ある日突然、人生設計が狂うことがあります。
昔は、赤紙一枚で招集された若者達もいました。
ある青年は、南の島の激戦地に船で運ばれ、ジャ
ングルの中で飢えとマラリアに苦しみながら命を失
っています。あの赤紙がなければ・・・
ある青年は終戦間際に招集されて、敵戦艦に体当
たりして玉砕すべく片道燃料で空を飛んで集中砲火
を浴び、海中に没して無為に命を落としています。
戦争は多くの人の運命を変えました。
平和時でも、突然の脳梗塞や心臓病、末期ガンの
発見なども人生設計を大きく狂わせます。
交通事故や災害によって運命の激変を感じる機会
は誰にでもあり得るだけに、生きるということは死
ぬ覚悟と表裏一体になっているような気がします。
それは、幸運についても言えることです。
人は、努力しすれば報いられる、と言われますが、
単純にそうも言えないから複雑なのです。
先日、公営ギャンブルくじで6億円余の大金を当
てた人がいて話題になりましたが、この人が過去に
どれだけ努力したか頑張って生きてきたかは、全く
記事にもなっていません。それでも、当たり券を求
めてギャンブルに打ち込んだ熱意や努力が実ったと
言えないことはありませんが、多分、毎日、必死で
汗水垂らして働いても手許に小銭すら貯まらない真
面目な勤労者からみれば、何とも複雑な思いなのは
無理もありません。しかも、人生全般でみれば、こ
の時はラッキーに思えても将来はどうなるか? こ
これが良かったのか悪かったのか神のみぞ知ること
です。
11月3日、文化の日は秋の叙勲があり、様々な
分野の功労者がピンは桐花大綬章からキリは瑞宝小
綬章に至るまで、政治家、実業家、漫画家や俳優、
能楽師なども含めて4千人を超す大判振る舞いとな
りました。
これを見ると、一つのことに打ち込んで生きた人
の強みは見えますが、「だから何だ?」という凡人
の思いも込み上げてきます。
凡人はあれこれ手を出して失敗を繰り返し、偉人
は一つのことに打ち込んで成功する・・・どうも、
ここには意外性など入り込む余地がないほど確実な
定理のような気がします。
早稲田の斎藤祐樹投手が、50年ぶりの六大学野
球での早慶戦決勝戦の勝利投手になりました。しか
も、立ち見も出る超満員の観客の中で、プレッシャ
ーも感じないのか八回の頭までノーヒットノーラン
・・・味方のエラーから点を取られて降板しました
が有終の美を飾る勝利投手でリーグ戦の幕を閉じま
した。
しかも、勝利のインタビューでも周囲の興奮をよ
そに涼しい顔で、「私は何かを持っていると言われ
続けてきましたが、今、ようやく分かりました、そ
れは{仲間}です!」
これには参りました。ゴルフの石川遼選手同様に
そつがなさ過ぎます。やはり、一流になる人は違う
ものだと、つくづくと年齢だけ重ねただけの自分を
恥じ入った次第です。
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さて話題を変えて、女性のための開運講座です。
これは、恋愛、結婚、再婚に役立つ開運法です。
途中からご覧の方は、遡ってご覧になってくだ
さい。勿論、男性が見ても役立つはずです。
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女性のための開運講座ー47
恋愛・結婚、さまざま模様-15
結婚出来ない理由
2、決断できないでチャンスを逃す。
前回は、出来ちゃった婚の弊害について述べまし
が、今回は、その早すぎた結婚と正反対の好機を逃
して結婚出来ないケースです。
相思相愛で熱々の恋愛関係なのに、結婚出来ずに
何となくズルズルと月日だけが流れ過ぎ、小さなこ
とから別れるというもので、これは少なくありませ
ん。
昔から「永過ぎた春」といわれる男女は、結婚し
てもなかなかうまくいきません。長過ぎた交際期間
に愛情の熱も冷め、抜け殻のようになっているから
です。
