マイナンバーの功罪


棚

 お元気ですか?
 いよいよ悪名高きマイナンバーの配布が始まりました。
 会社関係からスタートしたらしく事務所には届きましたが、自宅にはまだ届いていません。
 一般に内容や手続きが知られていないことを逆手にとって、すでに手続き・管理代行サービス業者が現れました。
 銀行や大手企業は、この管理代行業者と契約して管理と責任を他社に任す策で、銀行はこの枠を取引先にまで広げ、それも仕事にしようとしています。このマイナンバー関連サービスを含めたマイナンバー市場規模はなんと約1兆円を上まわるそうですから、一部の業者にとってはマイナンバー様様ですね。
 そう考えると今回の法令施行は、このような業者のためには大いに役立っているようです。
 国民の約65パーセントが「理解できない」「個人情報の流出を危惧して反対」「プライバシー丸裸だから」と猛反対したこの法案が、
国民が選んだ政権担当党派国会議員によって強引に法制化され、ついに、国のため?に個人を犠牲にしたマイナンバー制がスタートです。
 これで個人情報は役所に筒抜け、家族構成、経歴、収入、納税状況など何もかもが白日の下にさらされ、私達のプライバシーは国によって管理されることになります。いずれ、スエーデンなどのように役所に問い合わせて、他人の年収を聞けるようになるかも知れません。
 それでいいのか?
 この答えはすぐには出ませんが、真綿で首を締めるようにように、じわじわと私達を不快な状況に追い込むことでしょう。
 前述の通り、企業にはすでにマイナンバーが押し付けられてもう逃れることは出来ません。
 企業では、税金や社会保障の関係で、従業員やパート、アルバイトのマイナンバーによる特定個人情報を集めて管理し、届けなければなりません。と、いうことは会社のマイナンバー取扱責任者は、社員の個人情報を知る立場にあるわけです。
 それを防ぐために、今回の法律ではマイナンバー取扱い責任者以外の人物が覗き見も出入りも出来ないように、間仕切りのある場所の設置や施錠ができる保管場所が必要となります。当然ながら、新たな管理設備を設けるとなるとお金がかかります。多分、従業員10人未満の零細企業でも100万ぐらいはかかります。
 実は、花見化学の毒物劇物試薬の管理がこれと全く同様なのです。小部屋に施錠した棚を作りそこに試験ように用いる毒劇物の試薬を貯蔵して扉を閉めてカギを掛け、在庫管理帳簿も必要、それを何年に一度か都の役人が不意打ちで訪れ、チェックして異常があると告発し責任者を罰します。しかも「毒物劇物取り扱い責任者」は国家試験で、その資格を持った者が常駐しなければなりません。花見化学の場合は、私がその責任者ですから不意に来られても会社にいたことがありません。
 したがって。その都度トラブルですから嫌になります。そこで、毒物劇物資格の受験を門外漢の現社長の息子にさせ、何とか名義変更はしましたが、息子はそんな面倒を避けるために試験室での毒劇試薬の使用を禁じ、薬品は廃棄処分、棚も取り外しました。
 それでも、仕事には全く影響がありません。
 私にもその手があったのですが、一応、化学会社である以上、実験室に試薬は必要と頭が固かったのです。大学院まで行って、オヤジの仕事をイヤイヤ継がされた息子ですから、社名から化学が消えるのも時間の問題です。
 今回のマイナンバーへの対応も、浪花節型の私と違って合理的な息子ですから社内取り扱いを一切やめて、外部のマイナンバー管理会社に委託すると思いますが、どうなることか? ともあれ、気に入らない法制ですし、いずれはトラブルが続出しそうな気がします。以上はあくまでも私の私見ですので、マイナンバー賛成の方、ご不快でしたら「ご免なさい」・・・