500人抜き
梅雨明け後も新型コロナウイルスの猛威は止まず、東京都内では連日200人超の感染者が続出、この危機的状況にも慣れっこになったのか、もう誰も驚きません。これが当たり前の日常になりつつあるのは恐ろしいことです。
先日の遅い午後、私は家で急用ができたので地下鉄日比谷線築地駅から下り北千住方面竹ノ塚行きにに乘りました。車内は空いていましたので座席には余裕がありました。次の八丁堀駅で、70代と思しき恰幅のいい爺さんがマスクなしで乗利込み、周囲からジロジロと顰蹙の目で見られているのにも関わらず、「どうだ!」と言わんばかりの生意気顔で周囲を睨み返しているのです。その頑固爺さんは中ほどの席にどっかと座り、その両隣が逃げたのを幸いに大股広げで周囲との軋轢を充分に楽しみ、得意気な表情で北千住駅でて降りました。なるほど、年寄りにはこんな反社会的な楽しみ方もあるのかと感心した次第です。あの時、私が予備のマスクを持っていたら、迷わずこの爺さんに進呈したと思いますが、その結果がどうなったか? こちらも興味あるところでした。
この爺は多分、元それなりの会社役員を定年退職し、現役時代の威張り癖が抜けずに、家族にも友人知人にも相手にされず、仕方なくこうして世間に毒づいて日頃のうっ憤を晴らしているものと想像しますが、その結果、この頑固爺さんが持ち込むコロナウイルスに感染して苦しむお孫さんやご家族の悲劇を思うと気の毒でなりません。因果応報、墓穴を掘る行為であるのは間違いありません。
是非この真似はしないでください.、私もしません。
大相撲大阪場所は、モンゴル出身の伊勢ヶ濱部屋・照ノ富士の2回目の優勝で幕を閉じました。私の友人が創立した千賀の浦部屋は全滅しましたが仕方ありません。
ひざのけがや糖尿病などのため9場所を休場して大関から一気に序二段にまで陥落した照ノ富士の復活優勝は、殆ど奇跡に近い出来事で、日本の力士ならとっくに廃業引退です。それに耐えて勝ち抜いての復活優勝ですから、コロナ禍と熱中症騒ぎで閉塞状態の世の中に一陣の涼風を送ってくれたと感謝し、優勝と殊勲賞&技能賞への祝福の拍手を惜し気なく送ります。
なにしろ、序二段から幕内優勝への道のりがどれほど遠いものか数字でみてみます。
現在の大相撲では、番付には6つの階級と10種類の格付けがありります.
上から数えると、横綱、大関、関脇、小結、前頭と5つの格付けがある幕内、次に十両、幕下、三段目、序二段、序ノ口と続きます。
俗に「褌(ふんどし)担ぎの蔑称で知られル入門者や弱い取的の溜まり場である序の口と序二段には定員がありません。ここではまだ一人前の相撲取りとは認められていないのです。この上の三段目は定員200名、幕下が120名、十両が28名、幕内は42名です。
と、いうことは、序二段まで落ちた照ノ富士は、元大関である身を捨てて入門早々の新人などと取り組む屈辱に耐えて勝ち進み、短期間のうちに毎場所勝ち越しの結果、約500人抜きで幕内最高優勝を果たしたことになります。
長い大相撲の歴史の中でも大関から序二段まで落ちて再び大関に戻ったという奇跡的な復活は聞いたことがありません。
私は日本人の力士から横綱が出て欲しいと願っていますので照ノ富士の横綱は望みませんが、是非にも頑張って大関復帰は果たしてほしいと願っています。今の幕内下位から大関まではまだまだ遠く険しい道のりで、強力なライバルが切磋琢磨して覇を競っていますから、ここまでのように勝ち進むことは容易ではありません。それでも頂点の横綱目指して頑張り抜くことが出来れば夢は叶います。
「地獄の釜の底を見た者は怖い者知らずだから強い」の俗諺は今も生きているのです。
自分も頑張らなきゃ、と思い知らされた次第です。