デニムの帽子
高橋 禮子
ワイパーに弾かれてゆく春の雨ときおりピンクの花びら残す
雪でなく雨でよかった今宵こそ華のフィナーレ散りゆくさくら
三ミリの虫がおまけについてくるブロッコリーにも近頃慣れて
蕗の臺(うてな)の絵てがみ届く「ほろ苦く甘くまるごと春を食べてる」
レンジではなく茹でるとおいしいよ小さく切ってきな粉草餅
降り出した雨を合図に歩き出すデニムの帽子にジョギング十ぷん
雁沢の遺跡めぐるも四周でおしまいにする本降りとなり
大昔もちろん傘はなかったよだいだらぼうの声が聞こえた
あけがたの雪をかぶりて公園のさくら三本ゆるぎのあらず
雪の日の桜見んとてかけつけた四月のステージ私ひとり