散る花、咲く花


 都内の桜は今週いっぱいが見ごろのようです。
 これからは桜吹雪の下を歩く喜びが加味されます。
 そんな春爛漫のこの季節に、次のようなメールが飛び込みました。
 東京近郊在住の開運道会員さんからです。

「息子の入学式が無事に終わりました。
 今、息子のアパートにおります。
 入学式同日に、娘に子供が生まれました。
 初孫です。
 そして、同日の夜に入院中の実の父親が亡くなったと連絡が入りました。夜が明けましたら、いったん家に帰りますが、すぐに実家へ帰省します。
 父は息子と娘の要件を待ってくれていたように感じます。不思議な感覚です。でも、そんな気がしていました。
 いろんなアクシデントもありましたし・・・」

 私は複雑な気持ちで返信をしました。
 お父上様のご逝去へのお悔やみ、初孫のお誕生祝い、息子さんの大学入学祝いです。
 それにしても人の生き死にの不思議さを感じますね。これだけで見れば人は間違いなく輪廻の中で生きています。
 生まれた子は一生、この祖父を精神的支柱として敬うはずです。しかも、祖父がいつも見守ってくれている・・・
 この強い意識がこの子を大きく逞しく育ててくれることでしょう。たまたま、私は22歳になる孫娘とその友人数人と食事をします。
 その孫娘の子が生まれるとき私は? やはり、この話題には触れないでおきます。
 散る花も咲く花も幹は同じ・・・そんな感じです。
 

隠居の悲しみ


 3月もあと1日、2日後には増税で不景気の新年度がスタートします。もうすぐ、小さな体に不似合いなランドセル姿のチビっこ1年生もあちこちで見られます。
 今朝のテレビでみた天気図では、低気圧が急速に発達しながら本州に急接近しています。多分、この日曜日の夕方には全国的に雨や風が強まることでしょう。
 桜はまだ3分咲きですから散ることはありませんが、春の嵐は気まぐれですから大雨暴風には警戒が必要です。局地的にしろ激しく大量の雨が降れば、低い土地の浸水や土砂災害などで被害も出ます。こんな日は家にいるに限ります。
 5、6年前までは休日の夜明けには栃木の山に入って渓流釣り三昧だった自分が、呆れるほど出不精になっています。
 その一番の理由は、いつも一緒だった釣友を失ったことで、二番目は自分自身の体力の衰えです。以前なら多少の雨など気にせず釣りをしていて、増水に気づいて崖を登ったことも何度かありました。
 6月解禁の鮎に備えて体力づくりを兼ねての山釣りです。3月の渓流釣り解禁には夜明け前に河原で火を焚いて暖をとったものです。その釣友は私と同年で漁協の役員でしたから、ヤマメやイワナの溜まり場を熟知しています。
 そこで私のような下手な釣り師でも釣れたのです。雪が解けて渓流の岸辺の梅が終るとコブシが純白の花を咲かせ、桜がそれを追って咲きます。
 私は桜が好きです。
 桜の名所はあちこち見て歩いていますが、最高の穴場は家の近所の公園の桜でした。
 7本ほどの木が満開の桜で空をおおって風に揺らぐ光景はまことに絶品でした。
 その桜の下のベンチで、たった一人で本を読むのですが、舞う花びらがページ毎に挟まれてゆきます。ベンチ下の地面は花の絨毯になり素足でも汚れません。
 この年に一度だけの贅沢、これが近所の公園で独り占め出来たのです。
 なぜ、これが過去形かと言いますと・・・木の枝がそっくり切り落とされていたからです。
 花見の名所だった青梅公園の桜は、蔓延するサクラウイルスで全滅ですが、ここは違います。公園の脇に住む住民が、桜の花びらでドブが詰まって排水が滞り庭に多少の被害が出たと陳情したそうです。
 被害の弁償を訴えられた市では、その陳情を受け付けて公園の木の枝を切ってしまったのです。なにか、もっといい解決策はなかったのか?
 年に一度の密かな楽しみを失った隠居の悲しみは・・・桜のミツを失った蜂どもなら理解してくれるはずです。