長い恋愛期間を経てゴールインしたカップルは、
周囲から見れば似合いの夫婦に見えますが、実際に
友人のようになっていて、セックスレスだったりし
ますから子供がいないか少ないかのどちらかです。
私の友人の長男にもそんなケースがあります。
仲睦まじく約7年、つかず離れずでイイ関係を保
っていたのですが、いつまでも恋人同士でもあるま
い、と周囲にせつかれて結婚したのですが、お互い
に同じ屋根の下で気を使いながら暮らすのが苦手と
かで別居してみたら、束縛から解放された気分から
か、御互いに水を得た魚のようにイキイキと甦り、
結局は離婚・・・独身に戻ってまたイイ関係を保っ
て付き合っているようですが、子供はいません。
これなどは、早く結婚していれば何の問題もなく
平和で子宝に恵まれた家庭だったのに、と悔やまれ
るケースです。ただ、この二人がセックスレスなの
かどうかまでは私には分かりません。
やはり、「結婚には旬がある」という言葉は間違
いなさそうです。
結婚する男には勇気と責任が必要です。
多くの場合、結婚を決めた女性は積極的です。そ
れに引き換え、グズな男は優柔不断で婚約すら出来
ずに結婚のタイミングを失い、女性に不信感を与え
て不快にさせ、その挙句が別れ話です。
恋愛が順調なのに結婚への勇気が出なかったり、
結婚に責任がもてない男には結婚する資格などあり
ません。自分に都合のいい男女関係だけで長々と付
き合い、なんら責任を負わない男が、女性に責めら
れて嫌々結婚したとしても、幸せな結婚生活にはな
り得ません。
結婚に踏み切るにはタイミングがあり、その時に
決断できない男は、何をやってもグズですから仕事
でも冴えません。結果的には失敗するだけです。
つづく
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書店発売中の「坂本龍馬異聞」に続き「新撰組
3部作」を執筆中です。その内容を先にお届けし
ます。
ホームページでも挿絵入りで連載を始めました。
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新撰組ー異聞
第二章 勝太の心象風景
(1)勝五郎の武勇伝-1
勝太が近藤家に養子入りする前は、勝五郎という
名であった。
父の宮川久次郎は村相撲の常勝大関、大酒飲みの
豪快な人柄で知られていた。客と酒を飲み、酔った
父はいつも息子自慢をする。その内容が周囲に伝わ
って噂になる。
「勝五郎が十三の頃だがな。ある夜、わしが寄り合
い泊まりで留守中のことだ。甲州から武州一帯を荒
らし回った疾風衆(はやてしゅう)という盗賊の群
れが我が家に押し入った。それに気付いて布団から
抜け出した長男の音五郎が、次男の粂次郎と勝五郎
を誘って、刀を抱えて部屋を出ようとするのを、こ
のっ末っ子の勝五郎が落ち着いて止めたんだ」
「ほう?」
「相手は大勢だし気が立っている。今出たら斬られ
るかも知れん。逃げ出す時を襲おう、と勝五郎は兄
達に言い、自分も刀を抱えて布団の中に潜り込んで
様子を窺ったんだな」
「それで?」
「盗賊どもが我が家から盗んだ荷物を背負って裏木
戸から出たとたん勝五郎が一喝した。驚いた盗賊を
兄弟三人で切りまくったから、賊は奪った荷物を捨
てて逃げ始めた。それを追おうとした兄達を勝五
郎が止めた」
「なぜ?」
「窮鼠猫を噛むの例え通り、いざ反撃となれば多勢
に無勢、こっちも殺られる。被害はないんだからこ
こまでにしようぜ、とな」
「十三の子供にしては上出来ですな?」
「ま、日頃から三国志や偉人伝を聞かせた甲斐があ
りましたよ」
宮川家出入の者なら、こんな親バカ話を何度も聞
かされて辟易しているのだが、旨い酒が飲めるから
作り笑顔で相槌を打ち、何度も酒椀を傾ける。こん
な話を本気にする者もいないから、当の勝五郎も素
知らぬ振りをしているしかない。
だが、事実はかなり違っている。どうやら、酔っ
