春はすぐそこまで来ています。 村山恵美子

大都会に暮らす方々は季節の移ろいを何で感じるのでしょうか。
北の田舎に住む私は、
今朝カーテンを開けた瞬間戸外に漂う空気の色に春の予感を感じました。
空気の色なんて曖昧な表現なのですが、
ほかに適切な表現が浮かびません。
昨日と変わらぬ雪景色ではあるものの、どこかぼんやりした空気感が漂っていて
ほんの少しだけ空気が薄紫を帯びている。
私にはそう見えるわけで、これを数ヶ月ぶりに感じる瞬間がすごく嬉しいのですよ。
あー春が来るなぁとしみじみ思うのです。

来月、兄の息子が結婚することになり、招待状が届いています。
親族の婚礼は久しぶりのことです。
春らしい雰囲気のドレスでも買おうかしらと思案していたのに、
兄嫁が言うには、「みんな黒留袖を着る予定でいる。恵美子さんはどうします?」
と電話口で言うので、じゃあ私もそうしますと着付け髪結いをお願いしました。
日本人の正装和服の中でも既婚者の第一礼装黒留袖の荘厳さには
どんな華やかなドレスをもってしてもつり合うものではありません。
そんなわけで洋服購入は取りやめ、
今、黒留と長襦袢を吊るして皺伸ばし中です。黒地に銀糸の鶴が舞っています。
招待状を読むと、会場は東京中央区銀座のど真ん中らしく、
マーキーズダイヤモンド、ブリリアント・ザ銀座と
舌をかみそうな会場名です。
これが孫の婚礼に出席する最初で最後の機会かもしれない実家の父(85歳)も
連れていきます。はて、田舎者一同どんな珍道中になることやら。でも楽しみです。