遅咲きの梅


  ようやく、わが家の庭の梅の花が五分咲きになりました。今朝はメジロのつがいが、枝に挿したミカンを突いていました。ところが、それを見たムクドリがいきなり襲ってきてメジロを追い払い、我が物顔にミカンを食い荒らしています。
 思わず室内から睨んだら、こちらをじっと見てから嘲笑うような声を残して飛び去りました。
 今年はまだウグイスは姿を見せていません。ここのところ年々、ウグイスもメジロも明らかに姿を減らしています。その分、オナガ、ムク、カラスなどが増えているような気がします。
 わが家の梅は遅咲きですから、家で梅の花を眺める頃はコートを脱ぎます。
 ところで、私は長い間、梅はウメ科の植物だと思っていました。ところが、梅はバラ科サクラ属だと知って驚いたことがあります。
 何だか百獣の王のライオンがネコ科で満足しているのも不自然ですね。これこそ是非、ライオン科として独立してほしいものです。
 なんだか梅と桜は、ライオンとトラのような関係にも思えてなりません。お互いに自分の方が偉いと思っているらしく、両者は永遠に相容れないような気もします。トラとライオン、桜と梅、どちらもプライドをもって人々の注目を浴びます。
 いにしえの歌人は、花をよく詠みましたが、櫻より梅のほうが多く詠まれています。ならば、梅さんは胸を張って日本一を誇示してもいいはずですね。
 ところが、世の中そう甘くはありません。意外な伏兵がいるのです。
 万葉の昔から、和歌の世界では萩が梅を抑えて圧勝、秋の月と萩は春の梅と桜より強いのです。それでも、梅を詠んだ歌にはいいものがありますね。
 私の好きな歌もいくつかありますが、読み人は知りません。

 梅の花今盛りなり思ふどちかざしにしてな今盛りなり
 春の野に鳴くや鴬なつけむと我が家の園に梅が花咲く
 梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしのに君をしぞ思ふ

 群馬県安中市に開運道講師の占術家(故人)がいて、近くの梅林に誘われたことがあります。安中市の北側に秋間川という清流があり、その上流の丘陵一帯に3万本を超える紅梅、白梅の秋間梅林があります。妙義山を眺めながら梅の香りを楽しむのはなかなか風流なものでした。
 ところが、その安中からほど近い高崎市の箕郷梅林は、東日本随一の規模を誇る梅林で約10万本だそうです。これからみたら約千本の越谷梅林公園や約5百本の湯島天満宮では規模で相手になりません。
 では、梅の名がいいし、有名ですが、残念ながら梅専門のウイルスで病に懸かり公園内の梅は一本残らず伐採されます。同じ病原体の梅ウイルスは、あちこちに飛び火して、ついに梅の聖地の水戸偕楽園にも被害をもたらしています。そのウイルスの蔓延をふせぐ唯一の方方が伐採では、櫻派の私としても悲しいことです。
 日本三大梅林といえば水戸の偕楽園、金沢の兼六園、岡山の後楽園だそうです。
 でも、梅は多ければいいというものでもありません。
 合格祈願の絵馬でいっぱいの湯島天神の梅もなかなかですし、福岡の太宰府天満宮、亀戸天神の梅も・・・ここで、はたと気付きました。梅の名所には学問の神様・菅原道真公を奉じる神社が多いのです。
、梅祈願=合格=サクラ咲く、と、桜はメールのお知らせ文面に登場するだけで、学問には何の役にも立っていません。もしかすると、梅を眺めると頭がよくなるかも知れません。
 そう思って、ウグイスの来ないわが家の五分咲きの梅を眺めています。やはり、小さな木ながらわが家の梅が一番・・・こう思いながら、です。

