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旅への誘い
忘れかけてた虹が甦るように
一筋の飛行機雲が碧空を切り裂くように
▲
突然二人の旅がはじまるのです
ウールの膝掛けを一枚だけ用意して下さい
憂愁の夜を過ごすためです
きん
星の海を渡るには黄金のゴンドラをだします
それからアルジェの宝石箱もお忘れなく
やがて妖精になったあなたは
デ ュバルクの旋律に合わせて
限りなく拡がる世界を踊り廻るのです
あなたと私の旅はもうはじまっています
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旅への誘い
忘れかけてた虹が甦るように
一筋の飛行機雲が碧空を切り裂くように
▲
突然二人の旅がはじまるのです
ウールの膝掛けを一枚だけ用意して下さい
憂愁の夜を過ごすためです
きん
星の海を渡るには黄金のゴンドラをだします
それからアルジェの宝石箱もお忘れなく
やがて妖精になったあなたは
デ ュバルクの旋律に合わせて
限りなく拡がる世界を踊り廻るのです
あなたと私の旅はもうはじまっています
僕の日記帳
六月十八白 僕の誕生日
僕が生まれたあの時は 別に野心はなかったが
産湯につかるあの気持ち なんとも言えなくよかったぜ
満五歳の宮参りの日に
五つのときの宮参り 靖国神社でだだこねて
賽銭あげずに貯金して 今まで続いたマネー・ビル
小学校三年生 初恋の日記
小学校の三年で 女の先生に恋をして
手紙を書いて打ち明けて 後で呼ばれて立たされた
中学生ニキビの日記帳
鏡を見つめてニキビとり中学二年のその頃は
ギターを弾いて慰めて今まで歌い続けてる
昭和三十八年一月九日
こうして朝から歌ってもなんだかちょつぴり物足りない
朝飯ぐらいはしみじみと早く行きたい女房のところ
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私のピアノ
私のピアノは 不思議なピアノ
生まれた日から いつも一緒で
悲しい時は 泣いてくれるし
嬉しい時は 笑ってくれる
私のピアノは 歌が好き
ワルツやタンゴ ルンバ ボサノバ
l
世界のリズム 何でもこなす
踊り出すのさ あの足取りで
私のピアノは 旅が大好き
一人で空を 飛んでゆ l≦のさ
エッフェル塔を 見下ろしながら
セーヌまたいで シャンゼリゼまで
パリのホテルの 素敵なサロン
おめかしをして 出かけたピアノ
衣ずれの音 ざわめきの中で
夢を叶えた 私のピアノ
私のピアノは 不思議なピアノ
生まれた日から いつも一緒で
悲しい時は 泣いてくれるし
嬉しい時は 笑ってくれる
いついつまでも 私のピアノ
ぼくの母さん 水戸生まれ
水戸の名物 梅の花
それに因んで 名は梅子
若いころには鷺を 鳴かしたこともあるそうな
その名のどとく忠実に
うめよふやせよ 七人も
子供ができた 末の子が
今ここに居る この私 歌が好きなの 親ゆづり
うた
むかし詩の大すきな
梅のつぼみも 年をへて
梅干しふうになったけど
いついつまでも 梅の木は 丈夫で枯れずに居て下さい
人魚の泪
月の光をあびて 砂浜に散る真珠は
人を恋した人魚の なげきの泪
満月の入江の岩陰 聞こえる歌声
波にはかなく 消えゆく
若い一人の漁師は 砂浜に散る真珠を
拾いあつめて いつも 大事にしてた
春の日の優しい光にまどろむ漁師は
可愛いい 人魚と出会った
はじめて知った恋は あまりにもせつなくて
どんな綺麗な花より 美しかった
愛しても叶わぬ恋だと知りつつ漁師は
大事な真珠を渡した
月の光をあびて 砂浜に散る真珠は
人を恋した人魚の なげきの泪
満月の入江の岩陰 今でも聞こえる
哀しい 恋の歌声
砂丘
鳥取の砂丘は白くて広い まるで大きなすり鉢みたいだ
僕は歩く 素足で歩く .
