幸福を売る男
芦野 宏
Ⅱ 夢のような歌ひとすじ
3、初吹き込み・初渡仏
ジローとの再会-3
昭和三十一年十二月、パリからの帰途、カルカッタで以前から約束されていたコンサートを開いた。映画館を借り切ってのワンマンショーであった。私のショーの前に第一部として、インドの民族音楽、シタールの演奏と民族舞踊が行われ、私は無理やり客席中央に座らされて鑑賞させられた。正直いって退屈だった。同じフレーズのメロディーが何度も何度も繰り返されるし、踊りもみな同じように思えたが、隣の席に寄り添う主催者側の方は、真剣に英語で説明する。この国の人たちは、自分たちが世界一の歴史をもつ世界一すぐれた民族であると、心から思っているのだ。
第二部の 「芦野宏ワンマンショー」では、まだ駆け出しの歌手でレパートリーも少なかったから、デビュー前からのおはこも入れて世界歌めぐりとした。シャンソンは四曲くらいにし、イギリス、ドイツ、スペイン、アメリカ、日本の歌というプログラムであった
が、学校時代に習っていたドイツ語がこんなところで役に立ってくれた。
ペコーとはなぜか心の波長が合って、彼が日本へ来たときも、また私がそれから四年たってパリでレコード吹き込みのために
行ったときも、特別な好意をもって付き合ってくれた。ダイナミックでエネルギッシュな歌い方で 「ムッシュ十万ボルト」と愛称されるジルベール・ペコーの曲は、私には似合わないと思って最初は敬遠していた向きがあった。のちにNHKのテレビ番組『くらしの窓』で週に三日、
一日二、三曲ずつシャンソンを歌うようになったとき、ペコーの曲のリクエストが多く、「白い舟」「居ない人」「もしもお金
があったら」「私の仲間たち」「ふるさとへ帰ったら」など、私は訳詞のなかにし礼さんと組んで、どんどん新曲に取り組んでいって好評を得た。大晦日のNHK『紅白歌合戦』では、昭和三十二年に「メケ・メケ」を歌い、三十三年には「風船売り」を歌ってジルベール・ペコ一にメッセージを送った。
日本シャンソン館最新情報
2月ライヴスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。
日 時
開演時間 出 演
2月2日(土) 11時~/14時~ 山添恵子 ピアノ:日野香織
2月3日(日) 11時~/14時~ 小林美恵子 ピアノ:大美賀彰代
2月9日(土) 11時~/14時~ 原れい子 ピアノ:日野香織
2月10日(日) 11時~/14時~ MIKAKO ピアノ:日野敦子
2月11日(月) 11時~/14時~ 岩崎桃子 ピアノ:松川裕
2月16日(土) 11時~/14時~ 山添恵子 ピアノ:安藤伸彦
2月17日(日) 11時~/14時~ 原れい子 ピアノ:江口純子
2月23日(土) 11時~/14時~ 藍澤幸頼/瀧本真己 ピアノ:近藤正春
2月24日(日) 11時~/14時~ あみ ピアノ:今野勝晴
詳細については再上部の「日本シャンソン館のご案内」をご覧ください。
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