カキは美味しい


 土曜日午前中(今は11時台)の私の日課には、携帯での山口放送ラジオ出演があります。
 それを終えてひと休みのお茶タイムは、テレビをつけてお昼のNHKニュースです。気が向くと、そのままニュースに続く関西NHK制作の「バラエティ笑百科」を見ます。そこに出演するタレントの上沼恵美子さんの大ボラと毒舌が奇想天外で面白いからです。
 本人の弁によると、大阪府内の殆どの土地は上沼家のもので、大阪城も観光用に上沼家が貸し出しているそうです。本当か嘘かは、登記簿を見ていませんので私には分かりません。
 しかも、上沼家のお年玉は金の延べ棒だそうですから、幼い子供では抱えきれませんね。
 その上沼恵美子さんが、暫くその番組を休んでいましたので、隠れファンの一人としては少々気になっていたところです。
 家庭の事情での降板ということですが、急性A型肝炎で入院していたそうです。
 入院の1カ月前に食べた生ガキが原因らしいのですが、これではシャレになりません。
 クジラを一頭、塩焼きにして丸かじりにしたら体調を崩した・・・これなら私は信じます。もっとも、焼けば菌が死滅しますから、やはり生のままのクジラの丸かじりが真相であって欲しいものです。
 米山さんという医学博士が解説していました。
 体内にA型肝炎ウイルスを持つ魚介類は結構多く、それを生のままで食べると発症する可能性が多いとのことです。
 分かりやすい肝炎の症状は、まず食欲が急に落ちるそうです。つぎに、風邪の引き始めのよいうな症状で微熱が出て体がだるくなります。そして決め手は、皮膚が黄ばむ、いわゆる黄疸が出ると、かなり進行していることが分かります。
 劇症肝炎にまで進むと生命が脅かされますから早く医者に・・・米山博士の受け売りです。
 ノロウイルスも怖いですね。
 上沼恵美子さんは、すでに全快して他の番組では活躍されていますので一安心です。
 健康第一、これだけは間違いありません。
 これがあってこそ、趣味も仕事も金運も旅行もグルメも芸術芸能も家庭も愛情面も楽しめるというものです。
 健康については、、開運村HPの癒しの部屋、大山先生の「健康相談っとした参考にしてください。
 http://kaiundou.jp から、すぐ癒しの部屋に入れます。
 ちなみに、私もカキは大好きですが、生ガキよりフライ派ですので安心です。冷えた生ガキのツルっとしたのど越しも好きですが・・・
 では、風邪などにもご注意の上、お元気でお過ごしください。
           花見 正樹         

