大相撲では土俵上で力士が塩を撒きます。
高く大きく塩を投げるのは琴奨菊、高見盛など人気力士の特権です。
弱くて不人気な力士が毎回そんな派手なパフォーマンスを続けたら観客から笑われます。
その大量塩投げの仕草が豪快で大人気だったのは何といっても高砂部屋の水戸泉関でした。
一回に投げるのが600グラム、仕切り直しごとに投げるから一日2キロ以上、15日間30キロ、年間5場所で150キロです。
さすがに遠慮して、制限時間後だけ大撒きにしましたが、塩を撒いた直後に頬や胸を叩く所作も人気があったものです。
得意は突っ張り、押し出し、左四つで上手を引くと滅法強かったのですが、怪我のデパートというあだ名があるほどケガに悩まされて、幕内上位に行くとケガ休場で下位に落ち、また頑張って上に行ってまたケガ、こんなことの繰り返しでした。
そのため十両にも落ちましたが、その都度頑張って這い上がって幕内に返り咲き東関脇まで上り詰めています。
しかも、平成4年(1992)の夏場所には西前頭筆頭の位置にあっての快進撃でなんと平幕優勝・・・まったく不思議な力士でした。
この2月12日(金)、その水戸泉こと現・錦戸親方が22歳年下のソプラノ歌手・小野友葵子さんと結婚の報が流れました。
それを知った瞬間、私は何となく肩の荷が下りた思いでホッとしました。
20年ほど前のことですが、茶屋の女将の仲介で、私の知人の娘と水戸泉関との間に縁談が起りました。
全盛期ながらケガの多い水戸泉に家庭を持たせたら、もっと私生活が安定するのではないか、との世話心からの縁談でした。
知人から相談を受けて相性をみるとお互いに大吉、私としては同部屋の朝潮ファンでしたから大賛成でした。
ところが、縁談に乗り気だった知人が突然「この話はなかったことに」と大騒ぎで縁談をぶち壊してしまったのです。
反対の理由は明確ではありませんが、両家の宗教問題だったかのように記憶しています。
そのことが、水戸泉関にも好意的だった私としては残念で気掛かりだったのです。
今、水戸泉関こと錦戸親方の幸せそうな写真の顔を見て、末永く共白髪での幸せを祈りつつ私も一安堵したところです。