いよいよ年の瀬、あと数日で師走に入ります。
街にはジングルベルが流れ、けたたましい歳末商戦も正念場を迎えています。
東京都知事が替わってから築地市場が一層人出が多くなり、私の事務所周辺も騒がしくなっています。
とくに、暮れの買い物となると築地の場外市場かアメ横か、と言われて買い出し客でごった返すします。
これも年の瀬の風物詩ですから、そうでないと寂しいものかも知れません。
ところで、先週のHP村上画伯の「目で楽しむ食文化」にシャケの親子丼を載せたところ、早速、友人から「今年は鮭は不調」とのメールです。最近は、サンマが不漁だったりしますから驚きませんが、数年前から我が家の冷凍庫からサクラマスが消えたのは大打撃です。
これは、北海道のオホーツク海に面する遠軽町の釣友から毎年暮れになると、寒い中で60~80センチ級のサクラマスを釣ってきて、必ず二本は送ってきていたのが、84歳の今は体力の限界で雪の中での川釣りが出来なり、ついにギブアップ、代わりに市場から購入した地元産の美味しい鮭を歳暮として送ってくれています。この釣友は元営林署副署長ですが、署長の辞令を、多忙になると釣りが出来なくなるから断られたこともあるぐらい釣り好きで地元では名人で通っています。私も、ヤマメ釣りに同行しましたが腕の差は歴然、釣果も大差で私の完敗でした。
私の偏見独断で言わせて頂ければ、魚類でこのサクラマスほど美味しい魚はこの世の中に存在しません。とにかく美味、我が家のバーベキューの主役として二十年以上、主役を務めていました。サクラマスは、渓流の女王と言われるヤマメの降海型ですから身は白く、ニジマスなどと違って川魚特有の癖がありません。焼いても煮ても最高、これが姿を消してからは我が家のバーベキューも閉店休業、主役不在ですから仕方ありません。シャケ? そんなものは脇役にもなりません。
道北の北見市にはもう一人釣友がいました。こちらは残念ながら今は故人です。
その釣友は占いの弟子でもあり、遠軽町の友人の営林署仲間でしたから民間人が入れない山林内をジープで疾駆して渓流釣りを楽しんだものです。その友人は、シャケ釣りもやるが後始末に困るというのです。なにしろ河口で釣ったシャケは味が落ちますから市場に持ち込んでも一本300円ですから、河原に捨てて熊か狐の餌に寄付するそうです。
「もったいない。おれに送ってくれれば・・・」、これが悪かったのです。暮れになって1メートル近い生シャケが7本入った木箱が送られて来ました。これは大事件でした。切れ身で1キロぐらいなら貰い手は幾らでもいますが、大きな生シャケ一本はご近所でも親類でも引き取ってくれません。結局、二尾を解体してあちこちに頭を下げて進呈、五尾は「売り物になるかな?」とブツブツ言われながら近所の魚屋に寄贈して、やっとケリがつき、友人には「鮭はもう送らなくていい。シシャモを釣ったら頼む」と、電話したものです。
そんな事情で、築地市場から鮭が姿を消しても痛くも痒くもありません。もっとも遠軽町の友人からの鮭は別格です。
さて、年の瀬は歳末助け合い運動です。「恵まれない人に愛の手を・・・」、お互いに出来ることはしましょう。