宗像 信子
(開運道芸術部顧問、咸臨丸子孫の会幹事)
詩人「立原道造」
数年前、鎌倉に住んでいる幼馴染から別所沼って知っている?と聞かれたことがありました。そしてその中に「ヒヤシンスハウスという面白い建物があるので見に行って」と言われて早速見学に行ったことがありました。
それから何年振りかにヒヤシンスハウスをまた訪ねてみました。
今回はちょっとこの詩人に興味をもちましたので、詩集を買って読んでみました。
この詩人立原 道造(たちはら みちぞう)は1914年(大正3年)7月30日 年に生まれ、 1939年(昭和14年)3月29日に、24歳で急逝した詩人です。
また建築家としても足跡を残している詩人です。学歴は東京帝国大学工学部建築学科卒業している。東大在学中から卒業までに辰野賞を3年連続受賞という輝かしい才能を持っていた若者でした。
多分将来を担う建築家としても期待されていたんだと思います。
詩は旧制一高時代から堀辰雄に兄事し、大学入学後は堀辰雄の主宰する「四季」の編集同人になっていたそうです。そして中原中也賞を受賞しています。
文学的才能にも恵まれていたんですね。
立原は、軽井沢を愛し、建築とともに詩にもその文学的才能が期待されていましたが、澄んだ魂のまま「五月の風を ゼリーにして持ってきてください」の言葉を残して二十四歳という若さでこの世を去ったそうです。
なんて素敵な言葉でしょう!
1997年には東京大学弥生門前に「立原道造記念館」が、2004年には、さいたま市別所沼公園に、立原の設計した「ヒアシンスハウス」が建設され、彼の夢の一つが実現しています。
1934年(昭 9)東京帝国大学工学部建築学科入学、この夏、初めて軽井沢を訪問、以後、毎夏信濃追分や北軽井沢に滞在。
1937年(昭12)、詩集『萱草に寄す』『暁と夕の詩』を出版。
1939年(昭14)、2月第1回中原中也賞を受賞するも、同年3月24歳という若さで逝去。
2003年(平15)、詩集『立原道造』ハルキ文庫から出版されている。
その中から気に入った詩を抜粋してみます。
春が来たなら
春がきたなら 花が咲いたら
木のかげに小さな椅子に腰かけて
ずっと遠くを見てくらさう
そしてとしよりになるだろう
僕は何もかもわかったやうに
灰の色をした靄のしめりの向こうの方に
小さなやさしい笑顔を送らう
僕は余計な歌はもう歌はない
手をのばしたらそつと花に触れるだらう
春がきたなら ひとりだつたら
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