遠い海の潮騒が空しく胸に呼びかける
鳥取の砂丘どこまで続く いつか見た夢 アラブの沙漠か
僕は歩く一人歩く
よどれた僕の心臓が都会の煤をはき散らす
鳥取の砂丘はひどくつれない いじわる女の冷たい仕打ちだ.
僕は歩く 空しく歩く
風の残した足跡が 白い心を嘲笑う
鳥取の砂丘よ 白い砂丘よ 果てしなく遠い夢の続きよ
僕は歩く どこまでも歩く
遠い海の潮騒が空しく胸に呼びかける
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ここはチュルリー公園
あの梢の先に冬がとまっているのかなと
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歴史と芸術の重さに圧倒されて
かろやかなシャンソンの流れと
公園の人影もまばらになる
人生のなかばをあゆみ
ふれあう肩のぬくもりを
ここには
パリの憂鬱がない
あおい湖をすぎると
神秘の森に出会いました
ここは パリ発祥の地といわれている
中の島あたり
パリの空の下 秋が流れてゆく
耳をすますと
ナポレオン将軍の
靴音がきこえてくる
僕はエトワールの凱旋門より
ずっとたくさんこの古い
カルーセルの
凱旋門を愛する
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灰色の空でさえ
あなたの夢のスケッチのカンバスになる
おおらかな愛のこころと一緒に
いつでも心の中に
ほほえみを忘れないようにしよう
季節のうた
十月の季節のハーブ
十本のはりつめた 絃(いと)が
高原の唄を運び
泉のせせらぎを奏でる
指折り数えて待った十月は
季節の果物を運んで
食卓を飾り
桔梗色の空には白い綿雲が
夏の憶いでをのこして浮かんでいる
十月は季節のハーブ
十本のいとが僕のこころに
秋の幻想を奏でる
夏が来る
東京は冬から夏へすぐ移る
春とか秋が短くて
五月と云うともう暑い
汗を拭きふき山登り
海水浴の計画も
早めに立てて友達と
海辺に部屋でも
借りたいな
宏
四 月 の 風
白いまきげの犬ころがいる
午後の芝生に
くもりガラスを透した様な
太陽が降る
四月の風がレースのカーテンを
ゆさぶりながら
あおい風を運んでくる
とおくでは下手な
ピアノが
あくびしている
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六月のうた
どんより曇ったしんじゅ色の雲は
濡れてくる恋の涙をこらえているのか
今にも崩れそうな六月の雨は 恋する男の描く
灰色の絹のカンバスだ
海は 波立つところで明日を期待しているのに
風は 一向にはげしい愛撫を与えてくれない
都会の女は 胸に真珠のたまを
飾っているけれど
あれは六月生まれの男が
胸で流した涙の結晶だといことを
知っているのだろうか
五月の色
五月の色はエメラルド
深いみどりの宝石の
中に秘めた愛の夢
五月の風は恋の風
海を渡ってやってくる
オレンヂ色の愛の唄
五月の雨はみどりいろ
道に面した窓あけて
濡れた舗道を見てましょ
花
昔の人は桜の花をこよなく愛したらしい
今の人達はどうだろう
僕はなぜか桜の花を思うと
酔っ払いと食べ散らかしたお花見のあとの
紙屑を連想してしまう
だから僕は すみれ や たんぽぽみたいな
野に咲く小さな花の方が 春らしくて好きだ
さくらんぼ 実るころ
まあるくて
ちょっぴりすっぱい
さくらんぼ
赤ちゃんのほっぺのような
さくらんぼ
八百屋のおじさんが
ざるに入れて持ってきた
さくらんぼ
塩水でよく洗って
お皿にならべたら
雨上がりの雷さまが
とおくに走って
ゆきました。
無 題
雨 雨
雨は去年の想い出を
そっと忍び足で運んでくる
傘をさして雨の中を歩く
雨のにおいがなつかしい
雨 雨
去年もこの道に山茶花の花びらが
こぼれていたっけ
雨 雨
四月の雨
泉のほとりで
四葉のクローバーを見つけました
