ミスター・ガーリック
芦野 宏
ミスター・ガーリック 孤独な紳士 それでも元気者
ニンニク好きなジェントウルマン 外国暮らしが身にしみて
パリで覚えたカタツムリ 上海料理のあの味も
それがなければ物足りない
今じゃチラチラごま潮の シルバーグレーとなったけど
これを食べてりゃ大丈夫
ミスター・ガーリック 友達じゃないが それでも恋をする
初めの彼女はデパートの 漬け物売り場のお嬢さん
有楽町でお茶飲んで 宮城広場を散歩して
やさしく抱いて頬寄せて 恋を語ったそのとたん
彼女たおれて救急車 今日もはかなく男泣き
ミスター・ガーリック「まあ、くさいわね」さみしいピエロ
「ニンニク食べるのやめなさいよ」それでも
「まだこりないの」 恋をする それでも
「まだこりないの」 やめられない
「もう絶対だめよ」 やめられない
「せめてトウガラシかコショウぐらいならネ」
ミスター・ガーリック それからあだ名を変えた
ミスター・ペッパー 「なかなかいい名だろう」
「あなたはもともとダメなのよ」「ハッ、ハイ」
ミスター・ガーリック