弥生3月、季節は春ですが・・・


 弥生3月、弥生とは草木がいや繁く生える、ですね。
 人もまた春を感じて張りきって新たな気分で屋外にとび出します。
 さて、この「今日の一言」は私の日記のようなものです。
 週に一度ですから日記ではなく週記と書くべきでした。
 これは、メール配信の「今日の幸せ占い」の前振りの挨拶代わりです。
 しかも、その内容はいつも思い付きですから何の役にもません。
 30年近い記録ですが、原稿は書き捨てで残念ながら殆ど残っていません。
 私は1986年の4月から毎土曜日、山口放送ラジオ「土あさ」に出演中です。
 私はこの4月で30年目入りと思いこんでいましたが29年目の間違いでした。
 それでも1年55週として、55X29=1595で、1600回近く喋っています。
 最近は占いだけですが、以前はこの「今日の一言」から抜いて喋っていたものです。
 以前は、山口まで新幹線や飛行機で通いましたが、今は携帯電話での出演です。
 テレビの早朝字幕出演となると、同局の「さわやかモーニング」が1999年10月以来平日週5日で続いています。
 これですと原稿を出すだけですから時間の制約はありませんが、ざっと4000回は超えています。
 NETで検索してみたら、こう出ていました。
 山口放送で月曜~ 金曜の5:20~6:30に放送されている自社製作の朝の情報番組。通称「さわやか」。
 この番組は山口県内において、唯一ローカル情報を伝える早朝番組であるために視聴率が一番高く・・・と続き、隅っこに、6:26頃 | しあわせ占い | 周南市の花見正樹による、「金運」「愛情運」「健康運」と「ラッキー(人・モノなど)」の月別占い。金曜は週末の占い。
 以上のような記載で、私は山口県周南市(前徳山市)在住となっています。
 番組で知った視聴者から「相談があるから会いたい」と電話されて困った経験も何度もあります。
 占いの原稿は、同局のHPにも掲載中です。
 原稿料&出演料を累積計算してみたところ、山口放送だけでも地方でなら豪邸が建つ金額でビックリしました。
 それらは煙のごとく消えましたが、今はバブル崩壊前の半額とはいえ隠居の小遣いにしては出来過ぎです。
 これでは、長州には恩義を感じて足を向けては眠れません。
 当然ながら、気の合う知人も多く、好意を持ちあった(過去形)人もいます。
 さて、話題は一転して私は今、戊辰戦争を執筆中です。
 私の父母の先祖は会津の郷士、京都の戊辰戦争会津墓地には花見家の墓もあります。
 今はまだ黎明期を書いている段階なので、私の心は穏やかです。
 長州対会津・・・この血で血を洗う死闘の修羅場を書く時、己の血はどう騒ぐのか?
 それを知りたい・・・これも本音です。
 季節は春ですが、まだまだ寒い日が続きます。
 くれぐれもお体大切に、お過ごしください。

ソチ五輪、ご苦労さま!


 2月24日未明、ソチ五輪は華やかに幕を閉じました。
 2月25日朝、ソチ冬季五輪のスター・羽生結弦、浅田真央選手ら日本選手団が帰国します。
 浅田選手の誰も挑戦しない技に挑んだ勇気に乾杯、惜しみない拍手を送ります。
 国民全員絶対「金」の期待を背負ってのプレシャー、これは他の選手とは少し違います。
 あれが入賞で充分の雰囲気なら、初日から実力通りにできるはずです。
 心からお疲れさんと言い、全力を尽くしても壊せない世界の壁の厚さには諦めるしかありません。
 今大会での日本選手は、金1、銀4、銅3のメダル8個、立派なものです。
 ただ、開催国ロシアは、金13、銀11 銅の9総数33です。
 この違いは何なのか?
 体格でいえば中国も韓国も同じですが、両国とも金メダル3個で日本を上回っています。
 日本人として身びいきで考えれば、それほど素質で劣っているとも思えません。
 では、なにが?
 答えは簡単でした。
 24日朝のスポーツ新聞の1面には、もうオリンピックのオの一字もありません。
 1面はプロ野球オープン戦の巨人対阪神戦、この変わり身は見事というしかありません。
 終わった祭りより今からのイベントにマスコミの視線は向いているのです。
 マスコミが大衆に迎合するものとしたら、大衆もまたソチ五輪を過去と見たのでしょうか?
 しかも、まだ一人の選手も帰国していないのです。
 もちろん、帰国すれば空港の歓迎風景を載せるでしょう。
 それでも、出発前のお祭り騒ぎ風景から見れば天と地の差があります。
 出発前のマスコミの報道から数えると、金だけでも6ケ以上はありました。
 男女フィギアスケート、女子スキー、スキー男子団体、カーリング、男女スケートなどです。
 五輪の試合が始まるまでは、どの競技もメダル候補で入賞は確実でした。
 色違いのメダルなどは数知れずで、ボブスレーや女子ホッケーまでが銅ぐらいはイケそうでした。
 テレビを見ているとどの競技も優勝を期待できるような雰囲気でした。
 このマスコミの風潮も実力のない選手には有難迷惑だったかも知れません。
 当然ながら本人たちは「メダルを狙います」と胸を張ります。
 その意気やよし、ですが「絶対にメダルを取ります」とは言っていません。
 したがって、誰も嘘は言っていません。
 初戦で雰囲気に呑まれて実力が出せず、後で最善の力で頑張っても結果は負けです。
 しかも、心優しい民族性で敗北の傷に触れず、敢闘精神を称えて敗者に涙します。
 それによって出発前の大言壮語も誤算も全て許され、問題は全て次回に持ち越されます。
 このいい加減差が日本のスポーツを弱くしていることに、誰も声を上げません。
 もっと一スポーツを愛し、一流選手を尊敬し育てませんか!
 もって瞑すべし・・・次の五輪でまた同様の期待で選手を送り出しましょう。

