石井音楽事務所時代とその前後-5

幸福を売る男

        芦野 宏

 Ⅲ 新たな旅立ち

4 石井音楽事務所時代とその前後-5

 「歌の明治百年史」リサイタル-3

 作曲家の服部公一さんは、山形市の出身で、私と一緒に相談しながら作って発表した「ふるさとの漬物の唄」が、その意外性も含めて大ヒットしたため、次々と新しい歌に挑戦してきた。
「みんでんなすのうた」「みちのくの童話」「日本の泣き笑い」などである。いずれも労音や民音関係の連続リサイタルで発表し、全国を歌って歩いた。
一五周年リサイタルで発表した「紙芝居と私」は、紙芝居の元祖といわれていた加太こうじさん(故人)の下町のお住まいまで出かけていってお話を伺ったりしながら作った力作だった。
 年月は容赦なく流れて、今や昔の紙芝居を知っている人間は少なくなっている。
(注)
 昭和四十六年(一九七一)六月十四日~十八日の五日間、銀座のヤマハホールで連続リサイタルが催された。第一部で新しいシャンソンに加え、日本の無名の新人が作った新曲をギターの弾き語りで披露した。二部では昨年のリサイタル(ファミリー劇場)で好評だった人形(ひとみ座)との共演を織り込み、第三部は毎晩日替わりのバラエティに富んだプログラムを組んだ。初日がシャルル・トレネ、統い てジルベール・ペコー、エンリコ・マンアスとアデモ、シャンソン・コミック、シャンソン・ドパリ (パリと名のつく歌)という内容である。 シャンソンには、現実的シャンソン、幻想的シャンソンまたはシャンソン・コミック(滑稽・風刺シャンソン)、魅惑?ンヤンソン(感傷的シャンソン)、文学的シャンソンなどがあるとされる。それらの一つを得意とし、持ち味とする歌手もいれば、二、三ないしあらゆるものをこなす歌手(たとえば、イヴ・モンタン)もいる。また前者のなかには、なにを取り上げても一つの傾向、たとえば現実派風に歌う(聞こえる)歌手もいる。
 蛋宏は現実的なも詔ともかく、いろいろなジャンルを歌、冬聴かせるタイプのようだ。「コミック」の分野では先賢であり、本場のシャンソン小屋で学んだ雰囲気を現出するにふさわしいホールを選び、芸域の広さと個性も発揮させようと望息気込み冒ブだ。本人は「歌手生活も十七年たったし、この際自分の可能性を試したいと思う。今度のプログラムはその意味でかなりの目険だが、トレネやペコ1の歌も日本語で歌い、原語ではわからない〈シャンソンの味〉も知ってもらうつもり」と語る。

ーーーーーーーーーー5月ライブスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。

日 時 開演時間 出 演
中止させていただきます

6月ライブスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。

日 時 開演時間 出 演
中止させていただきます

※中止となりました
2020年7月4日(土)・5日(日)
シャンソンの祭典
第58回 パリ祭 
(NHKホール)
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