白いみず鳥と白い雲だけが
水の上を走っています
私はとても淋しかったけれど
今日もひとりぽっちで
泉のほとりを散歩していたのです
杜のむこうではお祭りの花火が
上がっているのに
小さな舟は私を迎えに来てくれません
まだ早春の風がつめたいので
白いオーバーの襟を立てて
いつまでもここで待っていましょう
四葉のクローバーを摘みながら
雨 降 り
白磁の壺に
紅の小枝を活けました
外では
誰かを待つような
静かな雨が降ってます
春の足音を聞きながら
田舎への手紙を
書いているのです
寒 い 夜
もうぢき 春がやってくる
夕方なんかなんとなく
あまくて泣きたくなる様子
そんな空気が匂います
電気スト-ブの赤い火は
ちっともうれしくないけれど
消してしまうとさびしくて
やっぱり寒い夜でした
もいぢき春がやってくる
よおくみると分かります
銀座の柳が細い芽の
頭をちょっぴりだしてます
ソラカラ
ナニカキコエテクルヨウナ
メデタイ オ正月
松カザリヤ オソナエモ
ミンナ ニギヤカナココロデ
黙ッテイル
オロシタル
キモノデハナイケドモ
ナルベク
シワガヨラナイヨウニ
キチント
襟元ニ気ヲツケテ
誰カヲ待ッテイルンダ
ダアレモ来ナイ オ正月
小鳥ヤ
深海魚ヤ
猫ダケガ
僕ノ応接間ノオ相手サ
ソレニ鳩時計モ
ダンロノ火モ
燃エテイルンダゼ
リリリリリントベルガナル
サット椅子カラ立上ガル
サテコソ待ッテル
オ客サマ
ネコヲ膝カラ「ニャン」ト捨テテ
玄関ノ戸ニ手ヲカケル
「ナーンダ 郵便カ」
ダアレモ来ナイ
ソレデモ僕ハ淋シクナインダ
ダレカガ キット ドコカデ
ボクヲ淋シク待ッテテクレルカモ
シレナイモノネ
「シャンソン&シャンソン館を宜しくお願いします」
日本シャンソン館は、2015年7月14日に創立20周年を迎えました。
その記念すべき日に、芦野宏詩集を「そんじゅ」を刊行できたことを大変うれしく思っております。日本シャンソン館の創立者であり、半世紀以上の長きにわたり日本のシャンソン界を牽引してきた父・芦野宏は、長年にわたり詩も書きためておりました。詩集に収められている詩の多くは、芦野宏ファンクラブ会報「芦野会だより・そんじゅ」(1955~1981年)に掲載されていたもので、詩集のタイトルとしても使用いたしました。
「そんじゅ/SONGES]とは、フランス語で夢という意味です。収められている詩のなかには、実際に曲が付き、本人が愛唱していたものも含まれています。この詩集によって、芦野宏の新たな一面を皆さまに感じ取って頂けましたらこれほど嬉しいことはございません。
日本シャンソン館 館長 羽鳥功二
「芦野宏さんは私の心の中にも生きています」
ご縁があって私(花見正樹)は、芦野宏様はじめご家族の皆さまに親しく長いお付き合いをさせて頂いております。芦野さんといえばシャンソン界の大御所で知らぬ者はいませんが、テレビドラマ主演、俳優として映画出演、画家としても8年連続二科展入賞&入選の実績があり、赤坂に画廊を開いていた時期もありました。さらに拙著に挿絵を頂いたり音楽制作を共にしたりと想い出は尽きません。そして今、ここ開運村HPに芦野宏・詩集&エッセイのコーナーを設けることで芦野宏さんの永遠の命が甦り、私の心の中にも生きています。この機会を賜りました芦野令夫人・羽鳥由希子様、日本シャンソン館館長・羽鳥功二様(お世話人紹介参照)には心から感謝申し上げます。 日本シャンソン館のHPは表紙左上ホーム右の小字「日本シャンソン館」を、掲載済み本文は、表紙左上ホーム右の「投稿ページ一覧」をクリックしてお楽しみください。 開運村村長・花見正樹。
付記。
「芦野宏詩集・そんじゅ(日本シャンソン館刊・1200円+税)」ー>日本シャンソン館へ。 芦野宏著「幸福を売る男(NHK出版協会刊(税込み1728円)」ー>↑上記または全国書店へ。その他CD・DVDなどご希望の方は日本シャンソン館HPをご覧ください。なお、本HPは他への転載は禁じられています。