雪の土曜日


 今日は2月15日、雪の土曜日です。
 なんと、先週と同じ文面で始まる今日のブログです。
 週末に続いて2回も大雪が降ると、雪慣れしていない
だけに頭も体もおかしくなります。これで、雪国の人の
苦労が少しだけ分かりました。
 北海道北部に住む開運道の主力講師が、朝の除雪車の
来る前の夜明けに駐車場前の雪かきを終えておかないと、
除雪で積まれた雪で道路に出られなくなる。だから夜明
けの雪かきは日課の一つ、と聞いたことがあります。
 これは体力がないと出来ません。これだけでも雪国に
育った人の根性や粘り強さが充分分かります。
 東京近郊の降雪量では雪国の人に笑われますが、少し
だけ苦労談を・・・先週、雪かきをした話をしました。
 我が家の雪かきは以前から私の役割です。
 家族は全員、私から雪遊びの喜びを奪ってはいけない
と思っています。確かにその通りなのですが、2週続け
ての雪遊びは少々飽きます。
 先週は年甲斐もなく図にのって、近所の分まで雪かき
をしました。その上、万が一に知人や身内がいつも通り
週末に家に来たら、と考えて何とかぎゅうぎゅう3~4
台停まる我が家の駐車場の雪も数か所に寄せました。
 おかげで腰の筋肉痛で一週間、まだ治らないところに
また雪です。
 こうなることと知りながら・・・人間なんて懲りない
ものですね。ニ階の窓から、前回よりはるかに多く降り
積もった雪を眺めて「さあ、オレの出番だぞ!」と、張
り切って覚悟は決めましたが、その前に、気分転換を装
い、出番を遅らせてこれを書いています。
 決して決意が鈍ったわけではありません。
 それにしても昨夜はみじめでした。
 仕事場に泊まればよかったのですが、家でのんびりオ
リンピックでも、と、考えたのが明暗を分けました。
 もちろん暗の方です。
 すでに雪はかなり積もっていましたから車は無理です。
 駅から10分ほどですから歩けばいいだけですしタク
シーもあるはずです。ともあれ帰宅することにしました。
 ところが地下鉄は順調でしたが北千住から先の東武電
車が息絶え絶えなのです。あちこちで停車しては車掌が
言い訳をします。
「信号が赤です」「前に先行した電車が止っています」
「障害物を感知しました」「障害物は雪の塊でした」、
ついに「電車と車が衝突する踏切事故が発生しました」、
これで万事窮しました。
 これで私の住む久喜市栗橋駅までは電車は動かないこ
とが判明したのです。こうなると、栗橋駅手前の南栗橋
駅が終着駅になります。
 その駅前の駐車場に私のマイカーが置いてあります。
 なぜ、自分の住む駅ではなく隣駅前の駐車場か? お
答えします。簡単明瞭、地盤沈下地区で駐車場が格安な
のと南栗橋駅が半蔵門線の発着駅だからです。
 駐車料は駅前一等地で月5千円、栗橋は1万5千円、
これで九州球磨川の鮎釣りの費用が浮くのです。
 ともあれ車で帰ることにしましたが、マイカーが雪に
埋もれています。夏のうちは無敵の4駆だったのに、今
は平凡な普通車ですから雪に自信はありません。
 仕方なく、まず手持ちの折りたたみ傘で窓の雪を落と
す作業から始めました。視野を確保してギアーをローに
して、雪の中をのろのろ動き始めました。何とか駐車場
から道路に出ると、車のわだち跡があってもう心配はあ
りません。ただ、明るいはずの雪道が意外に暗いのです。
 すれ違った車の運転席の窓が開いて、若者が私の車を
指差して何か叫んで走り去りました。後続車のないのを
確かめて雪の中に降りて前を見ると、ライトが暗い理由
が分かりました。すっぽりと雪に包まれたライトが、ぼ
んぼりのような柔らかい灯りで周囲を照らしています。
 手袋で雪を払い除けると、とたんにライトは輝きを取
り戻し、道を照らしました。
 こうして、よろよろスリップしながらも無事に家まで
辿りつきました。
 さて、何とか雪かきをサボってニ階の書斎で時間を潰
したのに、下から家人の声です。末娘がこれから泊まり
に来て、明日の日曜日に雪かきを手伝う、との電話だそ
うです。さあ大変、大好きな雪遊びの利権を奪われては
たまりません。
 どうせ駅まで迎えに行くのには、雪かきをしないと
駐車場から車を出せません。こうなると善は急げ、早速、
明るいうちに駐車場と家の前の雪とたわむれてきます。
 それにしても羽生選手の金、素晴らしいですね。
 今夜もまた寝不足です。

