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新連歌ー16

二裏
1、唐紙の印は朱く雅びたり       紅 舟
2、 懸けし袋のなかぞゆかしき     清
3、ひそめたる香は古加羅か真那蛮か   紅 舟
4、 殿作りして招く客人        清
5、夏草のありのままなる庭もあり    紅 舟
6、 冬はいかなる眺めなるらん     清
7、風すさぶ磯辺の空の三日の月     紅 舟
8、 身にしむ声を交はす舟影      清
9、内野なる里は笛の音豊の秋      紅 舟
10、峠境に変はる世の中         清
11、手をとりて訪ぬる先を誰知らず    紅 舟
12、なほ幸あれと祈るのみなり      清
13、匂やかな霞の奥の花の路       紅 舟
14、しるべは遠く誘ふうぐひす      清


新連歌ー15

初裏

1、谷おはふ紅葉の木下たどりきて  清

2、 沙綾ぎぬ被きふりかへりたる  紅舟

3、いにしへ の都大路の絵巻物   清

4、 牛車のひびきしのぶよしなし  紅舟

5、命さへ組み編む世とぞなりにける 清

6、 朝より暗き出来ごとはなぞ   紅舟

7、しばらくの老生照らす夏の月   清

8、 みだれし髪にそよぐ涼風    紅舟

9、篁の奥に萱屋のたのもしく   清

10、 床に坐します天神の像     紅舟

11、をのこらはふみ習ふ手のつたなくて 清

12、 走り慣れたる裏の細道     紅舟

13、苗木より育てし杜の花ざかり   清

14、声も色増し百千鳥鳴く      紅舟


新連歌ー14

二表

1、心よき春のあけぼの夢さめて   紅舟

2、 峰に別るる雲の優しき     清

3、よみがへるふるさと母はつつがなし 紅舟

4、 書庫にゆかしき歌守り     清

5、苔厚く昔に変はる坪の内     紅舟

6、 酒の苦さを知らぬ若者     清

7、熊胆を飾る薬師の店通り     紅舟

8、 烏気ままに夕ぐれの空     清

9、いづ方も帰る家無き西東     紅舟

10、 かねて思ひし旅の行末     清

11、たまたまに拾ふた恋の深情    紅舟

12、 杉の梢のいさぎよきなり    清

13、雪もよひあたり淋しき月まどか  紅舟

14、 庵主筆をおもむろにとる    清


新連歌ー13

初表

1、雪残る小野に瀬音の一日哉     清

2、 くれなゐほのか芽吹く川岸    紅舟

3、春風の訪ふ方も豊かにて      清

4、 旗上げ勇む若人の群       紅舟

5、青空を飛ぶ大鳥は鷹ならん     清

6、 はるかに遠き山の連なり     紅舟

7、いづくより出づるもよしと今日の月 清

8、 友と花野に酒をあたたむ     紅舟

 


新連歌ー12


名残表

1、みづみづと土筆生ひたる縄手道 紅舟
2、 はるかなるかな沖を見る浜  清
3、乱れては又並び飛ぶ鳥の群   紅舟
4、 習ひし歌を児ら口ずさむ   清
5、紙芝居竹馬遊び今もなは    紅舟
6、 大和言葉の力頼もし     清
7、時じくの雪を仰ぐや富士の嶺  紅舟
8、 負けしいくさのあとのむなしさ 清
9、綱取りの土俵清める箒跡    紅舟
10、 太鼓の音もつねに似ぬ音   清
11、豊かなるみのりを祝ふ村祭り  紅舟
12、 よもすがらとて女藁綯う   清
13、白絹さやけき月の影宿る    紅舟
14、 共に語りし庭の萩さく    清

 


新連歌ー11

三裏
1、いとまなき人の世しばし離れ来て 清
2、 書き送る文唐松の蔭      紅舟
3、湖に出でて動かぬ小舟あり    清
4、 水底に鐘沈めりといふ     紅舟
5、けはしさをつのらせ速き野分雲  清
6、 身も木枯るる行方悲しき    紅舟
7、いとせめて今宵の月は澄めよかし 清
8、 まれなる酒にたれ招くらん   紅舟
9、皆人の得がたき越の寒き梅    清
10、 布も雪野にさらす手織りぞ   紅舟
11、伝へ来し技を尊ぶ時にして    清
12、 設へこらす春の催し      紅舟
13、橋を行く老も若きも花語り    清
14、 待ちし政(まつり)のうららかな空 紅舟
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新連歌ー10

三表

1、畔道をたどれば皇雛の家       紅舟
2、 主の翁齢知られず         清
3、よそ目にはひとり打つ碁と見えながら 紅舟
4、 戦の前の灯のもと         清
5、更くるままめぐる盃重なりて     紅舟
6、 いつしかしらむ東の空       清
7、明星へ竃の煙たちのぼる       紅舟
8、 民ありてこそ国忘るるな      清
9、山川も草木も土も忘るるな      紅舟
10、 目高の学校ふるさとになし     清
11、なつかしや広場にボール蹴る子たち  紅舟
12、 変はることなき夕映えの峰     清
13、粉雪降るまにまに見ゆる月淡し    紅舟
14、 山湯よろしき白骨の郷       清


新連歌ー9

二裏

二裏

1、新しき道は麓を貫きて    清
2、 志立て急ぐ若者      紅舟

3、百年の後の世の中いかならん 清
4、 千年も同じ輪廻転生    紅舟

5、里守る杉楠木の蔭深く    清
6、 平野の席に集ふ連れ衆   紅舟

7、美濃筑紫大和言葉をきづなにて 清
8、 手漉きの紙に匂う墨色   紅舟

9、雲開き迎へし月のくまもなし 清
10、 瓶のすすきにたぐふ笛の音 紅舟

11、鳴きやみてまた鳴きそむ声は虫 清
12、 烏ほねぐらにねむりいるらん 紅舟

13、我もまた花の盛りを夢にみて  清
14、 かげろふの中行く手いづくか 紅舟

 

 


新連歌ー8


名残裏

1、鳴きそむる調べたのしや虫の声    清
2、 わが住む里を雲京といふ      紅舟
3、流れゆく川渡やさし窓の下      清
4、 岸に添ひゆく魚釣りの舟      紅舟
5、生ひしげる木蔭に集ふ子供たち    清
6、 ひと日うらうら書(ふみ)を読みつぐ 紅舟
7、夕ぐれのしじまに匂ふ花の色     紅舟
揚句、 なにごともなき雪柳かな      清


新連歌ー7

二表

1、まだしきに夏をあらますものあらん  紅舟

2、 輝く海を浮く帆掛け船       清

3、声あげて磯馴れ松も枝交はす     紅舟

4、 はや過ぎよかし嵐荒れくる     清

5、久々にあすは故郷近き宿       紅舟

6、 ことば訛りもおのづからなり    清

7、語りつぐ女はは昔都人        紅舟

8、 今は亡き夫国の守にて       清

9、かかげたる長押の槍に錆もなし    紅舟

10、 眺め楽しむ数奇の数々       清

11、一服のまゐらすお茶も加減濃き    紅舟

12、 泉へだてて宴する影        清

13、更けゆけば月さへ氷る師走空     紅舟

14、 山寺ならし寒きともしび      清