311

 3・11、この災害でお亡くなりになった多くの方々に心からご冥福をお祈りします。
 あれから5年、東北大地震の傷跡はまだまだ癒されてはいませんが、徐々に何かが変わりつつあるようです。あの絶望的な壊滅状態から立ち直った漁港や民間事業をニュースで見ると、復興への力強い東北の底力に感心するばかりです。
 なかには、壊れた機械を修復して震災後1ケ月で操業を再開した魚類加工業社は今、災害前以上に売り上げを伸ばしています。
 まさに粘り強いこの驚異的な回復力は、関西淡路大地震でも東北宮城沖大地震でも共通のものです。この旺盛な復興パワーこそ日本人の本質のような気がします。
 その一方、ふと気になった記事があります。
 数日前の新聞のニュースで知ったのですが、大阪市の中学校校長(男61)の全校集会での発言が問題になっています。
「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むことは、仕事でキャリアを積む以上に価値がある」。さらに、「子育てをした後に大学で学べばよい」と、発言は続きます。
 大阪市教委関係者は「不適切な発言」として処分を検討しているとの追記も載っていました。
 たしかに、子供を何人生もうが個人の自由ですから余計なお世話ですが、つい本音を言ってしまったのでしょう。
 このまま少子化が進むと、今でさえ脆弱な日本の国力は人口の減少と共に衰退し、周辺強国に吞み込まれるのは間違いありません。
 晩婚でエステ通い、おしゃれ文化華やかな世代の女性には、子供一人がせいいっぱい、二人となると経済的にも難しいと言います。
 それに、保育園不足の追い打ちでますます子供が産めない環境との声も聞きます。
 30年ほど前の東京の女性の平均結婚年齢24歳代が今では29歳代、30歳を超えてからの初出産では、そう多くは産めません。
 なにしろ平成25年の出生率は1・5を割った1・43で出生は約103万人、もう人口減に歯止めがかかりません。日本の出生数のピークは第二次ベビーブームと言われた昭和46~49年中の48年が2・14の約209万人、いまやこの半分以下なのです。
 ましてや団塊の世代と言われた第一次ベビーブームの昭和22~24年には出生率4・32、出生数約270万人、3倍近いのです。
 ところが、昔から「ひのえ午の女は結婚に向かない」などとの迷信でか昭和41年の出生だけが激減で出生率約1・6、出生約136万人、その翌年からはまた増加しています。
 ともあれ、このまま人口減が続けば国は亡びる可能性はあります。
 大阪市の中学校校長は率直な持論をつい言ってはいけない場所で言ってしまったのでしょう。
 では、どうしたら?
 まず男性がパソコン離れでモヤシのような草食系から変身し、よく働きよく稼いだ上で目の色を変えて女性を追う肉食系に変わる環境づくり、早い結婚で若くても複数の子育てが出来る経済的環境と保育施設の充実、それをバックアップする父母の経済力、祖父祖母の余裕ある老後生活と福祉にも気配りが必要、これが出生率アップにつながります。
 私の母は女1人に男7人を産み3人早逝、男5人兄弟の次男が私です。妻も5人姉妹弟、兄弟は合わせて10人の大人数です。
 我が家も大所帯です。
 夫婦2人に101歳の母1人、子供4人、孫6人、子供の配偶者3人を交えて総勢16人です。
 我が家は孫の成長と共に、最近は全員が集まる機会がありませんが、以前は1年に一回は全員が集まって賑やかでした。
 なにしろ正月は、16人全員が我が家に集結して合宿だったのです。その上、兄弟家族なども来ますから戦場でした。
 この賑わいを楽しめるのは子供や孫のお蔭、たしかに子育ては大変ですが、その報酬は充分にあるような気がします。
 私はいま、心身ともに健康で元気に働ける80歳、毎日が楽しい理想的な隠居生活、これも皆さまのお蔭です。