雪景色に想う


 
 今日は2月8日、雪の土曜日です。
 我が家の狭い庭の梅の木も白く太い枝になり、
いつも遊びに来るメジロも姿をみせません。
 愛車は雪に包まれて、車の形をした雪だるま
になっています。
 日本の上空を急速に発達した低気圧が北東に
進んで西も東も雪が降り続いているそうです。
 気象庁では、明日の朝までに都心で20セン
チの雪が降ると予想しています。
 雪国の人たちの雪かきなどの苦労を知らない
都会人は大慌てで、なす術もありません。
 雪国の人は笑うかも知れませんが、東京では
20センチも雪が積もると大騒ぎです。
 飛行機は飛ばず、電車はあちこちで運行停止、
高速道路もあちこちで分断されています。
 大学入試も軒並み時間をずらしましたし、スカ
イツリーも営業中止です。投開票日が翌日に迫っ
た東京都知事選の候補者も大変だったようです。
 なにしろ13年ぶりの大雪警報で気象庁は警戒
を呼び掛けていますが、何もできません。
 転んでケガをする人も続出しますし、車はあち
こちでスリップ事故を起こしています。
 こんな日は家にいるのいが一番なのですが、因
果な性格で、あちこちの雪景色を見たい誘惑にも
駆られます。そこで遅い午後、着膨れ状態に長靴
を履いて町内を散歩して来ました。
 以前は元気なシバ犬を飼っていましたから、雪で
も雨でもあちこちを走り回っていました。
 雪の中を歩いているうちに雪の感触と思い出が
次々に甦ってきます。
 つい10年前までは、渓流の解禁日には栃木の
鹿沼で鮎宿を開いていた友人と雪の夜中に山の中
に釣りに行ったものです。
 一度などは雪に視界を閉ざされて危うく土手道
でスリップして車ごと川に転落しそうになったこ
ともあります。
 深夜に川辺に行き、河原でたき火をして夜明け
の解禁を待つのですが、雪の夜はあちこちから人
が集まって車内で酒盛りです。
 ところが釣り始めてすぐイワナを掛けて手網で
獲り込もうとして足が滑って深みに落ちたことが
あります。
 浅瀬に泳ぎ、岸に上がってからが寒くて死にそ
うな思いをしたことがあります。同行の友人は漁
協の役員をいましたから顔がききます。
 雪の中を駆け巡って、釣人から着ているものを
1枚づつ脱がして巻き上げてくるのです。
 こちらはほぼ丸裸で車中で暖をとって待つので
すか、ご存じの通り車のヒーターはすぐには暖か
くなりません。しかも温風になるまでは寒風なの
ですから凍えそうです。残っていた一升瓶の酒を
ガブ飲みして暖をとるしか手がありません。
 友人が着るものを集めて来た時は完全に出来上
がっていたようです。さすがに下着はありません
でしたがチグハグながら何となく上下とも揃って
さまになりました。こして着替えた直後からまた
酔ったまま釣りを始めたのですが、調子よく何尾
も釣ったのが記憶に残っています。
 その友人も三年前に逝き、雪の中の釣りも幕を
閉じました。
 夜になって風が強くなり雨戸を鳴らしています。
 窓から外を見ると、粉雪が吹雪いていて家々も
道路も白一色の夜景色でした。

