新蓮歌ー29 名残裏 1、鳴きそむる調べたのしや虫の声 清 2、 わか住む里を雲京といふ 紅舟 3、流れゆく川渡やさし窓の下 清 4、 岸に添ひゆく魚釣りの舟 紅舟 5、生ひしげる木蔭に集ふ子供たち 清 春、 ひと日うらうら書(ふみ)を読みつぐ 紅舟 7、夕ぐれのしじまに旬ふ花の色 紅舟 揚句、 なにごともなき雪柳かな 清 Tweet
新蓮歌ー28 名残表 1、みづみづと土筆生ひたる縄手道 紅舟 2、 はるかなるかな沖を見る浜 清 3、乱れては又並び飛ぶ鳥の群 紅舟 4、 習ひし歌を児ら口ずさむ 清 5、紙芝居竹馬遊び今もなほ 紅舟 6、 大和言葉の力頼もし 清 7、時じくの雪を仰ぐや富士の嶺 紅舟 8、 負けしいくさのあとのむなしさ 清 9、綱取りの土俵清める箒跡 紅舟 10、 太鼓の音もつねに似ぬ音 清 11、豊かなみのりを祝ふ村祭り 紅舟 12、 よもすがらとて女藁綯う 清 13、白絹にさやけき月の影宿る 紅舟 14、 共に語りし庭の萩さく 清 Tweet
新連歌ー27 三裏 1、いとまなき人の世しばし離れ釆て 清 2、 書き送る文唐松の蔭 紅舟 3、湖に出でて動かぬ小舟あり 清 4、 水底に鐘しずめりという 紅舟 5、けはしさをつのらせ速き野分雲 清 6、 身も末枯るる行方悲しき 紅舟 7、いとせめて今宵の月は澄めよかし 清 8、 まれなる酒にたれ招くらん 紅舟 9、皆人の得がたき越の寒き梅 清 10、 布も雪野にさらす手織りぞ 紅舟 11、伝へ来し技を尊ぶ時にして 清 12、 設へこらす春の催し 紅舟 13、橋を行く老も若きも花語り 清 14、 待ちし政(まつり)のうららかな空 紅舟 Tweet
新蓮歌ー26 三表 1、畔道をたどれば篁雛(しょうこうひな)の家 紅舟 2、 主の翁齢知られず 清 3、よそ目にはひとり打つ碁と見えながら 紅舟 4、 戦の前の灯のもと 清 5、更くるままめぐる盃重なりて 紅舟 6、 いつしかしらむ東の空 清 7、明星へ竃の煙たちのぼる 紅舟 8、 民ありてこそ国忘るるな 清 9、山川も草木も土も忘るるな 紅舟 10. 目高の学校ふるさとになし 清 11、なつかしや広場にボール蹴る子たち 紅舟 12、 変はることなき夕映えの峰 清 13、粉雪降るまにまに見ゆる月淡し 紅舟 14、 出湯よろしき白骨の郷 清 Tweet