去る者、生まれる者


 去る者、生まれる者

 世の中が新型コロナと熱中症騒ぎで連日騒然とするさ中、安倍首相の連続在任日数が2800日を超え、ついに大叔父・佐藤栄作の記録を更新して念願の歴代首相の在任最長記録を達成して日本の権政史上に名を刻み、思い残すことなく退陣となりました。
 これで、2006年からの第1次安倍政権を、持病の潰瘍性大腸炎悪化を理由に在任わずか1年で投げ出して悪評を買ったあの時の屈辱は帳消しにしたと思っているはずです。しかし、前任者が水面下で二島返還・後は話し合いまで持ち込んでいた北方領土問題は完全に立ち消えになり、拉致問題も未解決、死者まで出した公文書改ざんという世紀の悪業に絡んだモリカケ問題も未解決、在任期間の長さだけが賞賛されていいものか。体調不良に同情の余地あれど、これから起こる後継者争いの醜い泥試合を想像するとうんざりです。
 とはいえ日本には武士の情という美徳があり、病人は責めない、去った者は追わないという不文律がありますので、暗黒部分はこれで幕引き・・・納得は出来なくてもこれが現実です。
 せめて朝晩が涼しくなって秋の気配で熱中症の危機が去り、新型コロナウイルスが下火になれば社会的ストレスは収まりますが、まだまだ我慢の日々は続きそうです。それにしても今年は妙に周囲に不幸な出来事が続いています。
 と、ここのところ愚痴の多い村長の一言ですが、個人的には嬉しい出来事もあるのです。
 私の次女の長女が男の子を産みました。私からみて曽孫すなわちヒイ孫、私はひい爺さんになったので、もう満足です。
 遺伝子としては私からみて八分の一になりますが、これで種族保存の一役は担ったような気分です。あとは全力で弟子育てです。
 こうして、去り行く者と生れ出ずる者とが入れ替わって、永遠の営みがあるのですから、死もまた喜びとなり得るのです。
 ということは、何もしなくても長生きすればこうなるのですから、国を背負って頑張った安倍首相の最長記録は、多少の悪業や裏があったとしてもそこは政治家、やはり凄い手腕だったのかも知れません。これからは、一日も早く体調を回復して、いさぎよく国会の場で、国民の疑問に答えてほしいもの、褒めるのはそれからにします。