女は強し!


 昨年のNHKの連続ドラマは「八重の桜」でした。
 主役を演じた会津藩士の娘・山本八重は「幕末の
ジャンヌ・ダルク」などと言われて歴史に名を刻ん
でいます。
 その八重は愛用のゲベール銃を用いて戦いました
が、ここぞという時にはアメリカ製元込め式7連発
のスペンサー銃を撃ちまくって多くの敵を倒してい
ます。このスペンサー銃は、西軍として戦った土佐
の下級武士が購入した時の金額がなんと38両もし
たと従軍日記に記録されています。この兵士の月給
が3両ですから1両10万円として380万円、彼
は13ケ月近い月給を投じて自分のために銃を購入
しているのです。
 このスペンサー銃は、十九世紀の中頃、アメリカ
の南北戦争で使われましたが、なにしろ世界初の後
装式連発銃(元込七連発銃)で、大いにその性能を
発揮しました。スペンサー銃には銃身の長い歩兵銃
と短い騎兵銃があり、どちらも輸入されています。
 この銃は戊辰戦争に際して、薩摩・佐賀藩の他に
幕府歩兵隊なども使用しています。
 こんな高価な最新式の銃を八重がどこから入手し
たのか?
 八重が所持していたスペンサー銃は、慶応2(1
866)年に長崎にいた兄の山本覚馬からプレゼン
トされたもので、大政奉還の前年のことですから、
まだ会津戦争は始まっていません。
 それでも、覚馬は決選が迫っているのを予知して
いたのかも知れませんね。
 会津戦争に使用された銃砲の記録が残っています。
 会津藩の旧式大砲84門に対して、長州だけでも
大砲220門、近代式元込め銃は会津が533、長
州側が6千500。この他の先込め銃は会津約5千
に対して西軍が1万7千、旧式火縄式銃の使用は会
津側だけで長州には全くありません。
 ところで、八重がなぜ最後まで最新式のスペンサー
銃だけを用いなかったか? その理由は、スペンサー
銃の弾丸が国内では製造出来なかったから撃ち尽くし
て使えなかったのです。先込めのゲベール銃の弾は丸
い鉛でしたから、城内の女子軍が鉛を溶かして作れま
す。その手作りの球形弾丸を使用して八重はゲベール
銃を撃ちまくって戦ったのです。
 あの会津戦争のさ中、どんな過酷な状況下にあって
も会津の女性は、決して絶望することもなく黙々とし
て負傷者の介護や全軍の食事などに寝食を忘れて働き
続け、八重に代表される会津女性の強さを発揮して後
世の語り草に遺されています。
 会津の女は強い・・・それは会津出身の100歳に
あと半年余の元気な母を見ているとよく分かります。
 しかし、強いのは会津の女だけではありません。鹿
児島、熊本、福岡、高知、徳島、山口、姫路、大阪、
京都、山梨、長野、関東各県、北陸、北海道などの女
性を観察すると、どこもかしこも男性をしのぐ勢いで
逞しく元気なのです。
 だからこそ平均寿命にも大きな差が生じ、100歳
以上の8割強が女性となるのです。
 結局、いつの世も「女は強し」、これだけは間違い
ありません。
   

矢でも鉄砲でも!


