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新蓮歌ー26

  三表

1、畔道をたどれば篁雛(しょうこうひな)の家 紅舟

2、 主の翁齢知られず         清

3、よそ目にはひとり打つ碁と見えながら 紅舟

4、 戦の前の灯のもと         清

5、更くるままめぐる盃重なりて     紅舟

6、 いつしかしらむ東の空       清

7、明星へ竃の煙たちのぼる       紅舟

8、 民ありてこそ国忘るるな      清

9、山川も草木も土も忘るるな      紅舟

10. 目高の学校ふるさとになし     清

11、なつかしや広場にボール蹴る子たち  紅舟

12、 変はることなき夕映えの峰     清

13、粉雪降るまにまに見ゆる月淡し    紅舟

14、 出湯よろしき白骨の郷       清


新蓮歌ー25


二裏

1、新しき道は麓を貫きて      清

2、 志立て急ぐ若者        紅舟

3、百年の後の世の中いかならん   清

4、 千歳(ちとせ)も同じ輪廻転生 紅舟

5、里守る杉楠木の蔭深く      清

6、 平野の席に集ふ連れ衆     紅舟

7、美濃筑紫大和言葉をきづなにて  清

8、 手漉きの紙に匂ふ墨色     紅舟

9、雲開き迎へし月のくまもなし   清

10、 瓶のすすきにたぐふ笛の音   紅舟

11、鳴き止みてまた鳴きそむる声は虫 清

12、 鳥はねぐらにねむりゐるらん  紅舟

13、我もまた花の盛りを夢にみて   清

14、 かげろふの中行く手いづくか  紅舟

 


新蓮歌ー24

 
二表

1、まだしきに夏をあらますものあらん  紅舟

2、 輝く海を浮く帆掛け船       清

3、声あげて磯馴れ松も枝交はす     紅舟

4、 はや過ぎよかし嵐荒れくる     清

5、久々にあすは故郷近き宿       紅舟

6  ことば訛りもおのづからなり    清

7、語りつぐ老女は昔都人        紅舟

 8、 今は亡き夫国の守にて       清

 9.かかげたる長押の槍に錆もなし    紅舟

10、 眺め楽しむ数奇の数々       清

11、一服のまゐらすお茶も加減濃き    紅舟

12、 泉へだてて宴する影        清

13、更けゆけば月さへ氷る師走空     紅舟

14、 山寺ならし寒きともしび      清

 


新蓮歌ー23


初裏

1、奥深き竹の林の庵は秋       清

2、 名残の席のやつれ風炉釜     紅舟

3、さはやかに老いに仕ふる乙女あり  清

4、 昔を今になすよしもがな     紅舟

5、水上の清き流れのしづかなる    清

6、 名もなき魚の影ぞあやしき    紅舟

7.こととはん後姿の釣り師にも    清

8、 浮世の憂ひありやなしやと    紅舟

9.仰ぎ見る月はいよいよ涼しくて   清

10、 また風そよぐ浴衣藍染め     紅舟

11、待つ恋を知りそめしより歌あはれ  清

12、 形(なり)もやさしき君が文机  紅舟

13、はろと散る花さへ窓に訪れて    清

14、 庭の奥には早蕨の綿       紅舟


新蓮歌ー22

例句

1、岩かげに魚が澄みゐる紅葉かな   信作

2、 笛をやめればすだく蟲の音    夷齋

3、10対0以後は球場の月見にて   玩亭

4、 またも三里に灸すゑるべく    秀太郎

5、早立ちに關の手形を忘れたり    夷斎

6、 みぞれになつて痛む空き腹    信作

7、一つ家に鎌とぐ音のおそろしく   秀太郎

8、 米粒ほどの蚤に驚く       玩亭

9、金庫には後生だいじの血統書    信作

10、 毛なみを撫でる指のしなやか   夷斎


新蓮歌ー21

名残表
郡上八幡にて

1、雲そひし百の段(きだはし)登りきり  紅舟

2、 建ち直りたる城(ぐすく)さはやか  安秋

3、秋風に今は鎮もるおよし塚       紅舟

4、 宗祇が澄みし水たむけせん      宜秋

5、街の角いづこも流れ淀まざる      安雑

6、 さらりと文を進む筆先        紅雑


新蓮歌ー20

名残表

1、飾られし陶(すえ)の器はお庭焼    紅舟

2、 野に時雨ふる装ひもよし       宜博

3、博くかつ厚く盛りたる築地果て     安岡

4、 もれ釆る笛の調べゆかしき      紅舟

5、被(かづ)きをる絹の覆ひのかろやかに 安親

6, 浜の足跡踏むものどけく       宜博

7、咲きたけてひねもすふぶく花の波    紅舟

8、 濃く糸遊のたちこめて舘       安親


新蓮歌ー19

初裏

1、季(とき)ごとに力そなはるものにして 安親

2、 しけ(糸)つむぐ指のたしかさ    紅舟

3、納所なるかの下し文たまへかし     宜博

4、 川を隔てて恋しさまさる       安親

5、吊橋を渡る手古奈の心ばせ       紅舟

6、 つけば霞むか入相の鐘        宜博

7、求め来し花のきはみの魂ならん     安親

8、 捧げまゐらす蓬葉の餅        紅舟

9.手づからに習ふに難き歌の道      宜博

10、 遠き筑波嶺仰ぐ露原         安親

11、立つ鴫の沢辺をめぐり来たりけり    紅舟

12、 朝な夕なに月おもふころ       宜博

13、いふを得ぬ険しき一代つきんとし    安親
きぬ
14、 萎えたる衣に深き安らぎ       紅舟


新蓮歌ー18

名残表

1、風鈴の音は不倫とひゞくらし 宜博

2  川瀬涼しきよき本居にて安親

3、草茂る庭にまろノびて遊ぶ犬

4、 ながの患ひやうやう癒えし       宜博

5、天地の恵ゆたかに享けにけん       安親

6、 きせるをふかし憩ふひととき      紅舟

7、雲そひし百(もも)の階(きだはし)登りきり 宜博

8、 建ち直りたる城(くすく)さはやか   安親

9、秋風に今は鎮もるおよし塚        紅舟

10、 宗祇が澄みし水たむけせん       宜博

11、街の角いづこも流れ淀まざる       安親

12、 さらりと文を進む筆先         紅舟

13、薄衣かへる道には月よばふ        宜博

14、.新墾(にひばり)の土薫りたつなり   安親

 


新蓮歌ー17

初表

1、言霊(ことたま)の幸ほふ里に立つや秋   宜博

2、 ひときは高きまつ虫の声        柏全

3、とぢこめし霧たちまちにはれゆきて    安親

4、 なびきあひたる真緒(まそお)のすすき 紅舟

5、山裾を巡る道の辺見えかくれ       宜博

6、 はたての海に雪降りそめむ       安親

7、凍て窓の帳(とばり)の奥の月淡し    紅舟

8、 ほのかに香る竹の透垣(すいがき)   宜博