幸福を売る男
芦野 宏
Ⅲ 新たな旅立ち
5、パリ・コンサートをめぐつて-5
パリ今昔-2
「星を夢みて」
訳 薩摩 忠
詞 J・ラリユ
曲 H・メ イ
風 あまく歌い 月 かすむ今宵
夢 ささやく空の下 星の またたきよ
吾が 胸にふかく 頬 寄せる君の
夢 みる濡れた瞳よ 星を 夢にみる
これは昭和三十年、日劇 『秋のおどり』 で歌い、ポピュラー歌手としては日本で初めて(昭和三十二年) ウエストミンスター・レコードで制作したLPレコードのなかに吹き込んだ、私の歌である。
原曲はティノ・ロッシがコロムビア・レコードのSP盤で歌っている。シャンソンを歌いはじめてフランス語で歌った最初の曲だったと記憶している。まだ新人としても認められなかったころ、猪熊弦一郎画伯夫妻が私を当時のフランス大使であったレヴィご夫妻に紹介し、大使館のサロンで歌わせてくださった。
いうなれば、私にとっては大切な思い出の一曲なのである。淡路島で過ごした夏の夜空があまりにも美しかったので、思わず口ずさんでしまった。
ス・ソワール ドン・ル・スィエル・イマンス (今宵この広大な天の下で)
ル・ヴォン シャンテ・サ・ロマンス (風がロマンを唄う)
しっかりと勉強していたフランス語で、しかも、ささやくような小さな声で私は歌った。ルルとリーヌは目を閉じて、じつと聴いてくれた。私と妻は三〇年前のあの夜のことを思い出していた。それはリーヌ・ルノーの夫であるルル・ガステに初めて会った夜であった。
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◆営業を再開しております◆
※シャンソンライヴの開催は見合わせております
平素より日本シャンソン館をご愛顧賜りまして、誠にありがとうございます。
日本シャンソン館が休館となってから、早3ヶ月が過ぎようとしています。
その間に新型コロナウイルスの感染拡大のスピードも徐々に弱まり、少しずつではありますが、
普段通りの日常が戻りつつあることを嬉しく感じております。
群馬県制定のガイドラインの警戒度が「1」に引き下げられたことから、日本シャンソン館は、
7月6日(月)から営業を再開させていただく事となりました。
日本シャンソン館は、7月14日に25周年を迎えることとなりますが、まだ暫くの間、3密を避けなくてはいけない状況が続くため、
誠に残念ではございますが、多くのお客様が集まる「パリ祭」や記念のイベントは行うことができません。
また、通常のシャンソンライヴに関しましても、7月からの再開はできませんが、できる限りの感染予防対策を行った上で、
早い段階での再開を目指して準備を進めております。
夏本番に向けて、庭の草花たちも緑鮮やかに元気いっぱいです。
スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ちしております。
また皆様と笑顔でお会いできる日を楽しみにしております。
日本シャンソン館 館長 羽鳥功二
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