またまた起こった人質誘拐事件、困ったことですね。
国際的には未承認で明確な国土を持たないイラクの過激派組織”イスラム国”は日ごとに支配領域を広げ、イラク国内の人口集中地域のうち、北部を中心にクルド人とほぼ同程度の領域を支配しているとみられていて、その勢いはますます高まっています。
アルカイダを上回る残虐さを発揮するイスラム国の戦士は、身代金目当てに誘拐した英国人やフランス人の人質を次々斬首し、女性を性奴隷にして、それも”聖戦”の一環として正当化しています。
イスラム国は、油田から得た収入による豊富な資金力で”世界で最も裕福なテロ組織”とされてきました。一時期は原油の密売で1日85万~165万ドル(約1億~2億円)の収益があったのですから武器の調達や戦士の養成にもこと欠きません。
しかし、アメリカを含む連合軍の度重なる空爆でシリア国内の製油施設などまでが次々に破壊され、さらに生産過剰による世界的な原油価格の下落でイスラム国の資金源は激減しました。これではイスラム国の兵士に十分な報酬を与えることは出来ません。
そこでイスラム国の指導者は、産油による収入を諦め、敵対国の人間を拉致しての身代金による資金調達を考えたのです。この実行による
人質解放の見返り収入は、なんと年間3500万~4500万ドル(41~50億円以上)です。これでは止められません。
今回のフリージャーナリスト後藤健二(47)、湯川遥菜(はるな・42)ご両人の拘束もその一環ですから、解決策は身代金の支払い以外はあり得ません。しかもイスラム国は、金額は2億円、支払期限は日本時間1月23日午後X時と金額と締め切り時間を提示して支払いを迫っています。これにOKすれば、ひとまずお二人は解放される可能性が高くなります。
しかし、これには困難な問題がいくつかあります。
その一つは、アメリカからの「絶対に身代金は払うな!」という脅しともとれる日本政府への強硬な申し入れです。
これにイギリスやフランスが同調しているのは、自国民の誘拐が増えるのを防ぐためで最も当然な申し入れです。
それに追い打ちを掛けるのが国内世論で、NETでは「危険な地域に勝手に行ったのだから自己責任だ」の声が高まっています。
一方、後藤健二さんの母親はテレビで涙ながらに、日本政府の対応で一刻も早いわが子の開放を訴えています。
こうなると事態打開への糸口は、政府とイスラム国との水面下での交渉での身代金支払いになります。
表面上は、人道的立場にイスラム国が配慮しての人質解放・・・これが表向きで裏取引は闇から闇に消え去ります。
それでも人命が救われれば・・・一縷の望みをもって私も成り行きを見守っています。