宴のあと・・・


韓国正昌(ピョンチャン)五輪大会は、掉尾を飾る女子30キロクラシカル過酷な競技で、JR北海道の石田正子選手(37)が1時間26分38秒4の好タイムながら10位で入賞を逃して幕を閉じました。
それにしても、日本選手の活躍は過去の冬季五輪大会を上回る好成績で素晴らしい大会でした。
日本選手の冬季五輪メダル獲得数も、金4、銀5、銅4の13と過去最高の13となり、韓国、中国を含むアジア勢の躍進は目を見張るものがありました。
私の見る限り、メダル獲得選手を含むどの選手にも精一杯頑張っている姿が見えていて快い後味が残るいい大会でした。
日本人メダリストの顔ぶれを見てみます。
金は4組。
スピードスケート・女子マススタートの高木菜那選手。
スピードスケート・女子チームパシュートの高木美帆、菊池彩花、佐藤綾乃、高木菜那各選手。
スピードスケート・女子500mの小平奈緒選手。
フィギュアスケート・男子シングルの羽生結弦選手。
銀は5組。
フィギュアスケート・男子シングルの宇野昌磨選手。
スピードスケート・女子1000mの小平奈緒選手。
スキー・ノルディック複合個人ノーマルヒルの渡部暁斗選手。
スノーボード】男子ハーフパイプの平野歩夢選手。
スピードスケート・女子1500mの高木美帆選手。
銅は4組です。
カーリング・女子の藤沢五月、吉田知那美、鈴木夕湖、吉田夕梨花、本橋麻里各選手。
スピードスケート・女子1000mの高木美帆選手。
スキージャンプ・女子ノーマルヒル個人の高梨沙羅選手。
フリースタイルスキー・男子モーグルの原大智選手。
以上のどの競技も感動的で素晴らしく、カーリング女子の土壇場での敵失による大逆転3位にも驚きましたが、どの選手にも漲る闘魂や必勝の信念がテレビを通じて感じられ、勝者の歓喜、敗者の涙にも共感でき、どのシーンにもて、つい手に汗を握る思いを楽しませて頂きました。
ここで気づくのは、女子は団体、男子は個人での活躍です。
女子選手の名はのべ15人、男子選手は5人です。
したがって、競技では13組のメダルですが、獲得総数は20ケになります。
その内訳は金7、銀5、銅8となります。
しかも喬木姉妹(美帆・妹)(菜那・姉)が二人で金3、銀1、銅1とメダル5ケ。
小平奈緒選手が、金1、銀1でメダル2ケ。
この3人でメダル7ケの荒稼ぎ、実に日本のメダル獲得数の三分の一を超えています。
やはり、現在の日本は女性のパワーが大きく男性を上回っているのは間違いありません。
こればかりは紛れもない事実であるのは、身近な周囲の男性を見渡すだけで納得できるはずです。
さて、ここで折角の夢を壊す下世話な話題に戻ります。
オリンピックでの金銀銅メダルに対する報奨金について触れてみます。
現在の日本オリンピック委員会(JOC)の規定では、金メダル500万円、銀メダル200万円。銅メダル100万円です。
以上の報奨金の他に、各競技団体などからの報奨金があります。
日本スケート連盟では、日本オリンピック委員会(JOC)と同額を予算化していますから、金メダルを獲得したスケート選手には合わせて一人1千万円の報奨金が贈られることになります。したがって、ハ3、銀1、銅1の高木姉妹は二人合わせて3600万円の報奨金になります。
ところが、全日本スキー連盟には正式の報奨金制度がなく、その都度予算の関係などの理由で金一封を出すなどで決まった金額はないようです。
ましてや、新興の日本カーリング協会などは、強化費の予算すらないのです。
したがって、あの感動的な3位入賞も、各人100万円づつJOCからの褒章金だけで終わりです。
では海外チームはというと、米国では金3万7500ドル(約403万円)、銀2万2500ドル(約242万円)、銅1万5千ドル(約161万円)となって、日本に比べて金が低く、銀、銅に厚くなっています。

ところで今日2月25日(日)に行われた東京マラソンでは、2位ながら日本選手1位で16年ぶりの日本新記録を出した設楽悠太(しだらゆうた)選手が報奨金か賞金なのか1億円をゲットしています。
坂道をなくして記録が出やすくなるコースに変更してまで、マラソン選手を優遇する陸連の意図には何があるのか?
12年前、東京マラソン創設の頃は、築地住民のボランティアで、カゴにチョコレートやバナナを入れて、東京マラソン参加者に配っていた私としては、大衆の娯楽としてスタートした東京マラソンを、正規の公認マラソンに格上げを図った首謀者の都知事や関係者に、フェアなオリンピック精神の爪の垢でも煎じて飲ませたい気分です。
いやまて・・・ここで私の思考はまたまた戻ります。
いくら記録を出しやすいコース設計にしたとしてもマラソンの日本記録が事実である以上、設楽悠太選手が日本新記録で2位になった以上は、快挙達成として祝福するのがスポーツ精神として当然ではないのか? この1億円は来年も、新記録狙いの選手によって記録更新は間違いないので、設楽選手だけでなく東京マラソン出場者の目標にもバネにもパワーにもなります。
今回設楽選手が出した2時間6分111秒を1秒でも上回れば来年も1億円、その翌年も・・・と10年続くと10億円です。
では、そのお金はどこから?と調べると、つい3年前に2002年の東京五輪の強化策報奨金制度で、日本実業団陸上競技連合が考え出した秘策だそうです。いわば、強化選手を金で釣り出す策ですが、この団体にそんな大金はありません。来年も新記録で1億円が出れば破産です。
したがって、この制度は今年限りということもあり得ます。それとも裏で小池知事も協賛しているのか?
そうなると、築地市場問題に続く都議会の目玉問題が生まれて、また賑やかな騒動になります。
なお、この制度は、あくまでも東京五輪での日本選手のメダル獲得を目指す施策ですから、マラソンだけでなく陸上競技で日本記録を更新した選手全てに1億円を贈る報奨金制度ですから、短距離の桐生選手らにもチャンスはあるのです。
それにしても、日本スケート連盟にこの制度があったら、今回の女子パシュートだけでも4億円・・・関係者は今頃どうなっていたか? これ以上考えると私まで眠れなくなります。
しかも、折角の五輪の感動まで薄れてしまいます。それもバカバカしいので、この辺で、お休みなさい。