幸福を売る男
芦野 宏
Ⅱ 夢のような歌ひとすじ
3、初吹き込み・初渡仏
本邦初のポピュラーLPと東芝専属時代-4
演歌のクラウンとして 「北島三郎さん、水前寺清子さんをかかえている会社が、なぜ私に声をかけたのだろう」と思った。東芝との話し合いはクラウンからしてもらうことにし、伊藤社長の 「声野宏で新たにポピュラー路線を確立したい」とのたっての望みで、私は移籍することにした。
昭和五十三年から一〇年足らずの短い在籍であったが、多数のシングル盤やリサイタルのライヴ録音などを発売していただいた。そして昭和五十八年にはスタンダードなシャンソンをそろえ、タンゴやラテンも加えて、ファンの要望に応える、充実した二枚組LPを出していただいた。このLPは昭和六十三年にCD 『芦野宏の世界-私のシャンソン史-』 になり、今に続
く「ロングセラー」 となっている。
クラウンCD「芦野宏の世界一私のシャンソン史-」(1988)
(注)
CDが従来のアナログ・レコードにかわるべく、ソニーとフィリップスによって開発され、デジタル時代の開幕を告げたのは昭和五十七年 (一九八二)。
ペコー主演映画『遥かなる国から来た男』がパリで上映中だった。