て帰宅した久次郎が、興奮して話す子供らの報告を
聞き違えたらしいのだ。
父の久次郎が、村の治安のことで江戸府内の代官
屋敷に招かれ、村名主らと泊り掛けで出かけた留守
中の真夜中に、多勢の盗賊が裏木戸をこじ開けて板
塀に囲まれた屋敷内に忍び込んだまでは事実だが、
その後の展開がまるで違う。
賊が庭の西側にある文庫蔵前の広場に集結するか
すかな足音で目覚めた次兄の粂次郎が、まず勝五郎
を揺り起こした。
「誰か来てるぞ」
その真剣な表情で異変に気づいた勝五郎は、隣室
で熟睡している長兄の音五郎も起こして、それぞれ
が父から玩具替わりに与えられている安物の脇差を
寝巻きの帯に差して部屋を抜け出し、裏廊下から雨
戸の隙間から様子を窺った。
勝五郎ら三兄弟の他には、母屋と庭を挟んで東の
農人納屋に住む作男の余市と作蔵とそれぞれの家族
だけしかいない。母のミヨは勝五郎が五歳の時に病
死し、久次郎が後妻を娶らないので、宮川家の賄い
は作男の女房達が勤めている。したがって、戦闘力
のある男衆は、勝五郎ら兄弟三人と作男二人だが、
農業一筋の余市と作蔵は宛てには出来ない。
折りしも雲間から淡い三日月の光が夜の闇を照ら
し、勝五郎ら三人は薄明かりの中に視線をこらして
闇でうごめく人影を凝視した。
当時、甲州から武州にかけて「疾風(はやて)の
甚兵衛」という甲州浪人を頭にする黒装束の騎馬盗
賊団が豪農を襲うという噂があった。その盗賊らは、
家人が寝静まった深夜に盗みに入り、気づかれて抵
抗された時は容赦なく家人を傷つけ、奪った品を馬
の鞍に括りつけて風のように走り去り、江戸府内の
古物商に盗品を持ち込んで換金するという噂があっ
た。
その噂の盗賊らしい一党を目の前にした勝五郎は、
父の話に聞く戦国忍者の活躍を思い出して震えた。
恐ろしいからではない、闘う前の武者震いというも
のだ。
人数を数えると十数人はいる。全員が覆面姿で黒
装束だから噂通りの盗賊団に違いない。
勝五郎は逸る気持ちを抑えて、盗賊の動きを凝視
した。
賊の頭領「疾風の甚兵衛」らしき男だけが覆面な
しで総髪に髭面なのも姿がいい。勝五郎は、父から
聞いた戦国動乱の時代の伊賀忍者の戦いぶりでも見
ているような華やいだ気持ちになっていた。
勝五郎らの視線の先で、庭石に腰を降ろした髭面
の頭領らしき男の前に膝まづいた黒装束に足軽胴着
を身につけた軍師らしき小男が小声で報告している。
この二人だけは見分けがつく。
どんな内容かと耳をそばだてると、このように聞
えた。
「手強いアルジは外泊で不在です。家にはガキ三人
と作男家族しかいません。蔵屋敷には骨董や刀剣と
武具、母屋の主人部屋には大金が隠されていると見
ました。二手に分けますが、いいですか?」
大金などは有るわけないが、頭目らしき男が頷く
と、軍師が右手に持った扇子を手際よく上下左右に
振って合図をした。
それを待っていたように賊の群れはさっと二手に
別れ、一手は家財・骨董・武具などを積んだ蔵屋敷
に向かい、早くも錠前壊しの作業に掛かっている。
手慣れたものだ。
別の一手は母屋の裏縁を回って行く。多分、勝手
口の引き戸をこじ開けて屋内に侵入するらしい。そ
れは実に見事な采配と無駄のない動きで、勝五郎が
日頃から父の久次郎の膝の上で聞かされた戦乱の世
の軍師、諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)、
竹中半兵衛、山本勘助などの指揮ぶりを見ているよ
うに感じて異様に気持が昂ぶった。
しかし、感心している場合ではない。襲われてい
るのは我が家なのだ。
つづく
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では、次回をお楽しみに・・・・
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