龍馬と刀剣ー12

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龍馬と刀剣ー12

「メモ」は鹿児島で書かれたと推定され、龍馬の短刀合口拵は二振りと存在しないと考えれば、「メモ」の白鞘の短刀と『坂本龍馬手帳摘要』の合口拵の短刀は同一のものと結論できる。
そして、その短刀合口拵は写真(龍馬立像)で袴の紐に差されている短刀そのものと考えられるのである。
慶応二年頃、長崎で撮影したと伝えられる写真(龍馬立像)を詳細に調べてみる。龍馬は短刀を袴の紐に差している。通常、このような差し方をしないので、写真撮影の直前、帯に差している短刀を外し、袴の紐に差し直したと考えられる。帯に差していては、短刀の柄しか写らないのである。龍馬は短刀全体を写真に残そうと考えている。
そして、この写真にもうひとつ注目したいところがある。
龍馬は左足を右足の外側に移動させている。脚を交叉させているのである。このポーズをとると腰は自然に回転し、左側に差している短刀は腰と共に、写真に写りやすい位置に移動するのである。
龍馬は腰の短刀を鮮明に写そうと意識的にこのポーズをとっていると思われる。
この短刀合口拵は、龍馬にとって大事な意味を持った差料だったことが判る。
では、この短刀合口拵にどのような意味が込められていたのだろうか。『刀剣図考』からそれを探ってみる。
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