幸福を売る男
芦野 宏
Ⅲ 新たな旅立ち
4 石井音楽事務所時代とその前後-3
新しい事務所で-2
菊池事務所時代から数えると三回目になる北海道公演旅行は、このころであった。加藤登紀子さんが第二回のシャンソン・コンクールで優勝し、「赤い風船」という曲でレコード大賞新入賞を受けたあとだったと思う。私たち一行一〇人は稚内の公演が終わると、翌朝、野寒布(のしゃっぷ)岬のほうまで足を延ばしてみた。流水が凍結して、海の上を歩いて利尻島まで行けそうな気分は、まさに爽快そのものであり、寒いけれど空気がおいしい。やはり冬の北海道はいいなと思うようになった。
加藤さんとは冬の北海道だけでなく、全国各地の労音でご一緒した思い出がある。新人歌手として私の前座を務めてくれたのだ。田舎の宿はほとんど木造の旅館で、隣の部屋の様子がなんとなく聞きとれたりする。お堂紀さんの部屋から夜中の一時を過ぎても、かすかなギターのつま弾きが洩れていて気になることがあったが、旅から帰ってから聞いたら、あのとき「ひとり寝の子守唄」を考えていたらしい。彼女はいつでも、どんなときでもなにかを考え、lなにかに挑戦している。
今や加藤登紀子といえば、作詞活動から陶芸・書道と、なんでもこなす実力派歌手に成長されたが、とてもかわいい性格をもち続けている一面もある。私と雪の北海道を旅しているとき、「今とても偉い人に手紙を書いてるんだけど、こんなふうに書いていいものかしら」と私に相談してくれた。宛名を見ると森繁久弥さんであった。ちょっとしたことだが、かわいい後輩だと思うようになった。こんなところが、藤本敏夫さん (ご亭主)にも愛される、仲の良い夫婦円満の秘訣なのかなと思い、陰ながら柏手を送っている。ちなみに、あの手紙を見せてもらっさ演などでご一緒 加藤登紀子さん‥967頃)て約半年たってから「知床旅情」が加藤登紀子さんの歌によって爆発的な大ヒットとなった。
-------
5月ライブスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。
日 時 開演時間 出 演
中止させていただきます
6月ライブスケジュール
※変更になる場合がございます。ご了承ください。
日 時 開演時間 出 演
決定次第、ご案内いたします
2020年7月4日(土)・5日(日)
シャンソンの祭典
第58回 パリ祭
(NHKホール)
(裏面) 時間:16時15分開場 17時00分開演
会場:NHKホール
主催:パリ祭実行委員会、一般社団法人 日本シャンソン協会
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
公益財団法人 日仏会館
★ チケット発売中 ★
※日本シャンソン館ではS席(10,000円)のみの取り扱いとなります。A席、B席をご希望の方はチラシに記載されてるお申込み先まで、ご連絡をお願いいたします。
--------------------