築地と豊洲


一般の人には何の関わりがない築地市場移転問題ですが、築地に仕事場のある私にとっては無縁ではありません。
知人も馴染みの店も移転することになるのは一時的にしろ残念でならないことです。
ところが、これが思わぬ展開になっています。
小池都知事は昨年來、豊洲市場の安全性確認などで移転を延期してきましたが、豊洲市場の「安全・安心」の確保と、市場収支を重視して、土壌や地下水の汚染対策のため地下の底をコンクリートで覆うなどの追加対策を示し、豊洲に移転。ただし、その後も、築地の跡地を再整備して賃料の安定収入を図ると、約35年後には累積赤字を解消できるとしています。
これで、市場移転問題を都議選での争点にして、優柔不断な知事を責め倒すつもりだった自民党など各党は、成す術もなく、ぐずぐずと文句を言うだけで何も出来ません。
豊洲には移転するが、国際的になった築地ブランドを生かすために築地も売却せずに活用する・・・この玉虫色の案は、必ずしも歓迎されていません。豊洲移転に賭けた一部の出店業者には、まるっきり不評なのです。
一番の理由は、豊洲ブランドの知名度を築地並に上げるのは無理だし、地の利も悪いため観光客誘致にも苦労する、などです。
東京都はつい先日、豊洲市場の都民見学会を開きました。
約1500人の応募者から抽選で選ばれた100人が参加者して、施設を見て回ったそうですが、やはり、質問の大半は食の安全性に関わることだったそうですから、まだまだ問題は残ります。
もっとも、見学会を許可した小池都知事の狙いは、豊洲市場の土壌汚染や地下水の安全性に不安があることを、そのままアピールする狙いもあったのは明らかで、見学コースも青果棟や水産仲卸売場棟だけでなく、敷地内の地下水の管理システムなども公開しています。
これで、まだ万全ではないが周囲の圧力に敗けて移転を決断した、という都知事の逃げ道は出来ました。事実、この問題は石原元都知事の責任であることは明白なのですから、そこをきっちりすべきなのです。
ともあれ、いま築地は大きく様変わりしています。
花見サロンの入居するマンションの真下の道路も、明るい色彩模様の四角タイル嵌め込みのモダンな舗装になりました。
江戸時代は軍艦操練所、講武所などがありましたから、旗本、剣客などが通った道です。
そう思うと、更に築地が好きになりそうです。