と肩書きがある。その隣り五十七番目に朱筆で山本覚馬とあり、朱筆で会津藩となる。
十頁に勝麟太郎とあり、海舟だけに殿がついている。お順の夫象山から見れば義理の兄である。殿をつけなければならないのか。勝麟太郎殿と一気に書かれていて、後から殿だけ加筆してはいない同筆である。お順が正室となったあと、この門人帳は清書されたものであろう。
二十頁に伴銕太郎(ばんてつたろう)と朱筆で書かれて、薩州藩と朱筆で書かれている。その横に幕臣と黒の墨で書かれて、たてに棒が黒色の線がある。
二十二頁に黒い墨で吉田大次郎とあり、上に朱筆で「後ニ寅次郎と号ス」とある。吉田松陰である。
二十四頁に黒の墨で八月九日、宮部鼎蔵とあり、横に細川越中守様御家来とある。
三十二頁には朱筆で
長岡藩 川井継之助、土州藩 溝渕廣亟とある。
四十四頁には黒の墨で
土州 大庭毅平
谷村才八
坂本龍馬
と並んでいる。そして、上に十二月朔日とある。楷書ではなく行書である。