 この冬一番の寒波到来の1月19,20日の週末は、大雪に
見舞われた地方もあり様々なトラブルも生じたようです。
 この寒波には、各地で行われた大学入試にもかなりの影響が
出ました。電車が遅れたために開始を数時間遅らせなどはいい
方で、なかには試験日を1日づつ繰り越した会場もあったと聞
きます。
 この場合は、公的乗り物の遅延ですから救済措置も比較的と
りやすいはずですが、これが全く個人的事情の場合はどうでし
ょうか?
 父親の運転する車が雪道の渋滞に巻き込まれて受験開始の時
間に間に合わなかった場合、あるいは受験者本人が寝坊した場
合、担当者の権限で特例を出して、別室で同じ試験が受けられ
るのか? 
 ひと昔前のことですが、私の次女の私立高校受験日に私が車
で受験会場に運んだことがありました。まだ携帯もカーナビも
ない時代でした。
 埼玉県久喜市(現)の我が家から、都心を横切ってみた三鷹
市方面まで行くのですが、混雑状況も全く知りませんでした。
 当然ながら、私の見込み違いで、遠距離で慣れない道で小雪
が降った上に通勤ラッシュ、呆れるほどの大幅遅刻でした。
 これで娘の大切な受験も諦めねばならなくなりました。
 ところが担当者は、何のためらいもなく悲嘆にくれる娘をね
ぎらって別室で同じ試験を受けさせてくれたのです。結局、別
の日に受けた公立高校に合格しましたので、その学校には行き
ませんでしたが、あのときの担当者のイキな計らいには頭が下
がるばかりで、だに感謝の気持ちで忘れられません。いい時
代でした。
 つぎは長女の場合です。
 これは何と長女の結婚式に花嫁の父の遅刻です。
 これは高速道路の事故渋滞に巻き込まれての大渋滞でした。
 妻と長女は準備がありますから早い時間に電車で会場に向か
い、次女、長男、末娘を乗せた私の車は、多少の余裕をもって
家を出たのですが・・・大幅遅刻です。
 親族紹介は義弟(妻の実弟)がそつなく終えていて、私らの
到着を待って挙式ですが、結婚式場側にも時間がありますから
慌ただしい結婚式でした。
 当然ながら披露宴は、私の謝罪から始まるという異例の展開
になり、花婿側からは時間も守れないそそっかしい父親という
印象を与えたらしく、気を許したのか相手の父親とはすっかり
打ち解けて、たちまち西武球場に野球観戦に行く約束が出来、
相手のペースで清原ファンにさせられた経緯があります。
 さて、話題はコロっと変わって食中毒です。
 こればかりは、自分が注意しても避けられません。
 浜松市の食品工場でつくられた食パンがノロウイルスに汚染
されていて、それを食べた浜松市の児童らが集団食中毒になっ
て問題になった大量感染事件です。
 保健所の職員がその食品製造業工場に立ち入り調査に入った
ところ、パン製造ラインの従業員のスリッパやトイレのノブか
らもノロウイルスが検出されたそうですから状況は最悪です。
 この問題を受けて26都府県で給食パンの回収が行われ、安
全に配慮して千人近い児童が欠席するという異常事態に陥って
います。
 これは大変!
 先日の農薬入り冷凍食品といい食品の安全さえ絶対ではなく
なった今、矢でも鉄砲でも持って来い! の心境で開き直って
川の水を飲んでも平気な私のような原始人タイプに生活習慣を
変えるか・・・案外、これ長寿の秘訣かも知れません。