月別アーカイブ: 2017年7月

新連歌ー16

二裏
1、唐紙の印は朱く雅びたり       紅 舟
2、 懸けし袋のなかぞゆかしき     清
3、ひそめたる香は古加羅か真那蛮か   紅 舟
4、 殿作りして招く客人        清
5、夏草のありのままなる庭もあり    紅 舟
6、 冬はいかなる眺めなるらん     清
7、風すさぶ磯辺の空の三日の月     紅 舟
8、 身にしむ声を交はす舟影      清
9、内野なる里は笛の音豊の秋      紅 舟
10、峠境に変はる世の中         清
11、手をとりて訪ぬる先を誰知らず    紅 舟
12、なほ幸あれと祈るのみなり      清
13、匂やかな霞の奥の花の路       紅 舟
14、しるべは遠く誘ふうぐひす      清


新連歌ー15

初裏

1、谷おはふ紅葉の木下たどりきて  清

2、 沙綾ぎぬ被きふりかへりたる  紅舟

3、いにしへ の都大路の絵巻物   清

4、 牛車のひびきしのぶよしなし  紅舟

5、命さへ組み編む世とぞなりにける 清

6、 朝より暗き出来ごとはなぞ   紅舟

7、しばらくの老生照らす夏の月   清

8、 みだれし髪にそよぐ涼風    紅舟

9、篁の奥に萱屋のたのもしく   清

10、 床に坐します天神の像     紅舟

11、をのこらはふみ習ふ手のつたなくて 清

12、 走り慣れたる裏の細道     紅舟

13、苗木より育てし杜の花ざかり   清

14、声も色増し百千鳥鳴く      紅舟


新連歌ー14

二表

1、心よき春のあけぼの夢さめて   紅舟

2、 峰に別るる雲の優しき     清

3、よみがへるふるさと母はつつがなし 紅舟

4、 書庫にゆかしき歌守り     清

5、苔厚く昔に変はる坪の内     紅舟

6、 酒の苦さを知らぬ若者     清

7、熊胆を飾る薬師の店通り     紅舟

8、 烏気ままに夕ぐれの空     清

9、いづ方も帰る家無き西東     紅舟

10、 かねて思ひし旅の行末     清

11、たまたまに拾ふた恋の深情    紅舟

12、 杉の梢のいさぎよきなり    清

13、雪もよひあたり淋しき月まどか  紅舟

14、 庵主筆をおもむろにとる    清


新連歌ー13

初表

1、雪残る小野に瀬音の一日哉     清

2、 くれなゐほのか芽吹く川岸    紅舟

3、春風の訪ふ方も豊かにて      清

4、 旗上げ勇む若人の群       紅舟

5、青空を飛ぶ大鳥は鷹ならん     清

6、 はるかに遠き山の連なり     紅舟

7、いづくより出づるもよしと今日の月 清

8、 友と花野に酒をあたたむ     紅舟

 


新連歌ー12


名残表

1、みづみづと土筆生ひたる縄手道 紅舟
2、 はるかなるかな沖を見る浜  清
3、乱れては又並び飛ぶ鳥の群   紅舟
4、 習ひし歌を児ら口ずさむ   清
5、紙芝居竹馬遊び今もなは    紅舟
6、 大和言葉の力頼もし     清
7、時じくの雪を仰ぐや富士の嶺  紅舟
8、 負けしいくさのあとのむなしさ 清
9、綱取りの土俵清める箒跡    紅舟
10、 太鼓の音もつねに似ぬ音   清
11、豊かなるみのりを祝ふ村祭り  紅舟
12、 よもすがらとて女藁綯う   清
13、白絹さやけき月の影宿る    紅舟
14、 共に語りし庭の萩さく    清